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漫画の世界が現実の世界?

タイトル:(仮)漫画の世界が現実の世界?

▼登場人物
●万画次郎(まんがじろう):男性。25歳。漫画大好き。現実に絶望している。楽しくない。
●万画太郎(まんがたろう):男性キャラ。25歳(設定)。元子が勧めた漫画『現実の二次元』の主人公。次郎にそっくり。
●虹 元子(にじ もとこ):女性。20代。次郎の『現実逃避したい』『二次元の世界に行って見たい』という本望から生まれた生霊。でも本心は「なんとか次郎に現実の世界を楽しんで生きてほしい」と思っている。
●ゆうこりん:『現実の二次元』に登場する万画太郎の彼女。とても美人で可愛い。
●母親:次郎の母親。
 
▼場所設定
●次郎の自宅:一般的な戸建てのイメージ。次郎の部屋は2階。
●虹書店(にじしょてん):漫画コミックばかり売っている。元子が店主。
 
▼アイテム
●『現実の二次元』:漫画。世間に知られていないマニアックな物。この漫画の読者は知らず内に二次元の世界に浸る事が出来る。漫画の世界観はとにかく楽しいもの(読者によって変わる)。読み始めるとそのうち猛烈な睡魔が読者を襲い、夢見心地の感じで漫画の世界へ誘い込む。
 
NAは万画次郎でよろしくお願いいたします。

メインシナリオ~
(メインシナリオのみ=3786字)

ト書き〈次郎の自宅〉

NA)
俺の名前は万画次郎。
今年25歳になるが、ずっと自宅ワークで稼いでいる。
外で働くなんて真っ平御免。
ちょっと働いた事もあったが、人間関係が面倒臭い。
俺は組織の中じゃやっていけないのだ。
こんな俺は大の漫画好き。

次郎)「うひゃひゃ、この漫画面白れぇなぁ♪もっと続き出ねぇかなぁ」

次郎)「よしよし、次はこっちを観よう」

NA)
自宅ワークしながら休憩中に漫画を読む。
漫画に飽きたら買い溜めしといたDVDを観る。
この繰り返しで大体1日が終わる。
こんな毎日を単調に過ごしている。

ト書き〈回想シーン〉

次郎)「やっぱ、俺の聖地は漫画とアニメの中だけだ」

NA)
こう見えて俺は人間の世界に絶望している。
人間関係、仕事、恋愛、全てに嫌気が差すのだ。
それだけの過去を自分なりに送って来た。
だから俺はもう漫画の世界だけにしか、自分の夢や理想を託せない。
漫画やDVDを楽しむ時だけが、俺の至福の時なのだ。

ト書き〈数日後〉

NA)
そんな或る日。

次郎)「あー、なんか最近、読む物が無くなって来たなぁ~」

NA)
そろそろ手持ちの漫画・DVDでは楽しめなくなって来た。
あらかた手持ちの漫画を読み終えた。
何十回も読めば誰でも飽きる。
DVDも同じ。
俺が持ってるDVDは99%がアニメや特撮。
流行り物からマニアックな物まで何でもござれ。
全部で10000本は超えているだろう。
それを各1本につき100回は観て来た。

次郎)「しょーがねぇ。また買い出しに行くか」

NA)
その日、俺は久し振りに書店へ行った。

ト書き〈書店へ行く〉

NA)
自宅ワークを始めるようになってから俺はほとんど書店へ行かない。
昔、外で働いていた頃はそれなりに稼げていたからまだ良かった。
でも自宅ワークとなると稼ぎが少ない。
本やDVDを買うにも金がすぐ尽きる。
無駄遣いは出来ないのだ。

