下大静脈の呼吸性変位が2次元超音波画像におけるサイズ測定に及ぼす影響
Effect of Respirophasic Displacement of the Inferior Vena Cava on Size Measurement in 2-D Ultrasound Imaging
Ultrasound in Medicine & Biology 50 (2024) 1785−1792
Effect of Respirophasic Displacement of the Inferior Vena Cava on Size Measurement in 2-D Ultrasound Imaging - Ultrasound in Medicine and Biology
Abstract
目的:大静脈(IVC)の超音波(US)画像による患者の容積状態評価は、様々な臨床疾患の診断と予後に重要である。
下大静脈の超音波(US)画像による容積状態評価は、様々な臨床症状の診断や予後予測に重要である。一方向性のUS(Mモード)が主体であった下大静脈の臨床検査を改善するため、2次元USスキャン(Bモード)の自動処理により、描出面上の組織移動の追跡が可能となり、様々な方向への平均化が可能となった。
しかし、可視化された平面の外側にあるIVCの形状は制御されておらず、まだ評価されていないエラーを引き起こす可能性がある。
方法:我々は、長軸および短軸IVCビュー(X平面で同時取得)からの情報を統合する方法を用いて、8人の健常人の2次元USスキャンを用いたIVC直径推定の課題を評価した。
結果:USプローブとIVC間の相対的な動きは、IVCを評価する際に以下の問題を引き起こした。
2-DビューによるIVC直径の評価では、次のような問題が生じた。
内側-外側の変位に影響されたIVCの長軸方向の2-D USスキャンを用いた17%の誤差(中央値: 4mm)、ピッチ角がある場合の短軸ビューでIVC直径を測定した場合の誤差の中央値は7%および9%であった。
また、ピッチ角(中央値:0.12ラジアン)および頭蓋-尾部移動(中央値:15mm)の存在下で短軸像からIVC直径を測定した場合の誤差は、それぞれ中央値で7%および9%であった。
結論: Bモードスキャンの視野外にあるIVCの相対的な動きを検出することはできず、その結果、IVCの直径推定に課題が生じた。
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世界超音波医学会(WFUMB)のオフィシャルジャーナルUltrasound in Medicine and Biologyの12月号からです。IVC測定は度々、話題になり続けています。今回の論文はGE Vivid E95を用いて、これはマトリックスアレイプローブでしょうか、IVCの長軸と胆軸、それらを統合したX-planeという方法で撮影した動画を解析しています。対象は健常人8名です。著者はUmberto Parini Regional Hospital の循環器内科で、このグループは以前より、IVCの長軸[19]、短軸[20]を動画から自動でトラッキングする方法を本雑誌に報告しており、今回はそれに加えて3Dでどうか、ということのようです。トラッキングについては内容は記載されておらず、既報を読め、というスタンスです。
それで結局この論文で言っているのは長軸、短軸、3Dでずれがある、ということだけで、それは当たり前なのですが、Figure 1~3をみるとそれぞれ良く相関しています。誤差を一生懸命解析していますが、IVCは年齢や体格差で違うので、IVC測定で重要なのは絶対値ではなく同一個人の相対変化量であって、長軸でも短軸でもしっかりトラッキングできればそれで良い気がします。
内容と関係ないですが、この雑誌は文献は著者名で記載というルールだったと思いますが、遂に番号に変わったようです。