多分その人
タイトル:多分その人
「はぁ〜〜今日も疲れたなぁ〜!ちょっと休んで行こうぜ」
その日、私たちはレジャーへ行って、
帰りにホテルで休憩した。
そこで2人の時間をまったり過ごし、
それから少ししたら帰ろうと2人で言っていた。
テレビを見ながら談笑し、
今日あったことなんかを話し合いながら
2人でゆっくりベッドに横たわる。
そのときインターホンが鳴った。
「…?」
「…誰だろ」
「普通インターホンなんか鳴る?」
そんなことを思いながらも
とりあえず彼が出てくれた。
すると私からは見えない位置に
女が立って居たらしく…
「なんかよくわかんなかったんだけどさ、お前に『私が経験したこと味わわせてあげる』っつってそのカド曲がったところで居らんようなってさ…」
「……え?なにそれ?『お前に』って私にって事??」
怖くなった。
カドを曲がったところで消えたって、
そんなの普通じゃないじゃない…
しばらく私たちは真顔で沈黙。
でもいくら考えてもしょうがないので
とりあえず日常に返り、また2人の時を過ごした。
「ちょっと眠くなったから寝るわ」
私も眠くなって2人で寝た。
さっきの変な事とは別に、今日の疲れが出てきたみたい。
2時間ほど眠って私たちは帰った。
(数週間後)
「えっ!?ウソ…!…どうしようぉ」
私は妊娠していた。
でもありえない。
彼と2人の時間を過ごす時、私たちはここ数ヶ月、
営みはしていなかったんだ。
ホテルで休憩した時も本当に休憩しただけ。
いやこんな生活が1年ほど続いてたと思う。
「なんで…どうして…」
思い出した事がある。
あのときホテルでウーロン茶を飲んで、
ちょっとお腹が空いたからって
ピラフとカレーライスを食べた。
私は彼に怒られるのを承知で
この秘密を全部打ち明けた。
別れられるかもしれない、でも自分は潔白。
これだけを盾に、全部彼に打ち明けたんだ。
でも彼は分かってくれた。
これまでの付き合いで、
それなりに私の事をちゃんと
信じてくれていたんだろう。
そして彼もとりあえず私に協力してくれて、
2人で一緒に警察へ。
警察「…食べて飲んでしたわけですね?」
「ええ」
彼「あ、ミネラルウォーターも飲みました」
とりあえずその時は、
あの女の事は警察に話さなかった。
ただややこしくなると思い、
また別で話そうと考えていたんだ。
とりあえず軽く捜査してくれる事になった。
そして最後に警察の質問に対し私は、
「ええ、多分その人です」と答えた。
図らずともあの女の言った事がその時、
淡いヒントになっていたんだ。
あの女は本当に霊的な何かだったのかもしれない。
もしそうなら彼女は私を傷つけた上、助けた事に…。
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