地震について「いつも」考える-地震イツモプロジェクト編『地震イツモマニュアル』(ポプラ社、2016)
この本で、はじめに次のようなことが書かれている。
「この本の前身、『地震イツモノート』が発行されたのは2007年のこと。阪神・淡路大震災の被災者167人の声と工夫をまとめた一冊です。それは、防災を身近に考える「キモチ」の防災マニュアルでもありました。」
通常の地震が起きそうだから、準備しておこうという生易しいものではないことを悟る。実際に読んでみると、とても実践的である。
一例を紹介すると、断水で水が使えないので、紙皿を何度も利用する場合のことだ。紙皿をそのまま何度も使っていては、汚れが蓄積されて、不衛生である。そこで、サランラップを底に敷いて、その紙皿を使うそうだ。
このエピソードは、ぼくが学生だった頃に、先生から聞いた話でもある。阪神・淡路大震災が起きた時に、現地にいた友人から送ってほしいと頼まれたものの一つとして、入っていたそうだ。
この例を一つとっても、大震災が起こると、どのようなことになるか、イマイチ想定しきれないことがある。それに、あの時はこうだったと言われても、今度起こる地震ではどうなるか、その時と状況がどれくらい違うのか、予測値はあるものの、結局のところ、誰にもわからない。
本書には、対策マニュアルの部分もあるが、なぜ地震が起こるのかということについても触れている。まずは、自分が住んでいる国は、どういう状況なのか、知るところから始めるのが良いようだ。
終わりの部分でも、次のようなことが述べられている。
「「全部やらなきゃ」と思わないでください。」
全部で125ページというコンパクトな作りになっているが、やることは盛りだくさんである。ちなみに、本書に載せられているものをすべて持って、外出しようとすると、リュックサックでGO!ということになる。
つまり、かなりの重量になってしまうのだ。そのため、出来る限り職場か家にいる時に起きてほしいものだが、通勤途中でも困らないようにある程度の準備はしておいたほうが良い。
特に、トイレは災害時の困りごとの一つである。ぼくもトイレが近いので、携帯トイレは持っていてもいいかなと感じた。今度、ホームセンターにでも見に行ってみようと思うが、軽いものであれば、2~3個持っていても荷物にはならない。
あとは、iphoneの携帯用バッテリーか。2~3回満充電出来るもので、物によっては1万円しなくても良いものが買えるようだ。近くの量販店に行っても良いし、通販で買ってみても良いだろう。一つ持ち運んでみて、自分と合うものを使えば良い。
まずは3日。それから、1週間。この辺が一つの山場だろう。この辺りまでくれば、日本が全滅でない限り、どこかの都市が助けに来てくれるだろう。
世界でも称賛されるくらい、混乱時に暴動が起きない国だが、今度はわからない。けれども、大方の確率で今回も、大丈夫な気がする。東日本大震災で、時代が大きく動いた気がするからだ。
リーマンショック前後よりも震災前後の方が、明らかに考え方がシフトとしている。誰も乗っていないのにエスカレーターが動いていたり、誰もいないのに電気がつけっぱなしになっていたりすると、消すようになってきた。節電もただのケチではなくなったのだ。
あなたも出来ることからでいいので、少しずつやってみよう。携帯バッテリーを買ったり、携帯トイレを使ってみたり。それがきっとあなたの役に立つはずだ。
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