次郎)「う~、今月の稼ぎも少ないなぁ。これじゃ2~3冊しか買えねぇや」

次郎)「ん?あれ?こんなトコに書店なんてあったっけ?」

NA)
いつもの通りを歩いていると、全く見た事が無い書店を見付けた。
名前は「虹書店」。
外からちょっと中を覗いて見た所、結構、俺が好きそうな漫画を並べている。

次郎)「お♪いい感じだな、入ってみるか」

ト書き〈「虹書店」〉

元子)「いらっしゃいませ」

次郎)「あ、ども・・・」

NA)
結構きれいな店員だ。
初めて来た割りには結構落ち着く所。
ちょっとだけ不思議な感じがした。

次郎)「うーん、どれにしよっかなぁ」

NA)
いつものようにどれを買おうか迷っていた所・・・

元子)「どんな漫画をお探しですか?」

次郎)「あ、いや、何か夢中になって読める漫画探してんですけどね」

元子)「あ、それならこの漫画どうですか?今月出版された『現実の二次元』です。マニアックな感じですが、特定の読者様にはとても愛好されています」

NA)
見ると、何の変哲も無い普通の漫画。
でも原作者の名前が無い。

次郎)「え?コレですか?」

元子)「ええ。きっとあなたの心を射止めて、あなたをこの漫画の世界にいざなってくれる事でしょう。特に現実逃避したい方、何かの理由で現実の生活に嫌気が差している方にとっては打ってつけの効果を発揮する一冊ですよ♪」

NA)
ヘンな売り文句。
でも今の俺にとってはかなり魅力的。

次郎)「ホントですか・・・?」

元子)「ええ、ぜひ1度読んでみて下さい」

次郎)「・・・」

NA)
あまり勧めて来るので、ちょっと買おうかなぁなんて思ってしまった。
そして値段を見ると・・・

次郎)「ゲッ!こ、これ8000円て書いてあるじゃないですか!?」

NA)
唯の漫画で8000円なんて有り得ない。
「そんなモン買ってられるか」と本を置こうとした時・・・

元子)「ウフフ。じゃあ無料でいいですよ」

次郎)「え?」

元子)「実は今クリアランスセール中でして、在庫本を全て処分しようとしてた所なんです。今日で1度閉店して、暫くしてからまた開店する予定でして」

次郎)「マ、マジですか・・・」

NA)
無料だったので貰った。

次郎)「なかなか面白そうですねこの漫画」

元子)「そう言って貰えると嬉しいです♪ぜひ沢山持ち帰って下さい」

NA)
俺はお言葉に甘えて、持てるだけの漫画を持ち帰った。

ト書き〈自宅〉

次郎)「これで当分のあいだ本を買いに行かなくて済むぞ!」

NA)
それから俺はずっと漫画を読み続けた。

ト書き〈数日後〉

NA)
数日が経った。
あの日貰った漫画はほとんど読み終えた。

次郎)「あ、そう言えば、あの勧めてくれたあの漫画、まだ読んでなかったな」

NA)
他の漫画を全て読み終えた後、俺は店主が勧めてくれたあの漫画を読んだ。

次郎)「なんだ、改めて読むとめちゃくちゃ引き込まれるじゃんかこの漫画」

NA)
そうして読み進める内に、奇妙な事に気付いた。

次郎)「この主人公って・・・俺にそっくり・・・?」

NA)
主人公「太郎」の容姿が俺にそっくりなのだ。
1つだけ違うのはステータス。
太郎は大金持ちの御曹司。
漫画の中で好きな事を何でもしている。
もしこの太郎が俺ならば、俺にとってはパラダイスになる。
俺は益々その漫画に引き付けられた。

次郎)「あぁ、この世界に入ってみたい・・・」

NA)
漫画の世界はめちゃくちゃ楽しそう。
更に「この世界に入りたい」と言う気持ちが強まった時・・・

次郎)「あ、あれ・・・なんだか俺・・・」

NA)
猛烈な睡魔が襲って来た。
すると・・・

ト書き〈漫画の世界に入っている〉

次郎)「え・・・?こ、ここは」

NA)
夢の中と思った。
でも辺りを見回すと、あの漫画の世界そのものだった。

ゆうこりん)「太郎ちゃん♪おっはよ」

次郎)「え?あ、君は・・・!」

NA)
「ゆうこりん」はこの漫画の主人公「万画太郎」の彼女。
俺は漫画の中でその太郎になっていた。

ゆうこりん)「さぁデートに行きましょう♪」

次郎)「あ、あはは!俺、ホントに今この漫画の世界に入ってんだ!」

NA)
夢のような漫画の世界。
俺の欲しい物が全て揃っている。
俺はゆうこりんとずっとデートした。
人前では形容を憚りたいお楽しみも一杯した。
俺はこの世界で大金持ちだ。
御曹司のような生活でずっと平和。
ゆうこりんは純情娘そのもの。浮気なんて当然しない。
俺の婚約者となり、永遠のパートナーになってくれる設定だ。
俺にとってはパラダイス。
ずっとこの世界に浸っていたい。

