フォンタン手術後の超音波肝硬度測定の体位変換、水負荷、利尿の効果
Effect of maneuvers, diuresis, and fluid administration on ultrasound-measured liver stiffness after Fontan
Debnath, Pradipta1; Morin, Cara E.1,2; Bonn, Julie3,4; Thapaliya, Samjhana1; Smith, Clayton A.3,5; Dillman, Jonathan R.1,2; Trout, Andrew T.1,2,3
Hepatology Communications (lww.com)
Hepatology Communications 8(10):e0527, October 2024.
Abstract
背景
Fontan循環患者と健常対照者における超音波肝硬度測定(LSM)に対するストレス操作/介入の影響を明らかにすること。
方法
フォンタン術後の患者10人と健常対照者10人を対象としたこのIRB承認の前向き研究では、ベースライン時および最大吸気、最大呼気、立位、ハンドグリップ、有酸素運動、静脈内輸液(500mLの正常生理食塩水)投与、および静脈内フロセミド(20mg)投与後に超音波2Dせん断波エラストグラフィーのLSMを取得した。LSMの絶対値および変化率は、ベースライン時と各操作後、そして輸液後から利尿後とで比較した。
結果
年齢中央値はフォンタン後群で25.5歳、コントロール群で26歳であった(p = 0.796)。Fontan後のLSMはベースライン時(2.6m/s vs 1.3m/s)およびすべての操作でコントロールと比較して高かった(すべてp<0.001)。操作、運動、水分、利尿によるLSMの変化は、Fontan後の患者ではベースラインと比較しても有意ではなかった。対照群では、吸気(+0.02m/s、1.6%、p=0.03)、起立(+0.07m/s、5.5%、p=0.03)、水分投与(+0.10m/s、7.8%、p=0.002)でLSMはベースラインと比較して増加し、利尿剤投与60分後(-0.05m/s、-3.9%、p=0.01)で減少した。利尿薬投与後のLSMは、30分後(-0.79m/s、-26.5%、p=0.004)および60分後(-0.78m/s、-26. 2%、p=0.017)、15分後(-0.12m/s、-8.70%、p=0.002)、30分後(-0.15m/s、-10.9%、p=0.003)、60分後(-0.1m/s、-10.9%、p=0.005)であった。
結論
Fontan後のLSMはコントロールと比較して変動が大きく高い。利尿は、Fontan後の患者と対照の両方で肝硬変の有意な減少と関連しており、Fontan患者ではより大きな効果が示唆される。
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Hepatology Communicationsという、結構良い雑誌に掲載された論文です。フォンタン循環の患者さんと正常コントロールそれぞれ10名について、呼吸、体位変換、有酸素運動、水負荷、利尿剤といろいろなことをして肝硬度を比較した研究です。面白いですね。正常コントロールでの肝硬度がいろいろ変化する、という部分だけでも勉強になります。
米国のシンシナティ小児医療センターという施設からですが、キャノンのAplio i800を使用しています。水負荷は500mlまでの生食点滴、利尿はフロセミド20mgです。倫理観はギリギリというか、自分ではここまではできないですね。
Table 2とFigure 1でだいたいわかります。ざっくり言うと、いろいろな手技でフォンタン循環では変動するけれども元々高値なのでベースラインからの有意差は無し、正常ではやはり変動して、もともと低値なのでベースラインから有意差はつくけれども上昇しても基準値はほぼ超えない、というところでしょうか。SWE測定は呼気で、と言われ、この結果からは確かにその通りですが、あまり厳密でなくてもあまり問題は無い、と言えなくもないです。
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