コミュニティ「熱量」についてコミュニティ熱量研究所 所長の鈴木駿介さんにお話を聞いてみた。
こんにちは、ゆっきーと申します。
今回のテーマは
「コミュニティの熱量」
についてコミュニティ熱量研究所 所長の鈴木駿介さんにお話をお伺いしてきました。
個人的な学び・見解を簡単にレポートにまとめましたのでこれからコミュニティを立ち上げたいと考えている方にぜひ一読いただけると嬉しいです。
コミュニティ熱量研究所 所長|鈴木駿介さん
オンラインコミュニティ運営の課題
コミュニティを運営し続けることは本当に大変なことです。
活性化に目を配り、ユーザーさんの熱意を維持しながら、参加者の関心や課題を察知し、それに基づいたコンテンツやメッセージを発信する必要があります。
立ち上げ期においては、こんなことに日々頭を悩ませていました。
また、熱量というのはちょっと曖昧で数値で測りにくいですよね…
コミュニティに入ってくる人全員が必ずしも「ファン」であるとは限らず、活性化を進めるような高い熱量を持っているユーザーさんを発見すること、あるいは一過性の火で終わるのではなく「もっとコミュニティに参加したい」と感じさせる継続的な火種を作り続けるためには、コミュニティ内の状態を運営が把握していなければなりません。
打ち手を考えるためには、現在の状態を可視化することが必要となります。
『1%の法則』
この法則ご存知でしょうか?
”コミュニティメンバーのどのくらいの人がアクションし、どのくらいの人が見ているだけなのか”について発表された研究報告があり、それが「1%ルール」(Arthur, 2006)または「90-9-1の原則」(Nielsen, 2006)と呼ばれるものです。
これを見て「新陳代謝」を上げていくことの重要性を再認識できました。
ズッ友はいつまでもズッ友にあらず。
永遠に続く関係だと思っているのは運営側の希望や思いであって、同じ関係性が続くわけではありません。だからこそ、コミュニティマネジャーが「こんな場所にしていきたいです」という呼びかけや、ユーザー理解から発信の機会を作り、「見学者」の90%を「参加者」へと階段を上がってきてもらう必要があると思います。
ちょっとしたヒント✍️
※イベント終了後のアンケートに「次回ちょっと話しても良いと思う人〜🙋」とハードル下げてアンケートに忍ばせておく事も90%層からの発掘ヒントになりますね。
Q 熱量って何ですか
熱量=「アクション数」と定義されていたとのことですが、言葉の範囲が広いので、より具体的に以下に記載しますと
リアクション
メッセージ数
投稿数
イベント参加
グッツ購入
※上記数値に「ログイン」が含まれていませんが、コミュニティで計測する数値基準は各社それぞれなので、ご参考程度にお考えください。
※アクションを起こさないけれどもログインし、サイトを閲覧してくださっている方々もいるため、「青い炎」ももちろん存在すると考えています。
✍️アクションの量を可視化すると傾向が見えてきます。
✍️📝熱量を計測するのが目的ではない。
また、計測して終わりではなく、計測からその先何に繋げていくかも大切な考えです。
例えば、ユーザーさんの発信や行動を見て、「自社プロタクトが想定していた使われ方とは違った!」という発見や、偶然から生まれる顧客理解につながること。
ユーザーさんの心の内だけに閉じてしまうとコミュニティとしてスケールしないため、ユーザーさんの行動を見ながら次の行動へと促すことが、まだ存在を知らない新しい人へ価値を伝えていくことにつながっていきます。だからこそ、"発見"と"仕組み"を作ることで活性化のサイクルを組むことができるのですね!✍️
ちょっとしたヒント✍️
アクション数に加えて、メッセージやブログの投稿文字数、LT登壇時間、またイベント参加回数など、ユーザーさんの行動の「重み」は重要な加点ポイントとなります。コミュニティへの参加からどれだけの時間を費やしているのかを基にスコアリングを行うことで、ユーザーさんの活動状況をより詳しく把握できます。
Q: 熱量を測定するタイミングは?
