FIT制度の次はFIP制度!今後適応される制度を先取り!
今回は、『【先取り知識!】FIT制度の次は○○○制度!今後適応される制度とは!?』をお届けします☀️
現在、世界中で脱炭素化が推進されています。
電力部門においては、石炭や石油といった化石燃料を用いた火力発電から、自然の力を利用した再エネ発電へと移行する流れが見られます。
その中で政府は、再エネ発電を推進するために、新たにFIP制度を開始しました。
しかし、再エネ発電普及を目的とした支援制度は、既にFIT制度が制定されており、一定の成果もあげています。なぜ新たにFIP制度が必要となったのでしょうか。
FIP制度とは
FIP制度(Feed In Premium 制度)とは、2022年4月から新たに始まる再生可能エネルギーを利用した発電設備を支援する制度です。
この制度に登録している再エネ発電事業者は、再エネで発電した電気を売電する際、売電収入にプレミアム(補助金)が上乗せされます。
つまり再エネ発電事業者は、FIP制度を活用することで市場価格を参照した売電収入だけでなく、一定の補助金を受け取れるようになります。
FIP制度が導入された背景
FIP制度は、再エネ発電事業者を金銭的に支援する制度です。再エネ発電事業者を支援する制度自体は、FIT制度が以前より制定されています。
FIT制度では、再エネ発電によって発電された電気は電力会社が買取を約束し、買取価格についてはいくつかの要点を考慮した上で政府が定めています。
FIT制度によって、再エネ発電事業を行うリスクは極端に抑えられ、多くの事業者が再エネ発電事業を開始し、日本の再エネ発電普及に貢献してきました。
しかし、FIT制度の開始から時間が経つにつれ、徐々に以下のような問題点や課題が表れてきたのです。
再エネ発電のコストダウンが実現しない
FIT制度を運営・維持するために、国民から徴収していた国民賦課金の金額が高騰しています。このままでは再エネ発電が自立できないことにより、再エネ発電を普及させるためとはいえ、FIT制度を維持するのが困難となりました。
とはいえ、依然として日本における再エネ発電の比率は低く、脱炭素を実現する上でも、再エネ発電を推進していく必要があります。
そこで、FIT制度の反省点を踏まえた新たな再エネ発電推進制度として、FIP制度が制定されたのです。
FIT制度とは
FIT制度は、2012年7月より開始された再エネ発電を推進する制度です。
FIT制度が導入された背景として、「世界的な脱炭素化の流れ」と「電力部門の脱炭素化」が大きく関係しています。
産業革命以降、私たちの生活は劇的に豊かになりました。しかしそれと同時に、地球温暖化などの環境問題が顕著に見られるようになりました。これらの環境問題は世界的に注目を集め、1997年の国連気候変動枠組み条約の締約国会議にて採択された京都議定書では、多くの国が温室効果ガス削減を目指す目標が立てられました。
これにより、多くの分野で脱炭素化が推進されます。
この脱炭素化の流れは、電力部門も例外ではなく、石炭や石油を燃やして発電する火力発電が問題視されるようになったのです。
そのため、多くの国で発電時に二酸化炭素排出しない再エネ発電へと移行する取り組みが始まります。しかし、再エネ発電はコスト面で課題を抱えており、中々普及が進みませんでした。
そこで、政府は再エネ発電を金銭的にサポートする政策を実施します。これがFIT制度です。
FIT制度によって、制定前の2011年においては再エネ発電の電力構成比は10.4%だったのに対し、2019年度には18.1%にまで上昇しています。
ただし、FIT制度は先述したような課題や問題点が浮き彫りになってきたため、新たなFIP制度が生まれたのです。
FIP制度の仕組み
次に、FIP制度の仕組みを確認しましょう。
FIP制度を活用すると、再エネ発電事業者は売電収入の他にプレミアム(補助金)を受け取ります。ただし、この時バランシングコストを追加で支払うため、再エネ発電事業者の収益は以下のようになります。
再エネ事業者の収益 = 売電収入 + プレミアム – バランシングコスト
プレミアムとバランシングコストについて、順を追って見ていきます。
基準価格と参照価格
経済産業省 資源エネルギー庁 再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP度」が2022年4月スタート
プレミアムは「基準価格」と「参照価格」から定められます。
「基準価格」とは、政府によってあらかじめ設定されている価格です。再エネ発電の発電設備費用や運転費用、メンテナンス費用などを考慮して設定されます。
「参照価格」とは、再エネ発電事業者が期待できる売電収入です。過去の市場取引を参照して設定され、1か月単位で更新されます。
これら「基準価格」と「参照価格」の差がプレミアムとして設定され、再エネ発電事業者が受け取ります。
「参照価格」は1か月ごとに更新されるため、プレミアムに関しても1か月ごとに新しく設定されます。
バランシングコストについて
FIP制度を活用する際、再エネ発電事業者はあらかじめ発電量の「計画値」を定め、実際の「実測値」と一致させなければいけません。
この時、計画通りに発電できなかった場合、ペナルティ料金として「バランシングコスト」を支払います。
また、このペナルティ料金を削減するために必要となった運用コストも「バランシングコスト」として計上されます。
つまり、FIP制度を活用する再エネ発電事業者は、バランシングコストを抑えるために、「より正確な計画値を算出し、それに沿った実績値を出す必要がある」と言えるでしょう。
FIP制度は再生可能エネルギーの今後にどう影響する?
政府は2030年までに、電源構成における再エネ発電の比率を36~38%にまで増やそうと考えています。
そのためには以下のような課題を解決していかなければなりません。
再エネ発電事業に適した地域(田舎)と電力需要の大きい地域(都会)を結ぶ送電網の確保
自然条件によって変化する発電量への対応
電源脱落などの緊急時における、電力安定供給の維持
再エネ発電における発電コストの低減
再エネ発電設備の近隣に住む住民とのコミュニケーション確保 など
FIP制度を活用していくことで、これらの要件の一部を解決する可能性があります。
例えば、再エネ発電事業者がFIP制度を活用して、最大限利益を得ようとするならば、再エネ発電設備に蓄電池を設置します。
大規模な再エネ発電設備で、蓄電池の導入が促進されれば、「自然条件によって変化する発電量への対応」という課題はおのずと解決していくでしょう。
他にも、蓄電池の研究開発が進み、充電可能な容量が増えれば、再エネ発電だけで緊急時への対応が可能になるかもしれません。また、蓄電池の実用化が本格化すれば、現在稼働している再エネ発電設備の出力増加も可能となります。
FIT制度の制定以降、8年間で再エネ発電比率は10.4%から18.1%に増加したことを踏まえると、FIP制度の追加によって、国内の再エネ発電はさらに盛り上がってくるでしょう。
まとめ
FIP制度は市場原則に則りながら、再エネ発電を支援する制度です。
FIP制度はFIT制度が抱える課題やデメリットを踏まえた仕組みになっており、今後さらに日本で再エネ発電を普及させるためにも重要な役割を果たします。
そして、FIP制度を活用するには、再エネ発電事業者も蓄電池の活用が不可欠です。
これにより、再エネ発電普及に欠かせない蓄電池の研究開発も期待されています。
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