Contrast-Enhanced Sonography of the Liver: How to Avoid Artifacts 第1回

 市立横手病院の長沼裕子先生による、造影超音波検査のアーチファクトの解説レビューです。良くまとまっていて非常に良い内容なので、数回に分けて内容紹介したいと思います。

Contrast-Enhanced Sonography of the Liver: How to Avoid Artifacts

Abstract
造影超音波検査(CEUS)は臨床現場において非常に重要な画像診断ツールである。しかし、BモードUS関連アーチファクトのようなアーチファクトの可能性がある。CEUS画像の誤った解釈を避けるためには、超音波物理学とこれらのアーチファクトに関する十分な知識が不可欠である。この総説では、CEUSの基本的な物理学と関連するアーチファクトを説明し、それらを回避するためのいくつかの例を示すことを目的とする。この総説には、フレームレート、走査モード、日常的なCEUS検査で遭遇する様々なアーチファ クトに関する問題が含まれる。CEUSにおけるアーチファクトは、(1)CEUS画像の背景となるBモードUS関連のアーチファクトと、(2)CEUS法に特有 に関連するアーチファクトの2つのグループに分けられる。前者には、屈折、反射、残響(多重反射)、減衰、鏡像、レンジアンビギュイティのアーチファクトが含まれる。前者の場合、表示されたアーチファクト像を読み取るにはBモードUSの知識があれば十分である。したがって、このグループでは、最も有用なアーチファクト回避戦略は、CEUSとBモード画像を同時に比較できる参照Bモード画像を使用することである。後者の場合、CEUS特有のアーチファクトとして、微小気泡破壊アーチファクト、長時間の不均一集積アーチファクト、CEUSに関連した後方エコー強調などがある。これらのアーチファクトを正しく解釈するためには、CEUS画像に出現するメカニズムを理解する必要がある。したがって、このグループでは、周波数や深さなどの検査条件を変えて現象の不安定性を確認することが最も有用なアーチファクト回避策となる。

Diagnostics | Free Full-Text | Contrast-Enhanced Sonography of the Liver: How to Avoid Artifacts (mdpi.com)

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 まずBモードでもみられるアーチファクトと造影固有のアーチファクトに分けて紹介されています。
 Bモードについてかいつまんで紹介します。
Refraction artifact(フラッグサイン)は肝硬変で肝表の凹凸から生じる縞状の音響陰影で、左葉においては腹直筋による屈折が影響するので、縦操作が有効になります(Figure 5)。
 Attenuation artifactは深部減衰の増強で、周波数を下げるのが有効です。また、腹水が貯留している場合、後方エコー増強が効いて腫瘤と間違えないよう注意です(Figure 9)。
 Range-Ambiguity artifactは巨大肝嚢胞による屈折による嚢胞内の雲状エコーです。これについては同じく長沼先生のReviewが詳しいです(Naganuma H, et al. J Med Ultrasonics, 2019, 46, 317-324)。視野深度を深くする、PRFを上げる、といった対策でartifactが消失します。

 次回、造影特有のアーチファクトの部分を紹介したいと思います。

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