
遠距離恋愛の空白
タイトル:(仮)遠距離恋愛の空白
▼登場人物
●金木美沙(かねき みさ):女性。20歳。女性大生。
●小川智也(おがわ ともや):男性。20歳。美沙の彼氏(遠距離恋愛)。
▼場所設定
●美沙の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージで。
●智也の自宅:こちらも一般的なアパートのイメージでOKです(他府県在住)。
●街中:バイト風景や回想シーンなど必要でしたら一般的なイメージでお願いします。
NAは金木美沙でよろしくお願い致します。
(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3276字)
イントロ〜
皆さんこんにちは。
皆さんは今、恋愛してますか?
恋愛には普通の恋愛と遠距離恋愛なんかありますね。
今回は、遠距離恋愛をしている
あるカップルにまつわる意味怖エピソード。
メインシナリオ〜
ト書き〈パソコンに向かいビデオ電話〉
私の名前は金木美沙。
今年、20歳になる大学生。
私は今、遠距離恋愛をしている。
智也「…でさぁ、この前はそれで試験受けたんだけどさ、やっぱりゲリラ戦じゃダメだよね〜。結局ほとんどわからなくて、ほぼ白紙で出しちゃったよ〜」
美沙「え〜だめじゃんそれ〜♪w」
私は都内に住んでいる。
付き合ってる彼氏は他府県の人で、名前は小川智也。
たま〜にまとまった休みが出来たりすると
2人でスケジュールを合わせて会う。
距離や時間を考えると、やっぱり都内住みの人と
他府県住みの人とではいろいろ勝手が違う。
(金色の置き時計)
美沙「ねぇ、後ろに置いてある時計、すごく綺麗ね」
智也「ん、ああコレ?へっへ〜w実はこれ、この前電気屋さんで買ってきた期間限定品の時計でさ、もう売ってないんだ♪だから結構価値があるんだよ♪」
美沙「へぇ〜よかったね〜♪」
金色の時計、とても綺麗だった。
ト書き〈数日かけての連絡交換〉
私と智也はいつもビデオ電話している。
だからお互いの様子を画面を通して確認し、
その時ついでに部屋の様子なんかも見たりできる。
まぁこうゆう日常的な事も話のネタになって良い。
智也「また今度会いたいね〜」
美沙「あ、そうだね〜。でも最近結構忙しいからさぁ、学校とバイトの毎日で…w」
(数日後)
美沙「あれぇ?あの時計は?」
智也「ん、あ〜アレ?この前ちょっと落としちゃって壊れちゃったんだ」
美沙「え〜、もったいない〜」
智也「そうなんだよなぁ。俺も一生懸命修理してみたんだけど、結局直らなくてさ〜」
(別日)
美沙「ねぇね、今度まとまった休みが取れるから、もしかしたら会えるかもよ♪」
智也「え、マジで?嬉しいね♫言ってくれたら俺もその日の前後空けとくよ〜♫」
美沙「うん♫ちょっとまだスケジュール調整ちゃんとしてなくてさ、わかったら連絡するね〜」
智也「おう♫」
(別日)
それからまた数日後。
美沙「ごっめ〜ん、前言ってた休みの事なんだけどさぁ、あれダメになっちゃったみた〜い」(落ち込みながら)
智也「えぇ?どして??」
美沙「ほら、あたしバイト2つ掛け持ちしてるでしょ?1つはオーケーだったんだけど、もう1個のバイト先が今かなり忙しくてさぁ〜。そっちで『お願いだから入って』って言われちゃったんだぁ」
智也「マ〜ジかよぉ、せっかく会えるの楽しみにしたんだけどなぁ〜…」
美沙「ごめんねぇ〜」
この日、智也はいつになく浮かない顔をしていた。
美沙「ん、どうしたの?」
智也「…ん?あ、いやなんでもないよ」
美沙「うそ、なんか落ち込んでるじゃない?どうしたのよ?」
智也「ん、あ、いや…美沙さぁ、やっぱりなかなか会えないから、俺の事、もう飽きたのかなってさ…」
美沙「え?そ、そんな事あるわけないじゃない。どうしてそんなこと思ったのよ?」
智也「え、だってこの前もそうだったし、その前も同じような感じで会えなかったじゃん」
美沙「…」
確かにそうだった。
これまで私はずっとバイトを掛け持ちしてきて、
「会える」って思った時に智也に連絡したんだけど、
結局そのあとでまた忙しくなっちゃって
会えない日が続いたりしていた。
美沙「そっか。確かにそうだったよねぇ。…ごめんね。でも今度は本当にちゃんと会えるようにするから♪」
精一杯、明るく振る舞った。
でもやっぱり智也は浮かない顔してた。
ちょっと悲しかった。
私の悲しい気持ちとは裏腹に、
智也の後ろに置かれたあの金色の時計が
