造影超音波による胆嚢ポリープのリスク予測の実際:腺腫とコレステロールポリープの鑑別
A practical contrast-enhanced ultrasound risk prediction of gallbladder polyp: differentiation of adenoma from cholesterol polyp lesion
臨床的特徴、超音波所見、CEUS所見を組み合わせることにより、胆嚢隆起性病変(GPL)のリスク予測システムを確立し、リスク予測システムの応用価値を探ることを目的とした。
癌の28例、炎症性ポリープの57例は除外し、1878例を対象とした。コレステロールポリープは1387例、腺腫は158例。
最大GPLs径、エコーレベル、造影の増強強度、血管タイプ、CDFIで検出された血管性、およびGPLs茎幅を含む6つの予測因子を含む縮小モデルが最終モデルとして選択された。茎幅は3段階(≤2.0、2.0-3.1、>3.1mm)のカテゴリー変数に変換された。6つの予測因子はすべて腺腫発生と有意に関連していた。
図4は、内部・外部・外部検証から得られた最終モデルのROC曲線である。AUCは0.979(95%CI、0.970-0.988)、0.977(95%CI、0.966–0.987)、
0.991(95%CI、0.984-0.999)であった。
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Abdominal Radiology 2025年2月号、北京からの論文です。なんとこの論文にはAbstractがありません。そんなの見たことないのですが、どういうことなんでしょうか。上に示したのは本文をところどころ抜粋してAbstract風にしたものです。
内容としては、とにかく対象を絞るのにいろいろ除外している点が根本的におかしいです。最も大事なのは癌の診断ですが、癌の可能性は無いものとして解析しています。全く臨床に即していません。データはあるはずなので、査読で直して貰えば良いのに、それができていないのは信じられません。この雑誌の見識を疑います。造影エコーはhyper enhancementが腺腫、ということですが、ドプラ所見との交絡はどうなっているのか良くわかりません。またコレステロールポリープは有意差をもって高エコーが多い、と言っていますが、Table 2を見る限り殆ど差がありません。症例数が多いから差が出たんでしょうか。計算ミスかもしれません。茎が太いのが腺腫、という点はこの論文から学べる数少ない事項かと思いました。最後に、中国の研究者はノモグラムが大好きですね。そういった教育があるのでしょうか。