同所性肝移植後の副腎出血の造影超音波検査による観察:後方視的研究
Contrast-enhanced ultrasound appearance of adrenal hemorrhage after orthotopic liver transplantation: a retrospective study
Abstract
目的
この研究は、OLT後の副腎出血(AH)の発生率を明らかにし、超音波検査(US)および造影超音波検査(CEUS)の特徴をまとめることを目的とした。
方法
2010年1月から2023年11月までに当院でOLT後に副腎病変を認めた患者をレトロスペクティブに検討した。基準診断は、手術データ、コンピュータ断層撮影スキャン、磁気共鳴画像診断に基づいて定義し、少なくとも12ヵ月の追跡を行った。OLT後のAHの発生率、USおよびCEUSの特徴を分析し、副腎転移のそれと比較した。
結果
合計23例(1.2%)のAHと7例(0.35%)の副腎転移が評価された。転移と比較して、血腫はより不均質(57% vs 0%、P = 0.010)、低エコーまたは混合エコーパターン(96% vs 71%、P = 0.022)、無エコー領域(52% vs 0%、P = 0.024)を有し、そのエコー質はより経時的に変化した(65% vs 0.14%、P = 0.031)。CEUSはAH患者12人と転移患者2人に施行された。活発に出血している血腫1例では 「ジェット状 」の造影剤の上方流入が観察されたが、静止している血腫では増強は観察されなかった(100%)。しかし、副腎転移では、動脈の初期相で造影増強がみられ、その後、後期相で速いウォッシュアウトがみられ(100%)、その差は統計学的に有意であった(P<0.001)。
結論
OLT後のAHの超音波学的特徴は経時的に変化する。副腎病変が検出された場合には、AHと転移を鑑別できるCEUSが推奨される。
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Abdominal Radiology 9月号からです。最近経験した病態なので、個人的に興味がありました。肝移植後の副腎出血がそんなに良くあるものかと思ったら、14年間の肝移植2,056例中の23例の副腎出血ということで、さすがにそれほど多くは無いですが、1%以上なのでごく稀、ということではないようです。単施設からで、大変な数の肝移植症例数です。
Figureには、Abstractに記載された通りの画像が供覧されており、納得の結果、納得の画像で勉強になります。血種では半数では不均質で、無エコー域の頻度が高く、転移ではそれらはみられなかった、というのも実践的で有用な知見と思いました。
造影剤はSonoVueで、40秒~5分後を後期相と定義しています。
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