まず、何のために計測をするのか?コミュニティ内の状態が健康なのか不健康なのか、ユーザーさんの『健康状態』を探ることで、運営メンバーの行動を正しく振り返り、軌道修正に生かすことができます。また、コミュニティの目的に合わせて熱量を測ることで、より状態を可視化できると思います。
計測する観点は2つです。
計測する人と評価する人が違いますので、目的に合わせて計測すると良いかもしれません。
Q:実際、「熱狂」や盛り上がりは必要なのか?
「熱量」と「熱狂」は実は異なるのでしょうか?…とそんな考えを抱きながら、活性化においてはユーザーからのアクションは一定必要であると認識しています。
しかし、一気に燃え上がりすぎるとユーザーも運営も疲れてしまいます。また、初めてその場に訪れた人と、既にエネルギッシュに燃えている人との間で温度差を感じてしまうと、逆に参加しにくいと感じてしまう可能性がありますよね。
(過度な関心が集まるとやがて同調圧力にもつながるため)
縦に強い火が「貰い火」となり横にじわじわ広がっていくことが最終的に大きな熱量になると考えています。
ファンベースの佐藤さんの記事も大変参考になります。
また、火が継続するのが大変なので、火が持続する程度の火力調整をするのもコミュニティマネジャーの役目なのかとも思います。
Q:どうやったら熱量が上がるのか?
みなさん・・こんな経験はしたことないですか?
大人数のパーティーに行って、全然話す事もできず会場の脇に隠れてしまうこと・・
☝️このnote共感することが多かったです、私も同じ!です。
=自分の状態や出会いたい人と出会える仕組みは、コミュニティ運営においてとても大切です。
切磋琢磨(せっさたくま)したい相手に出会いたい場合は、自分と同じ歩幅か、もしくは1歩先を歩いている人と出会う必要があります。また、その先を目指す場合は、自分より5歩先を歩いている人に出会うこと。
誰と対話するか?はとても大事で、あまりにも立場が違う人と出会っても「うちとは違うからな・・」と対話が深まらないし、そもそも出会うことが難しい!!
”出会いの仕組み”を作るのこと、また対話を通して得られる体験こそがコミュニティ活性化に繋がるのかなと考えます。
コミュニティを焚き火と例える記事はよく拝見しますが、コミュニティの成長における「焚き火理論」について語られているこちらのラジオが非常に興味深いです!!
📻vol.47:焚き火とコミュニティ、育て方の共通点
Q:コミュニティの「自走」はどうなったら自走と言えるのか?
ユーザー同士の繋がりを生むために、運営がどれほどの時間やコストを費やしているのか、ということは持続可能な運営のためには不可欠な考え方です。
かと言ってユーザーさん自身がイベント企画をしてくれる…
そんなことは簡単にはできません。だからこそ、運営の工数問題は常に存在していると思います。
コミュニティ運営メンバーが十分に確保できないケースは少なくありません。(兼務しながらコミュニティを運営しているなど)
持続可能な状態にならないと、事業会社の中ではコミュニティ運営を続けることができなくなってしまいます。
運営の人的コスト<ユーザーアウトプット量
持続可能な運営体制を作っていくために、熱量との対比を考慮すると良いと教えていただきました。
「最後に…熱量を知ることの大切さとは?」
-顧客の声を集めることで、製品やサービスの改善点や顧客が抱えている問題を把握する
-コミュニティ内の状態把握や要望を直接聞くことで、それに基づいて新しいアイデアや改善策を運営が考えることができる
-熱量があるからこそまだ知らぬ顧客へ価値を伝えることができる。
お話をうかがうまでは、コミュニティが盛り上がる状態とは何かをうまく言語化できていませんでしたが、アクション数(活動量)を可視化することで計測・評価し、その先にある価値を生み出すためには必要なこと。
また運営が持続可能になるための健康診断にもなる!
ちなみに計測は人力では果てしない工数を使ってしまうので
コミュニティ内を計測するツールや計測しやすいプラットフォームを使用することをおすすめします。