足跡
タイトル:足跡
ある日、アパートに戻ってみると、
「ん、なんだろこれ」
部屋の床に人形が落ちていた。
男の子のフィギュア?
よく見ると両腕が取れている。
「…………」
よく分からなかったのでとりあえずゴミ箱に。
で、あとからゆっくり思い返してみたけど、
あんなの買った覚えがない。
「なんであんなの落ちてたんだろ…」
なんて思いつつ、
さっき人形が落ちていたその床を見ると今度は、
「ん、…え??」
見方によればくっきりとした足跡がついている。
近寄ってよく見てみたけど、確かに足跡。
ズックのような足跡が付いており
砂交じりのその足跡は、そこで途切れたかのように
一足分だけ。
「…………」また黙り込む。
していると、ベッド横の
クローゼットの中から何か音が聞こえ始めた。
ギクっとしてその音のする方に注目。
すると音はやみ、しばらくしーんとした後、
次は背後でゴソゴソと音が聞こえた。
さっと振り向きその音の方向を見たけど何にも無い。
その瞬間、直後のこと。
後ろからバッと誰かに抱きつかれ、
そのまま俺は床に倒れた。
「な、なんだなんだ!なんだやめろ!!」
思わず声を上げた俺の目の前には、
この世のものとは思えない傷だらけの女が居り、
「今度はお前だ…」
みたいなことを言ったかと思えば
隠し持っていたナタのような物でザグッ!
意識が遠のく内に聞こえた声によると、
今見たカラクリがなんとなく分かった。
ズックの靴跡はカモフラージュ。
それは紛れもなく俺の前に現れた女のモノであり、
女はそこからベッドに飛び移り、
ベッド横のクローゼットの中に隠れていた?
でも当然疑問に残るのは
クローゼットの方を向いた
俺の背後から聞こえたあの物音と、
玄関からそのフロアまでの靴跡が無かったこと。
一足分って…もしズックを履いたままなら
ああなるわけない。
靴を脱いでそこまで入っていたのか?
でもあの物音の疑問はどうしても解けない。
それに気配が無かったこと。
そして腕のとれたあの人形は
それまで女が使っていた
欲求不満を解消するための道具。
人形から人間にその欲望の矛先が向いたんだ。
これはよくあることだが
俺がその対象に選ばれるなんて冗談じゃない。
女は目的を遂げて部屋から出て行った。
俺はおそらくこのままこの部屋で。
あの女は果たして現実の人物(もの)だったのか?
それとも…
動画はこちら(^^♪
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