多分散マイクロバブルと単分散マイクロバブルの比較: 造影超音波イメージングのためのシミュレーション研究

Polydisperse Versus Monodisperse Microbubbles: A Simulation Study for Contrast-Enhanced Ultrasound Imaging

Polydisperse Versus Monodisperse Microbubbles: A Simulation Study for Contrast-Enhanced Ultrasound Imaging - Ultrasound in Medicine and Biology

Abstract
目的
造影超音波(CEUS)は診断用エコー検査において明確な利点をもたらす。従来の造影剤としてマイクロバブル(MB)を使用することにより、血管の可視化と臓器の灌流が促進され、リアルタイムで非侵襲的な処置が容易になる。現在、造影効果を最適化し、安定した挙動と信頼性の高いイメージング結果を保証するために、従来の多分散MBを新しい単分散製剤に置き換える傾向がある。本研究では、様々なサイズの単分散MBを使用して達成された造影増強と、従来のCEUSで観察された非線形画像アーチファクトに対するその影響について検討する。

方法
過度な実験を行わずに単分散と多分散の集団の違いを調べるために、正確で客観的かつ迅速な結果を得るための数値シミュレーションを採用した。反復非線形造影源(INCS)法は、各気泡が個々の特性を持ち、数オーダーの多重散乱が重要な大規模集団における超音波伝搬をシミュレーションする際に有効であることを以前に実証している。そこで、単分散および多分散MBの両方を現実的にシミュレートするために、この方法を採用した。

結果
CEUSイメージングで得られた知見から、共鳴単分散MBからの散乱は多分散MBからの散乱よりも11.8dB強いことが示された。さらに、単分散集団の下流における非線形画像アーチファクトの振幅は、多分散懸濁液と比較して19.4dB強い。

結論
様々な単分散懸濁液と比較した多分散集団における多重散乱の影響を調査した結果、単分散MBは、特に共鳴時に、より効果的な造影剤であることが明らかになった。単分散集団の強いS/N比にもかかわらず、非線形波動伝播に起因する画像アーチファクトも強調され、その結果、MBを組織としてさらに誤分類してしまう。

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 WFUMBの雑誌、Ultrasound in Medicine and Biology 3月号からです。オランダはデルフト大学発です。単分散とは聞き慣れない言葉ですが、単一の大きさの粒子、という意味だそうです。現状使用しているマイクロバブルとは、SonoVueやSonazoidということで、注射用水をバイアルにプシュッと注入して溶いているので多分散ですが、単分散にすると11.8dB強いとのことで、結構な違いですね。

で内容は私にとってはかなり難解...。興味を持って勇んで読もうとしたものの、全く理解できませんでした。ほぼ数学とか物理の論文です。単分散のマイクロバブルというものはなかなか無いのでコンピューターシミュレーションを行っていますが、Discussionのパートが無く、単分散のマイクロバブルをどうやって作成するのか、見通しを知りたいところです。Figure 5, 6がイメージが伝わるかなと思いました。粒子径3.2μmでは2ndハーモニックが、1μmでは3rdハーモニックが至適というようなことが読み取れます。

 Introductionには背景がわかりやすく説明してありましたので、以下に訳出します。

超音波が共振MBサスペンションを伝搬する際、サイズ、シェル特性、超音波圧力、周波数によって影響される非線形MB散乱により、非線形歪みを受ける。
欠点として、波の歪みがMB懸濁液の外側にまで及ぶことがあり、組織をMBと誤認させ、CEUSイメージングの特異性を低下させる [9] 。MB集団のサイズ分布を狭くすることで、音響散乱を改善し、画像化アーチファクトを低減し、散乱の均一性を高めることができる。歴史的に、様々なサイズ分布(典型的な半径は0.5~15 µm)の多分散MBが超音波造影の標準であった [10,11]。最近の技術革新により、単分散、すなわち均一な大きさのMBを使用する可能性が出てきた [12]。単分散MBの優位性を強調する研究もあり [13]、予知性の向上、音響性能の改善、鮮明な画像信号が得られるようになった [14,15]。しかしながら、深部血管イメージングのための造影剤としての単分散MBの効果、特に、より明瞭なエコーの生成とイメージングアーチファクトの低減について、より多くの光を当てることが重要であると我々は考えている。

 肝細胞癌への肝動脈化学塞栓療法で、ゼルフォーム、ジェルパートを三方活栓を通して破砕すると粒子径はバラバラになるが、ビーズ製剤は単一径なので、より末梢の動脈に到達する、という話を思い出しました。本件とは関係ありませんが。


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