ト書き〈現実の世界:次郎の部屋〉

母親)「次郎ー、ご飯よー!・・・あれ?いないのかしら」

母親)「ちょっと次郎~?」

ト書き〈次郎の部屋に上がって来る〉

母親)「なんだいるんじゃないの。早く降りてらっしゃい」

ト書き〈太郎と次郎が現実の世界で入れ替わっている〉

太郎)「わかったよ」

ト書き〈晩ご飯を食べながら〉

太郎)「(へぇ外界の料理も結構うまいじゃん)」

母親))「はい卵焼き、アンタの好きな塩味にしといたわよ」

太郎)「あ、サンキュー。いっただきまーす」

ト書き〈目覚める〉

次郎)「はっ・・・。あ、夢?」

NA)
俺は自分の部屋の机にうつぶせていた。
どうやら『現実の二次元』を読みながら眠っていたようだ。
でもかなりリアリティのある夢。

次郎)「夢だったか。でも結構、楽しめるぞこの漫画♪」

NA)
俺は取り敢えず晩ご飯を食べに降りて行った。

ト書き〈食卓〉

次郎)「あれ?俺の卵焼き、誰か食ってあるじゃん?」

母親)「なに言ってんの。アンタがさっき食べたんでしょ。んで何か用事があるとか言って部屋に上がってったんじゃない。早く食べちゃいなさいよ!」

次郎)「え?」

NA)
俺はさっきの夢の事を思い出した。

次郎)「ま、まさか・・・」

NA)
さっきのは夢じゃなかった?
俺は少し恐怖した。

ト書き〈数日後〉

NA)
俺はまた漫画の世界の中にいた。

次郎)「別にこのまま太郎と入れ替わったっていいや。どうせ現実に生きてたって何もオモシロイ事ねーし、こっちの世界のほうが楽だし夢があるしな♪」

NA)
そう考えるようになっていた。

ト書き〈現実の世界にて〉

太郎)「結構、現実の世界も楽しいじゃねぇか。漫画の世界にゃ無かったオモシロイ事が結構あるみてぇだしなぁ。へっへ、無いモノねだりの発想かなぁ」

NA)
惜しいのは、この夢が必ず冷める事。
太郎が現実の世界に飽きた時、俺はこの夢から覚めるらしい。
でも俺は諦めない。
いつかその内、ずっと漫画の世界に浸れるようになってやる。

ト書き〈漫画の紙面に次郎が登場しているのを眺めながら〉

元子)「ふぅ。最近、次郎は現実に戻る時間が少なくなって来たわね。太郎のほうは逆にこの現実の世界に楽しみを見付け出した。もし本当に太郎と次郎が入れ替わったりしたら、もう2度と次郎は漫画の世界から抜け出れないわ」

元子)「私は、次郎の『現実逃避したい』『二次元の世界に行って見たい』という本望から生まれた生霊。出来ればこの漫画を踏み台にして、なんとか現実の世界に生き甲斐や楽しみを見付けてほしかった。でも逆効果だったか」
 
元子)「太郎に人生を乗っ取られちゃったりしたら、もう次郎は漫画の世界だけしか生きられない。太郎がその気にならなければ、次郎はこの世界へ返って来る事が出来ないのだから。つまり漫画に閉じ込められちゃうのよね・・・」
 
元子)「本当にそれでいいのかな?現実の世界の人生は今後も続くけど、漫画の中の主人公の人生はすぐ終わっちゃう。その漫画の最終ページに行けば終わるんだから。次郎はそれに気付かないまま漫画の世界に飛び込んじゃった」
 
元子)「そんな結末へ至る前に、自分の人生の価値に気付けばいいけど」

動画はこちら(^^♪
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