Velacur ACEがMASLDの診断においてFibroScan CAPを上回る

Velacur ACE outperforms FibroScan CAP for diagnosis of MASLD

Loomba R, Ramji A, Hassanein T, Yoshida EM, Pang E, Schneider C, Curry MP,
Afdhal NH. Velacur ACE outperforms FibroScan CAP for diagnosis of MASLD. Hepatol
Commun. 2024 Mar 22;8(4):e0402. doi: 10.1097/HC9.0000000000000402. PMID:
38517204; PMCID: PMC10962894.
Hepatology Communications

Abstract
背景 代謝機能障害に関連した脂肪性肝疾患の有病率が増加するにつれて、肝生検に代わる非侵襲的な方法が不可欠である。Velacurは、非侵襲的なポイントオブケア超音波ベースの肝硬度および肝減衰の評価法を提供する。この研究の目的は、MRIに基づく測定値を参照標準として、VelacurとFibroScanにより測定された肝硬度および肝脂肪のhead-to-head比較を行うことである。

方法 この前向き横断研究では、十分に特徴付けられた代謝機能障害に伴う脂肪性肝疾患を有する成人164人を対象とした。患者は、Velacur、FibroScan、同時期の磁気共鳴画像法プロトン密度脂肪率(MRI-PDFF)スキャンを含む検査を受けた。主要アウトカムは、磁気共鳴エラストグラフィで測定した進行した線維化(>F2)の有無と、MRI-PDFFで測定した肝脂肪(>5%)の有無であった。

結果 平均年齢は57±12歳、肥満度は30.6±4.8kg/m2であった。磁気共鳴エラストグラフィの平均肝硬度は3.22±1.39kPa、MRI-PDFFの平均肝脂肪は14.2±8%であった。VelacurとFibroScanによる肝硬度評価は、進行した線維化の検出に関しては同等であり(AUC 0.95対0.97)、統計学的な差はなかった(p=0.43)。Velacurは、MRI-PDFF >5%(代謝機能障害関連肝疾患の診断)の検出において、FibroScanよりも有意に優れていた(AUC 0.94 vs 0.79、p=0.01)。

結論 MRI-PDFFを基準とした肝脂肪検出において、VelacurはFibroScanより優れていた。VelacurとFibroScanは、磁気共鳴エラストグラフィで定義された肝硬度評価において統計学的な差はなかった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 前回紹介しましたVelacurで使用されているACEという減衰測定機能の検証論文で、アメリカ肝臓学会(AASLD)が出版しているメジャーな雑誌(2024年1月号)に掲載されています。かなりインパクトのあるタイトルです。の割にattenuation coefficient estimate (ACE)の原理説明はありません。
Abstractに記載されていないこととして、Figure 3にはPDFFとの相関が示されていて、相関係数はCAP 0.57、ACE 0.84ということで、明らかに上回っているように見えます。CAPは連続200枚のデータを取得するCAPcではなくて10回計測のCAPではないかと思います。どちらにしても100cm3のボリュームで取得しているので、原理的にはそれでおかしくはないです。またACEの測定成功率は86.6%とのことでした。
なお、Velacurのメーカー、SonicIncytesではACEの次世代として、VDFFという機能を発表、FDA承認も得ています。これについては次回、紹介します。

いいなと思ったら応援しよう!