メゾン・ノイローゼ
タイトル:メゾン・ノイローゼ
「ただいま〜」
ある日、家に帰ると、奥から泣く声が聞こえてきた。
とりあえずすぐリビングに行って、
「おい、どうしたんだよ?」
何かあったのかと聞いてみた。
でも、
「うう…ううう…」と妻はずっと泣いてるだけ。
その理由はその時も何となくわかった。
いや、ずっと前からわかっていたこと。
「わかったよ。やっぱり今の君じゃ無理だ。俺も一緒に面倒を見るから。だからもう…」
「うう…ううう…」妻はずっと泣いている。
育児ノイローゼ。
育児に悩み、悩んだ果てには
幻聴・幻覚のようなものが聞こえ見え始め、
今自分がどこで何をしているのか、
また自分にとって子供とは一体何なのか?
生活が邪魔されるその鬱憤への正直が暴走し、
母親は一瞬、もとの女に成り代わると言う。
「なぁ、もうわかったから、ちょっと落ち着こう」
「うう…ううう…」
もともとは妻が1人で面倒を見ると言って聞かず、
一緒に育児をしようって
言った俺の配慮を拒んだのだ。
やっぱりあの時一緒に…。
さっきからずっと
俺たちの子供が隣の部屋で泣いている。
俺は帰ってすぐにまずその子供の部屋を見て、
ベッドに寝ながら泣き続けるあの子を確認し、
それから妻の所へきたんだ。
だから今度は2人で赤ちゃんの所へ行き、
「ちゃんと2人で子供を育てよう」と
妻に言おうとした。
妻はやっと頷き、俺に従った。
そして2人で今赤ちゃんが寝ている部屋へ行く。
だけど、
「…あれ?お、おい…」
ドアを開けた瞬間、赤ちゃんを抱いてる妻を見た。
妻と一緒に来たのに、
なんで妻が部屋の中にもう居るんだ?
振り向くと妻が居ない。
「……………え」
よく見ると、
今抱かれてる赤ちゃんがぐったりしてる。
「…お前、それ…」
ベッドが横にあり、床にへたり込むように
座って赤ちゃんを抱いてる妻の表情は無表情。
見てる俺の前で、2人とも消えてしまった。
「お、おい!…なんだよこれ…」
そして俺は何かに誘われるように風呂場へ。
そこで見たものは2人の亡骸。
そして風呂場の中にも俺が居た。
俺たちの日常は、もう消えてしまったんだ。
あの幸せに夢を見ていた、あの日常が、全部。
3人がこの家で見つけられるのは、
まぁ時間の問題になるのだろう。
でも俺たちが自分たちの幸せを見つける事は
もうできないものか…。
翌日、俺はまたこの家に帰ってきた。
「ただいまー」
動画はこちら(^^♪
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