やけにキラキラ光ってた。
ト書き〈回想シーン〉
そう言えば付き合った当初は、私も無理にスケジュールを空け、
何が何でも智也と会う為、
2人で一緒に居られる時間を少し無理に作っていた時もあった。
多分、付き合い始めの頃は
ほとんどのカップルがそうじゃないだろうか。
会いたい気持ちが先行する。
それで気持ちも相手に充分伝わる。
でも日が経っていけば段々安心感が芽生えてきて、
暫く会わなくてもちょっと平気になってしまう。
男と女ではその辺の心境や考え方が違うのかもしれないが、
私と智也もその辺りの事で少し悩んだりしていた。
昔はよく智也も私の部屋に来てくれていた。
合鍵まで作って2人の空間をちゃんと確保して、
週末は必ず2人で一緒に過ごす…
そんな秘密のプランも2人の間で立てていた。
でも私の気持ちは変わってない。
本当に他に好きな人なんておらず、
ただバイトが忙しかっただけなのだ。
ト書き〈数日後〉
それから数日後。
私はやっぱりバイトバイトの生活で駆け回っていた。
昼から1つ目のバイトに入り、夕方から2つ目のバイトへ行く。
その間も智也と連絡だけはちゃんと取り合っていた。
ずっとビデオ電話でお互いの気持ちを確認し合う毎日。
そんなある日、少し不思議な気がした事がある。
(ビデオ電話)
美沙「あれ?…あそっか。時計、確か壊れたんだったよね?」
智也「ん、ああそうだよ♪」
前に聞いた通り、金の置き時計は無い。
でもちょっと記憶を辿りつつ、変な気がしていた。
そしてその日の夜。
また智也とビデオ電話で最近の事やいろんな事を話していた。
その日はけっこう智也も上機嫌で、
今の私のあり方をちゃんと認めてくれたみたいだ。
美沙「智也、ありがとね。また会える日ちゃんと作って、一緒に会おうね」
智也「ああ♪」
その時…
智也「あ、危ないっ」
と智也が言った。
美沙「え?…あっ」
私の右肘がテーブルに置いてあったコップに当たり、
コップが落ちて割れちゃった。
コップは画面枠に入っていなかったのに。
解説〜
いかがでしたか?
それでは簡単に解説します。
今回は金の置き時計と、ラストの場面を見れば
解る人にはピンと来たでしょうか。
まず置き時計ですが、この時計を智也は落として壊していました。
これは「修理しても直らなくてね」と言う智也のセリフからも分かるでしょう。
でもそのあとビデオ電話していた時、
「私の悲しい気持ちとは裏腹に、
智也の後ろに置かれたあの金色の時計が
やけにキラキラ光ってた」
…と美沙は置き時計を見ています。
おかしいですよね?
実はこれ、背景画像を合成していたのです。
だからこのとき美沙が見ていたのは、時計が壊れる前の智也の部屋の様子。
智也は美沙に捨てられるんじゃないか…と心配していました。
その心配が更にエスカレートしてしまい、
この時からある計画を練っていました。
それは…
美沙に気づかれないようにして、美沙の身辺を確認する事。
つまり美沙が浮気してるかどうかを確認する為、
自分がずっと変わらず自宅に居ると美沙に思わせておき、
知らない間に美沙の所へ行こうとしたのです。
この時計は限定品。
あとで買う事は出来ませんから、
新しい金の置き時計を買う事もありません。
美沙が「不思議な気がしていた」…
「ちょっと記憶を辿りつつ、変な気がしていた」…
と言ってたのは、
無い筈の金の置き時計を知らず内に見ていたからです。
その時は別の事に気が入(い)っていたので
気づかなかったのでしょう。
そして極めつけはラストの場面。
「また今度会おうね」と美沙が言った後、智也は…
「危ないっ」といきなり叫びました。
そしてその直後、美沙の右肘にコップが当たり、
そのコップはテーブルから床に落ちて割れます。
「コップは画面枠に入っていなかったのに」
と言うセリフからも分かるように、
画面越しに智也が電話していたなら
そのコップが見えている筈ありません。
そう、と言う事はこのとき智也は、
美沙の身辺が全て見える場所に居たわけです。
その場所とは美沙の部屋の中。
智也は以前、美沙の部屋に来た時に合鍵を持っていたので
美沙がバイトで走り回っているさなか、
知らず内に部屋に侵入していたのです。
クローゼットかどこかに隠れて、美沙の様子を見ていたのでしょう。
彼女との事が余りに心配で、先走ってしまった智也。
彼女を信じて待って居ればトラブルも無かったでしょうね。
ここまでする彼氏と付き合う女性は
果たして居るのでしょうか…?