超音波とマイクロバブルによる機能的血管系の減少は、マイクロバブル、腫瘍のタイプ、治療後の時間に依存する
Ultrasound and Microbubble-Induced Reduction of Functional Vasculature Depends on the Microbubble, Tumor Type and Time After Treatment
Ultrasound and Microbubble-Induced Reduction of Functional Vasculature Depends on the Microbubble, Tumor Type and Time After Treatment (umbjournal.org)
Ultrasound Med Biol. 2024 Oct 9:S0301-5629(24)00337-5. doi: 10.1016/j.ultrasmedbio.2024.09.003.
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Abstract
[目的] 超音波とマイクロバブルの併用は、腫瘍組織における様々な治療薬の集積を促進し、分布を改善することができ、有効性の向上につながる。治療が腫瘍の微小環境に与える影響を理解することは、微小環境の属性が治療成績にどのように影響するかということと同時に、将来の臨床試験において適切な患者コホートを選択するために重要である。本研究の主な目的は、超音波とマイクロバブルが癌組織の機能的血管系に及ぼす影響を調べることである。
[方法] マウスの4つの異なる腫瘍モデル(骨肉腫OHS、膵癌KPC、乳癌4T1、結腸癌CT26)を、造影超音波を用いて血管パラメータに関して特徴付けた。次に、マイクロバブルと超音波による治療の効果を免疫組織化学と共焦点顕微鏡を用いて調べ、血管系の総量と機能的血管の割合を定量化した。臨床造影剤であるSonoVueと、治療目的で調整された音響クラスター療法(ACT)で発生する大きな気泡の2種類のマイクロバブルが使用された。
[結果] 大腸がんモデルは、他のモデルよりも流れは遅いが血管量は多かった。膵臓モデルは最も速い流速を示したが、血管量は最も少なかった。超音波とSonoVueは、治療直後に乳癌と大腸癌の機能的血管系を一過性に減少させた。ACTでは減少は観察されなかったが、これはおそらく超音波パルスが短く、加える圧力が低かったためであろう。
[結論] 組織特性による腫瘍モデル間のばらつきは、灌流の変化が薬物送達や治療成績に大きな影響を及ぼす可能性があるため、対象とする特定の組織における治療適性を評価することの重要性を強調している。
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WFUMBのJournalの10月号からです。SonoVueを用いた癌の超音波治療のマウス実験の研究です。
Figure 1は造影超音波検査でのTime Intensity Curveの各パラメータと癌種の違いを示しています。例えばRise time(流入の立ち上がりの速度)は膵癌、乳癌、骨肉腫、大腸癌の順に速い、などです。
Figure 4はCD31の免疫染色によって血管の分布を検討し、膵癌、乳癌では血管が少なく、骨肉腫が最も多く、大腸癌はそれに次ぐ、という結果です。
Figure 5はSonoVueを用いた乳癌治療前後の、Figure 6は膵癌と大腸癌のACTの治療前後のCD31染色結果です。見たところSonoVueの方が血管は減少しているようです。
この手の超音波治療は長らく研究されていますが、臨床現場に登場するのはいつになるでしょう。とても興味があり、早期の実現に期待したいです。
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