記憶装置のスマホ
タイトル:記憶装置のスマホ
新しくスマホを買った。
「へへ♪やっと買えたなぁ〜」
これまでずっと買い換えようと思ってたスマホ。
なかなか貯金が貯まらず今までよく我慢してきた。
前のスマホは故障気味で、
すぐ電源が落ちたりバグったりしてたから
新しいスマホに変えて俺は満足♪
でもある日から、奇妙なことが起き始めた。
スマホの動画用カメラを使って
部屋の中の物をいろいろ写していた時。
カメラの中と、現実の物が違って見え始めたのだ。
例えばテーブルの上にコーヒーカップを置いて
それをスマホの写真に撮って見ると、
「…あれ?なんで…」
テーブルの上にはコーヒーカップではなく
お皿が置かれている。
そしてスマホのフレームから目を離し
またテーブルを見ると、
ちゃんとコーヒーカップが置かれてあるのだ。
これを繰り返しても、何度もそうなった。
今何が起きているのかよく分からなかった俺は
まるで何かに引き寄せられるかのように
1つのムードに心酔し、酔わされたような感じで
その動画に興味を持ってしまった。
カメラを起動しながらいろんな物を写し始める。
リアルでは部屋の中に椅子があるのに、
そのカメラフレームに収めると椅子がなくなる。
またカメラで窓を写せばリアルでは晴れているのに、
スマホ内の画像では雨。
テレビを写せばリアルでは消してあるのに
カメラ画像の中では
何かよくわからない番組がついている。
息を飲みながらどんどん興味を持ち始め、
違う部屋へ行く。
そして寝室へ行って布団を撮ると、
リアルではベッドメイキング
されたようにきれいな布団なのに、
スマホに写ってるのは乱雑な布団。
そしてそのスマホ内の画像をずっと見ていたら、
なんとなく布団が盛り上がり始め、
人1人分が入ってるような膨らみができた。
ゴク…と唾を飲みながら
またじっくりスマホ内の画像を見てゆくと、
その布団の中から手が這い出してきて、
貞子のような女がゆっくりこちらへ向かってきた。
なぜか俺は取り憑かれたように体が動かず、
ずっとそのスマホ内の画像と、
リアルの景色を見比べているだけ。
リアルでは変わらず整頓された布団だ。
そしてスマホ内の画像をまた目をやると、
はっきりこの世のものとは思えないほどの
恐ろしい女の顔が間近に写り、
声にならないほどのシャウトをして
パッと消えた。
そこで俺の記憶は飛んだようだ。
ふと目を覚ますといつもの見慣れた光景。
整えられた布団がベッドの上に敷かれており、
晴れた窓の外では小鳥がピーチク泣いてた。
でも手に持っていたのは前に使っていた携帯電話。
その画像の中には、床に倒れた女が1人写っており、
記憶が飛ぶ前に見たあの新しいスマホ内の画像が
そのまま残されていた。
「…また買い替えないとなぁ、スマホ」
動画はこちら(^^♪
【ホラー】【喫茶店で上映されてる映画の感覚☕】【ドラマ小説】【ショートホラー系~心理ストーリー】記憶装置のスマホ Storage device smartphone #サスペンス #本怖 #ヒトコワ