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造影超音波を用いた大腸肝転移患者のネオアジュバント療法効果判定-組織学的病理診断をゴールドスタンダードとして

Classification of Neoadjuvant Therapy Response in Patients With Colorectal Liver Metastases Using Contrast-Enhanced Ultrasound—With Histological Pathology as the Gold Standard

Classification of Neoadjuvant Therapy Response in Patients With Colorectal Liver Metastases Using Contrast-Enhanced Ultrasound—With Histological Pathology as the Gold Standard - Ultrasound in Medicine and Biology

Abstract
目的
大腸直腸癌肝転移患者のネオアジュバント療法に対する効果を評価すること。
超音波(US)および造影超音波(CEUS)を用いて、病理学的結果の腫瘍退縮グレード
(TRG)に補正した。
方法
本研究は、2022年2月から12月までに入院した切除可能なCRLM患者を対象とした。少なくとも4サイクルのネオアジュバント療法後、全例が肝切除前2週間以内にUS検査とCEUS検査を受けた。
CEUS動画はカラーパラメーターイメージング(CPI)とマイクロフローイメージング(MFI)で後処理された。ロジスティック回帰分析を用いて評価ノモグラムを作成した。奏効群(TRG1/2/3)と非奏効群(TRG4/5)を病変レベルで識別する超音波に基づくモデルを構築した。
モデルの予測能力はC指数と検量線を用いて評価し、決定曲線解析によりノモグラムの評価能力を評価した。

結果
105個のCRLM病変(各患者について最も直径の大きい病変を解析)を解析した、
43.8%が治療効果を示した。単変量解析により、USでの石灰化(p = 0.039)、CEUS
増強度(p<0.001)、CEUS増強パターン(p<0.001)、CEUSウォッシュアウトタイプ(p<0.001)、CEUS壊死(p<0.001)、CPI供給動脈(p=0.003)およびMFIパターン(p<0.001)がTRGと有意に関連した。
多変量解析では、CEUS造影パターン(p = 0.026)、CEUSウォッシュアウトパターン(p=0.018)およびCEUS壊死(p=0.005)は、ネオアジュバント療法の奏効と独立して関連していた。
3つの独立した予測因子を用いたノモグラムが作成され、そのAUCは0.898であった。
結論: 超音波に基づくモデルは、CRLM患者の術前化学療法に対する病理学的腫瘍反応を正確に評価することができ、個別化された治療戦略の決定に役立つ可能性がある。

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 こちらも世界超音波医学会(WFUMB)の2025年1月号からです。造影超音波検査の化学療法への効果判定の論文は山ほど出ていますが、多くは早期治療効果判定で、その後の造影CTやMRIとの比較、というものですが、本論文ではネオアジュバンドを切除された組織と比較した、というのがユニークです。No enhancementが治療効果になるというのは常識的ですが、本論文では病理組織を参照しているのでそれ以外の所見も調べており、wash outが遅いこと、も治療効果としている点が参考になります。と思ったら文献26、27、32で既に言われていたことのようです。いずれも大腸癌肝転移の研究です。この知見は今後の化学療法との比較においても応用できるかもしれません。
 Wash-outについてはDiscussionの5段落目で考察されており、HCCではwash-outが速いことは微小脈管浸潤と関連があり、生物学的悪性度に影響していること、肝転移では類洞を経由しないAVシャントがwash-outを速くしている、ということが記載されています。単純に肝転移の病変内には類洞が無いから、ということで良いかと思いますが、そのあたりの話は文献34に出ているようです。

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