ダイナマイト
タイトル:ダイナマイト
あるところに、ダイナマイトを発明した人が居た。
その人がダイナマイトを発明した大きなきっかけは、
「大丈夫だ!もうすぐ助けが来てくれる!だからしっかりしろ!」
少年「も…もう…ダメ…」
炎天下の荒野で険しい山道に迷い込んでしまい、
そこから上手く出られず、2人ともその炎天下で
生き絶えようとしていた時のこと。
あるトンネルが見つかり、そのトンネルを抜ければ
水のある場所へ行けると知っていた2人だったが、
そのとき大きな地震が起こり、
そのトンネルが塞がれてしまった。
それで水と食べ物を求めて
やまなかった子供は心の底から落胆し、
もうダメ…とその場で生き絶えようとしていた。
しかしその少年を
引き連れていた彼は諦めなかった。
その少年が、今は亡き自分の息子にそっくりで、
何が何でも助けたいと
心の底から強く願って居たからだ。
「大丈夫だ!気をしっかり持て!(…このトンネルさえ抜ける事ができたら。この今、俺たちの目の前を塞いでいる岩盤を壊すことが出来たら…)」
これがダイナマイトの発明につながってゆく。
その時、本当に運良く
その場を通り掛かった行商の人たちが居り、
彼とその少年は助けられた。
それから数年後。
彼はダイナマイトを発明したのだ。
「これがあれば、もし自分とあの子と同じ様な目に遭った人が居たら、きっと助けられる!」
それが本望であり、
ダイナマイトを発明した純粋なきっかけにあった。
しかしその後、世の中は戦争のムード一色になり、
そのダイナマイトが各地で使用されて行くようになる。
原始的な戦いで、とにかくバンバン爆発させて
多くの人を葬ることが出来たら、
自分の国は勝利を得られる!
その思い1つで、世界中の人が彼から渡された
ダイナマイトを使うようになって行った。
その効果もあってか、
彼の懐には自然とお金が集まるようになった。
人の噂では、彼は巨万の富を得た、
あのダイナマイトで自分の地位を獲得したのだ、
あのダイナマイトで、彼はこの世の中を生き抜いた、
あのダイナマイトで、
彼は自分のアイデンティティを確立したのだ、
ここまで言われるようになり、彼はいっとき、
自分の人生に栄華のようなものを見ていた。
しかし彼はある時、その「時」のいたずらか、
どうしても外せない用事で又やって来た荒野で、
命絶え絶えの目に遭うことになった。
そしてそのとき同時に、彼の1人だけ居た兄が、
同じ様な荒野で交通事故に遭って亡くなった。
これをニュースは間違って報道する。
「ダイナマイトを発明したあの彼が亡くなった」と。
当時のメディアの脆弱さが為せた業なのか。
それとも、人には知り得ない
きっかけが為せた業だったか。
そしてニュースは色めきだってこう報道した。
その様々なニュースの中で彼が目にしたものは…
「ダイナマイトを発明し、多くの国々で戦争を引き起こし、数多の人々を闇に葬ってきた文字通りの死の商人、彼がついに死す!」
彼の周りに居た者はすぐ訴訟を起こし、
世界に真実を伝えるはずのニュースが、
いかに杜撰で無責任なものか!と豪語しながら、
彼が生きて居る事を改めて伝えた。
報道局は謝罪し、
その賠償金として彼はまた儲けることになる。
しかしこの時、彼は教会へ行き始めており、
それと同時に考えた。
「人の噂やニュースなんて好い加減なもの。誰かのさじ加減ひとつの違いで、ここまで曲げられて報道される」
「この様な人たちをアテにするのには限界がある。人はもともと限界のある生き物だ…」
「あの子だってあのとき死にかけていたのだ。それも限界…。つまり人がその限界にどう立ち向かうか、これで変わってくる」
「後世、自分がこの世を去って、人からどう噂され評価されても良い…」
「ただ神様からだけは人としての合格点を頂き、喜ばれる息子に成りたい。そうさせられたい…!」
その思い1つを胸にして、
彼は自分が得てきた巨万の富の9割を、
すべて教会に捧げた。
彼はそれで良しとして居たが、
次にまたトラブルが起こり、
それは彼の家族が猛反対したこと。
その家族は彼の富をアテにして居た。
しかし彼の心は変わらず、その事が成った。
この経過の一部始終をそのまま報道したのが、
新しく発足した報道局。
その報道局のジェネラルマネージャーには、
あのとき彼が励まし続けたあの少年、
クライシスという青年が就いて居た。
動画はこちら(^^♪
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