肝細胞癌サーベイランスのためのLI-RADS USサーベイランスバージョン2024:米国放射線学会US LI-RADSの最新版
LI-RADS US Surveillance Version 2024 for Surveillance of Hepatocellular Carcinoma: An Update to the American College of Radiology US LI-RADS
Radiology 2024; 313(3):e24016
LI-RADS US Surveillance Version 2024 for Surveillance of Hepatocellular Carcinoma: An Update to the American College of Radiology US LI-RADS | Radiology
Abstract
2017年、米国放射線学会(American College of Radiology)は、肝細胞癌発症リスクのある患者に対するUSサーベイランスの枠組みとして、US Liver Imaging Reporting and Data System(LI-RADS)を導入した。これにより、手技、臨床報告、患者管理、データ収集、研究の標準化が進んだ。新たなエビデンスが、現在LI-RADS US Surveillance version 2024としてリリースされているアルゴリズムの変更に役立った。更新されたアルゴリズム、変更の根拠、2023年米国肝疾患学会診療ガイドラインとの整合性を示す。
Summary
Liver Imaging Reporting and Data System US Surveillance version2024のアップデートは、2017年以降に得られた新しいデータを反映し、肝細胞癌に関する2023年米国肝臓病学会診療ガイドラインに沿ったものである。
Essentials
肝細胞癌(HCC)リスクのある患者に対するLI-RADS(Liver Imaging Reporting and Data System)USサーベイランスバージョン2024のアップデートは、HCCに関する2023年米国肝疾患学会診療ガイダンスに沿ったものである。
最新版では、可視化スコアVIS-C(重度制限)の患者について、3ヵ月以内の再USと代替サーベイランス法へのパスを推奨している。
最新版では、US-2(閾値以下)の検査カテゴリーについて、フォローアップ期間の短縮を推奨している。
本更新版では、α-フェトプロテイン値の上昇を伴う、または伴わない患者に対する管理推奨が含まれている。
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Radiology 2024年12月号からです。LI-RADS USは肝細胞癌の超音波診断のためのカテゴリー分類ですが、今回のアップデートでは、描出不良の対処、AFP上昇も考慮すること、動画撮影の注意などが追加されているようです。
概要はFigure 1にあります。
US-1 Negative : 超音波でHCCの所見無し → 6か月おきに超音波検査
US-2 Subthreshold : 10mm未満で良性と確定できないもの → 3~6か月おきに超音波検査
US-3 Positive : 10mm以上で良性と確定できないもの、肝実質のひずみ、または新規の門脈または肝静脈の塞栓 → MRI、CTまたは造影超音波検査
VIS-A : 肝実質は均質または軽度不均質。減衰は最小限。ほぼ全体が描出。
VIS-B : 肝実質は不均質で10mm未満の病変の検出に影響がある程度。減衰は中等度。肝の一部や横隔膜は描出されない。
VIS-C : 肝実質は硬度に不均質。減衰は高度。右葉または左葉の半分以上が描出されない、横隔膜の半分以上が描出されない。 → 3か月以内に超音波検査または代替となるモダリティ
推奨撮影断面はFigure 12にあります。
縦操作
左葉
・正中の左側
・正中(大動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈を含む)
・IVC(尾状葉、門脈本幹、膵頭部を含む)
・門脈左枝
右葉
・胆嚢
・右腎
・右横隔膜と胸腔
・最外側
横操作
左葉
・門脈左枝
・肝鎌状間膜:傍臍静脈評価のため
・肝縁を含む左葉全体
門脈右枝・左枝分岐部
右葉
・門脈右枝
・門脈本幹
・胆嚢
・右腎
・肝縁を含む右葉全体
・肝の先端
合計18枚と、結構な撮影枚数になりそうです。
動画撮影は、
・肋弓下横操作で心臓直下から肝門部を通って膵頭部まで。CT/MRIと比較できるように。
・右葉横操作で横隔膜から右葉下面まで。
・左葉縦操作:正中から外側端まで。
・1cm以上の病変があった場合。
米国の放射線科医が考えるHCCハイリスクグループの肝臓スクリーニング方法ということで、なかなか興味深いですね。