Fusion Imagingは、操作技術による膵臓可視化の改善を客観的に示す: 前向き介入研究

Fusion Imaging Objectively Demonstrates Improved Pancreas Visualization through Manipulation Techniques: A Prospective Interventional Study

Intern Med 63: 2729-2737, 2024
Fusion Imaging Objectively Demonstrates Improved Pancreas Visualization through Manipulation Techniques: A Prospective Interventional Study

Abstract
目的 腹部超音波検査(AUS)は、安価、安全、簡便であることから、腹部疾患のスクリーニングに用いられている。しかし、AUSによる膵疾患の検出率は満足できるものではない。我々は、融合画像によるAUSの膵臓の描出領域と操作法の有効性を評価した。

方法
20名の健常ボランティアから仰臥位と右側臥位でMRIボリュームデータを得た。MRIボリュームデータはフュージョンイメージングソフトウェアプログラムを搭載した超音波診断装置に転送した。フュージョンイメージングを用いたAUSを用いて姿勢変化前後の膵臓の可視化領域を評価し、無作為に選んだ10名のボランティアを対象に500mlの脱泡水を用いた液体充填胃法を評価した。対象者 本研究は、平均年齢33.0歳(21-37.5歳)の健康なボランティア20名(男性19名、女性1名)を対象とした。
 
結果
融合イメージングにより、AUSによる膵臓全体の可視化面積は55%であったが、姿勢変化により75%、液体充填胃法では90%に有意に改善した(p=0.043)。消化管ガスは膵臓の可視化の主な障害である。

結論
Fusionイメージングにより、操作テクニックが膵臓の可視化を改善することが客観的に示された。

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 日本内科学会英文誌のInternal Medicineから、鳥取大学発の論文です。磁気センサーを用いたMRIとのフュージョン画像を使用して、健常ボランティアを対象として膵臓の描出を向上させた、という内容です。MRIでも超音波でも仰臥位、右側臥位で撮影しており、超音波では飲水もしています。
 Table 2では胃、横行結腸、膵の位置関係など、体位変換での変化がわかりやすく示されています。即ち、仰臥位で膵の上にある胃が右側臥位で膵の下にずれる、仰臥位で脾臓の上にある横行結腸が右側臥位で下にずれる、ということです。

 Table 3は、仰臥位よりも右側臥位で、更に飲水法で膵の描出が良くなることを示すものですが、有意差がついたのは体部と全体だけで、頭部、尾部は差が無い、というのは仰臥位での描出率が元々良いことが影響しているのでしょうか。

 とは言え、こういった経験的に行っていることを科学的に証明するのは重要です。内科学会雑誌にこの内容が載るのは意外でした。

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