肝内胆管癌と肝細胞癌の鑑別における磁気共鳴画像法と造影超音波法の診断能:メタ解析

Abdominal Radiology (2024) 49:34–48
https://doi.org/10.1007/s00261-023-04064-z
 
Abstract
目的 肝内胆管癌(ICC)と肝細胞癌(HCC)の鑑別における磁気共鳴画像法(MRI)と造影超音波法(CEUS)の診断能を比較すること。
方法 肝内胆管癌(ICC)と肝細胞癌(HCC)の鑑別におけるMRIとCEUSの診断精度を報告した原著論文をPubMedおよびEMBASEのデータベースから同定した。病理組織学的検査を腫瘍診断の参照標準とした。研究の質はQUADAS-2スケールで評価した。データを抽出し、二変量ランダム欠陥モデルを用いてプールされた診断感度、特異度、診断オッズ比(DOR)、および曲線下面積(AUC)を算出した。感度分析、サブグループ分析、メタ回帰、出版バイアスの調査も行った。
結果 28のデータサブセット(MRIで18、CEUSで10)を含む合計26の研究が対象となり、ICCを有する4169人の患者から構成された。1422例のICCと2747例のHCCから成る。ほとんどのMRI研究は肝胆道系薬剤を使用して3Tで行われ、ほとんどのCEUS研究はSonoVueを使用した。ほとんどのCEUSではソノビューが造影剤として使用された。MRIでは、ICCとHCCを区別するプール感度、特異度、DOR、AUCは0.81(HCCは0.81)であった。
肝内胆管癌と肝細胞癌の鑑別におけるプール感度、特異度、DOR、AUCは、それぞれ0.81(0.79、0.84)、0.90(0.88、0.91)、41.47(24.07、71.44)、0.93(0.90、0.96)であった。プールされた 感度は0.88(0.84、0.90)、特異度は0.80(0.78、0.83)、DORは42.06(12.38、133.23)、AUCは0.93(0.87、0.99)であった。
サブグループ解析およびメタ回帰分析により、MRI研究における造影剤の種類に関連した研究間の有意な異質性が示された。出版バイアスは認められなかった。
結論 MRIとCEUSはともに、ICCとHCCの鑑別において優れた診断能を示した。プールされた感度はCEUSの方が高く、プールされた特異度はMRIの方が高かった。
 
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 中国からのメタ解析です。造影剤は恐らく日本からの1本だけSonazoidで、その他は全てSonoVueと思われます。クッパ―細胞に貪食される前者と、ほぼ細胞外液造影剤の後者をごっちゃにするのは問題かと思います。どの所見が有用だったか、という点にほぼ言及が無かったのは残念です。 
 
 また、臨床において、「肝腫瘍の診断がHCCかICCのどちらかであることはわかっているけれども、そのどちらなのかを調べるのにどのモダリティが良いか?」という問いはありません。論文を作ることが目的、というような内容でした。Discussionのところで、各国の造影超音波検査のHCC診断における位置づけが記載されていた点(日本、ドイツ、イタリアではガイドラインに入っており、米国では入っていない、世界超音波医学会WFUMBでは当然含まれる)は唯一勉強になりました。米国でガイドラインに入っていないのは、前向き試験が無いから、とも記載されていました。

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