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待つ女

タイトル:待つ女

イントロ〜

今日も又ちょっと怖いお話。

メインシナリオ〜

私は松子(まつこ)。名前の通り、何事も待ってばかりの女。
プライベートでも全部受け身で、仕事にしても何か言われてから行動するタイプ。

ゆとり世代に生まれたからか、何か言われたらそれに従う習性がついてしまって、
それがいつしか自分の本質のようにまでなってしまった。
これが恋愛にも大きく影響してしまったから困りもんだ。

そんな私にある日、不思議な人が現れた。

「待ってばかりじゃ、恋愛はやってこないですよ?」

私「でもこれが私の性格になっちゃったから」

「じゃあもし結婚できなくても、その性格のせいだって納得できますか?」

私「…いや、納得できません。実は私、今、本当に好きな人が居るんです」

「ほう、それはまた」

私「ね、ねぇ、あの…この恋、成就させて頂けませんか?お金なら幾らでも払います」

従ってばかりの人生ながら仕事にも忠実で、ずっと働き続けてお金だけはかなり貯め込んでいた。

「恋愛にまでお金を持ち込むなんて。わかりました。ではこちらを差し上げましょう。お金は要りません」

そう言って彼女は私に1粒の錠剤をくれた。

「それは現実の恋に強くなれるお薬。あなたを出来るだけ内側から変え、普通の幸せを手に出来るよう援助させて頂きます」

彼女には不思議な魅力があり、私は一気にその気にさせられる。
そしてその場で錠剤を受け取り飲み干した。

ト書き〈トラブル〉

でも駄目だった。そんな力を借りてもこれまでの習性が私を支配し、
結局、私は自分の殻から脱け出れず、生まれて初めて本気で想った人との恋さえ成就できなかった。

でも諦めきれない。やっぱり女の本能がそうさせるのか。
彼との恋はいずれ何とか成就させたい。持ち前の受け身の姿勢のままで。

その事を又、あの日に出会った彼女に伝えた。
彼女は何度も私に「現実の恋」に強くなるよう勧めてきたが、
やはり私は自分の殻から抜け出せない。

「…そうですか。ふぅ、仕方がありません。それではあなたの性格に合わせて、今度はこちらの液体薬を差し上げましょう」

「これは『Waiting in the grave』と言うまた特製のお薬でして、あなたはその受け身の姿勢のまま、いずれ必ず今想ってらっしゃるその男性と結ばれる事になるでしょう」

私「ほ、本当ですか!?」

「ええ本当です。それなりの時間はかかりますが、必ず」

私「く、下さい!それを私に下さい!」

私は結局、その液体薬を飲んでしまった。

ト書き〈お墓の前で〉

「彼女はお墓の中で彼を待つ。彼は必ず今あなたが眠ってる、そのお墓の中に帰って来るわ、そうなるよう、あの液体薬が調合してくれる」

「受け身ばかりの人生で、何事にも待つ事しか覚える事の出来なかった彼女。まさかお墓の中で、恋愛の成就を待つ事になるなんてね」

「来世で夢を叶える…なんて言葉もあるけど、それを地(じ)で行った彼女…って事になるのかしら。私は松子の夢と隠れた欲望から生まれた生霊。その欲望から成る夢を叶える為だけに現れた」

動画はこちら(^^♪
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