成毛眞『このムダな努力をやめなさい』(三笠書房、2012)を読んでみて。
『このムダな努力をやめなさい』は、ムダな努力をやめて、好きなことをやろう。というのがテーマです。近著で『勉強上手』という本も出ていますが、基本的には同じようなものと考えて良いと思います。ただし、読書の際のふせんの使い方が参考になるので、気になる方はご一読下さい。
さて、本著ですが、以前の著書に比べて、一般の人でも読めるような内容になっています。というのも、以前は35歳を過ぎたら諦めろ、とか、エリートで無ければならない、といった明らかに凡人を対象にしていない記述が多かったからです。
肩書を見ればわかりますが、やはりご自身もエリートであり、周囲のエリートと関わってきたこともあり、一般の人が読んでも参考になるところがあまりありませんでした。それらに比べると、比較的読んで参考になる部分もあります。
ただし、歌舞伎などの部分については人それぞれで、特に必要を感じなければ、読まなくても良いかと思います。文化として歌舞伎や人形浄瑠璃は、見ておいた方が良いのかもしれません。しかしながら、無理してみたところで、それを生かすところが特にないのであれば、無理をする意味はないと感じます。レコード収集が趣味であれば、それをやればいいし、ゲームが好きであれば、そちらに傾倒してもいいのです。
そういった形で、少し距離を取りながら、楽しんでいる分には良いかと思います。くれぐれも自分は終わったなどと、悲しむことのないように。気にしたところで、大手総合商社や大手IT企業に入れるわけではありませんので。
1点気になったところがあるとすれば、
「だから、「もっと自分に合った仕事があるんじゃないか?」などとモヤモヤ悩んでいるくらいなら、目の前の仕事をいかに効率よく進めるかを考えたほうが、よほど建設的だ。」
という部分です。みんながみんな新卒時に成毛さんの娘さんのように、自分の職業について建設的な意見をもらえるわけではないので、やはり合わない仕事という場合も、かなりの場合あると考えます。前提条件が普通の人と異なるので、その辺は注意しておいたほうがいいです。
厳しい意見が多いですが、個人的には、こういう大人が周囲にいると良かったかもしれないかなと思います。あと、紹介されている本が、とても面白いものが多く、参考にさせて頂いております。
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