5Gを用いたロボット支援遠隔腹部超音波の可能性と安全性

Feasibility and Safety of 5G-Based Telerobotic Abdominal Ultrasonography

Feasibility and Safety of 5G‐Based Telerobotic Abdominal Ultrasonography - Liang - 2024 - Journal of Ultrasound in Medicine - Wiley Online Library

Abstract
目的
遠隔医療は距離に関係なく遠隔地の患者にサービスを提供できる。第5世代(5G)モバイルネットワークは低遅延であるため、遠隔医療を実用化する可能性がある。本研究は、遠隔地での臨床応用において、新規の5Gロボット支援遠隔腹部超音波(AUS)遠隔医療技術の実現可能性と安全性を評価することを目的とした。

方法
医師から100km以上離れた場所にいる患者を対象に、5Gベースの遠隔操作AUSを実施した。

結果
遠隔操作によるAUSはベッドサイドでのAUSよりも検査時間が長かったが、完全検査率に劣ることはなかった。検査中に不快感を覚えたボランティアはおらず、検査時間は全員にとって許容範囲であった。

結論
我々の知見により、5Gを用いた遠隔操作AUSの臨床における実行可能性と安全性が確認された。

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 ちょっと古いですが、Journal of Ultrasound in Medicineの2月号から、台湾発の研究です。遠隔超音波検査は実は新しい話題ではなく、既に20年ほど前に電気通信大学の小泉憲裕先生が当時在籍されていた東大で実現させ、これが世界初だったかと思います。

 Figure 1では、マニュピレータはなかなかコンパクトに見えます。遠隔操作と、人間がベッドサイドでスキャンするのとを比較していますが、39例と、結構な数です。BMI中央値が26と、なかなか厳しい体格の方が多かったようです。5G使用で遅延は180msと、タイムラグはあまり感じなかったのではないでしょうか。

 完全検査率は97.4% vs 82%とベッドサイドに分があり、遠隔では膵が4例見えなかったそうです。検査時間は平均146秒vs592秒と差がありますが、そもそも2分ちょっとのスクリーニングが速すぎる訳で、10分はAcceptableな時間で、検査後受診者のアンケートも100%がこの時間ならOKと回答しています。またこの検査を受けたいですか?の質問には97.1%がYesの回答でした。その真意は本文には書いていませんでしたが…。

 遠隔地において腹部スクリーニングを行うには有用な手段であることは確かで、結局人間が操作するのでスキルのある検査者が必要ですが、将来、そこもAIに置き換えられていくのかとも思います。

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