【情報リテラシー論11】          苦悩する紙媒体と電子書籍


1 はじめに

今回の講義では、全体的に紙媒体の減少について学びました。確かに最近では、電子書籍やオンラインメディアが主流になり、前より紙媒体の減少が加速しているように感じます。そこで今回は、紙媒体の魅力と紙媒体減少の背景について調べていこうと思います。

2 紙媒体の強み

1 感覚的な満足感

素材を生かした表現
紙の質感や、新しい本のインクの香りといった感覚的な要素も、紙媒体の大きな魅力です。これらは読書体験を豊かにし、特に芸術的な印刷物やデザイン雑誌ではその価値が顕著です。私も、珍しい質感の広告やパッケージは切ってノートに貼り保存しています。また、本の匂いを嗅ぐことが好きなので、漫画や小説は紙派です!

・所有感
紙の書籍や雑誌には物理的な存在感があり、所有することで満足感を得られます。
これは、私が電子書籍を購入しない理由の一つです。収納に困るときはありますが、好きな本が実際に手元にあることにとても満足感があります。

2 保存性・信頼性

・保存性
紙は丁寧に扱えば何十年も保存することが可能です。デジタルデータだと、保存をしっかり行っていない場合データが急に飛んでしまうことがります。また、紙媒体は物理的に手元に残せるため、いつでも手に取って読み返すことができます。

・信頼性
紙媒体は一度印刷された情報が物理的に固定されるため、デジタルデータのように容易に改ざんされることがありません。これにより、情報の信頼性が高まります。また、出版物に掲載される情報は、発行者が責任を持ってやっているためより信頼性、安心感があります。

3 記憶と理解

・脳科学的利点
紙に書かれた情報を読む行為は、デジタル画面に比べて記憶の定着が良いとされています。脳科学の研究によると、紙で読むことは視覚情報に加え、紙を触るという触覚的刺激を伴うため、脳がその情報を重要と認識しやすくなるそうです。

また、授業でも習ったのですが、脳科学的に紙の方が「間違いに気づきやす」そうです。「反射光」と「透過光」というものがあり、前者は本を読む際いったん紙に反射してから目に入る光、後者がパソコンやテレビを見る際に直接目に入る光です。反射光で文字を読む際は、「分析モード」になり目に入る情報を集中してチェックできるそうです。反対に、透過光で読む際は「パターン認識モード」になり、流れてくる情報をそのまま受け止めるため、脳が細かい部分を無視してしまい、間違いに気づきにくくなってしまうそうです。

4 学習

・手でかく効果
紙に手書きする行為は、脳の運動皮質を活性化し、記憶や学習の効果を高めるそうです。東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授らとNTTデータ経営研究所の共同研究によると、電子機器でメモを取るより紙でメモをとったほうが、記憶の定着や再生に効果があるそうです。確かに、大学生になってからPCでメモを取ることが増えましたが、ノートに取る方が記憶的に残りやすいと感じました。

3 紙媒体減少の背景

1.効率性とコスト

  • 情報アクセスの効率化
    デジタル媒体では、スマートフォンやPCを通じてリアルタイムで情報を入手できます。例えばですが、新聞は発行から配布までに時間がかかりますが、オンラインニュースは即時性が高く、瞬時に多くの読者に届けることができます。

  • コストとスペース
    電子書籍は紙の書籍よりも安価です。また、物理的な収納スペースを必要としないところが良い点です。数百冊の書籍をデバイス1台で携帯できるため、読書の習慣を持つ人々にとって利便性が非常に高いと思われます。

  • 広告媒体のシフト                           商業広告は、従来の新聞・雑誌のような紙媒体から、ウェブ広告やSNS広告へと大きくシフトチェンジしています。これにより、紙媒体の広告収入が減少し、出版業界全体に影響を及ぼしているようです。

  • ペーパーレス化                            クラウド技術の発展により、文書やデータを電子化して共有・保存することが可能になり、多くの企業が紙媒体を使用しない「ペーパーレス化」を推進しています。


2. 環境問題への影響

  • 森林の保護
    紙の生産には膨大な木材が必要になってきます。紙媒体の利用が減少することは森林伐採の抑制に繋がるということです。国連の報告によれば、紙の生産に起因する森林破壊は全体の約10%を占めており、この削減は生態系保護の一助となるそうです。

4 おわりに

紙媒体は近年、デジタル化によって、その利用範囲が小さくなっています。実際、多くの産業や生活場面で、紙からデジタルへの移行が進んでいますが、完全に消えるわけではなく、特定の用途や価値に応じた変化をすると考えられます。紙もデジタルもどちらも良さがあり、その独自性を活かしこれからも残っていくでしょう。

参考文献


講義を担当してくださったのは、横田秀珠先生です。 https://yokotashurin.com

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