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ポスティング

タイトル:ポスティング

俺はポスティングのバイトをしていた。
今日もいつもの大きなマンションだ。

「ふぅ、でもやっぱ疲れるよなぁ〜」
今のご時世、まともに職につけない者は
ちょっとでも稼がなきゃと
こんな仕事でもちゃんとやってかなきゃならない。

そんなことをブツクサ言いながら、
いつものあのフロアへやってきたんだ。

「ふぅ。あの親父ン所は入れないようにしなきゃ」
前にチラシを入れた時、こっぴどく怒られた。
ドア越しに思いっきり怒鳴られ、
あたふたと帰ったことがある。

そんなとき電話が鳴った。会社から。
「え?そうなんすか!?わかりました…」
「マジかよ〜」だった。
バイトの1人が休んだらしく、
そいつの分も俺が回ることになったんだ。

「ま、稼げるんならしゃあねぇか」
ちょっと気落ちした俺はさっきのことを忘れ、
「あっ、しまった」
あの親父のドアポストに入れてしまった。

ちょうど親父は居たらしく、
「おい!またお前んトコか!入れんなっつったろ!」
とドア越しにまた思いっきり怒鳴りつけてきた。

「す、すみませんすみません!」
「すみませんで済むか!もうお前んトコの会社に言ってやるから電話番号教えろ!」
「え、ええ?それはちょっと…!」
大変な事になってしまった。

チラシお断りの札も無く、
別のことを考えてたのでつい入れてしまった。
でもついでは済まされない。
これが理由で辞めさせられるかも…
そう思った俺はとにかく謝り続けた。

すると後ろから俺の肩をポンと叩き、
「おい、電話番号早く教えろ」
と見知らぬ男が俺に言ってきたんだ。
「…え?」

その直後、さっきまで謝り続けていた
目の前のドアがガチャンと開き、
女「…あの、なんですか?」
と女の人が出てきて俺にそう言った。
振り返るとさっきの男はもう居なかった。

「……………」
全く訳がわからなかった。

「……あ、いや、あの…」
聞くとその女の人は
この部屋にもう10年住み続けて居ると言う。
今部屋の中に誰も居らず、この女の人1人。

さっきの男のことをそれとなく聞いてみたが、
そんな人、部屋に入れた事は1度もないとの事。

「あ、あ、すみません!」
ととりあえず俺は言って
その場をそそくさと立ち去った。

動画はこちら(^^♪
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