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BL界の一大ジャンル「893」其の11 榎田尤利先生「神さまに言っとけ」

分かりにくいので、タイトルは算用数字です。
クリスマス前に再読しようと思っててギリギリになってしまった。

ヤクザの幹部である惣田洋一(そうだよういち)がフラワーショップの店員である久慈眞(くじまこと)の愛を手に入れなければいけなくなったのは、天使ガブリエルとの途方もない取り引き(?)のせいだった!という、よくある(あるのか?)人ならぬ存在(天使やら悪魔やら)が人間に干渉してきて何かやらせる系のお話。
惣田は不幸な家庭環境も手伝って中学から不良で高校も中退、ヤクザにスカウトされて以来、主に風俗店をシノギにその道を突っ走ってきたバリバリなヤクザだ。歳は32。暴力的であるし、スイッチが入ると自分が疲労を覚えるまでやめれない質だ。なかなかコワイ奴である。よく眞が惚れてくれたもんだよ。風俗に沈めた女が客と逃げたせいで、女に刺され意識不明の重体になったところを、ガブ天(惣田の命名)が命が欲しけりゃある人物と恋愛関係を結びその愛を主に捧げよと言う。気付けば清水陽一という二十歳の大学生の身体に意識が入っていて、その身体で眞に近づくことになる。
眞も実母から幼児虐待を受け(背中にタバコの火傷の跡がある)、前歯が欠けた(なぜ欠けたかは不明だが、お察しください?)ダサ男18歳で、生育環境はあまり惣田と変わらないようだが、伯父に引き取られ、その友人の牧師(元医者)に聖書の教えを学んで、不器用に慎ましやかに花を愛して(フワラーアレンジは非常に器用に)生きている。
お約束なヤクザ絡みの暴力的トラブルを乗り越え、惣田が天使のキャンドル980円のクリスマスプレゼントを贈り、お返しににわかクリパ(?)などして、またヤクザ絡みで二人してボコボコになり、なんだかんだで恋仲になるのだか、神さまの欲しがったものは眞の無垢な魂そのもので……
もなく、アガペーだか隣人愛だか自己犠牲精神だか(宮沢賢治か?)なんだかなーって結末でした。まぁ、それほど長くないので来年のクリスマスとかにでも読んでみてください。無宗教な日本人でも大丈夫です。惣田視点なので、その点もしっかりカバーされてます。だよねー的な。
再読して気付いたのですが、惣田の兄貴分の辻󠄀さんって「Threesome」の受なんですよね。題名からして3Pものなので、積極的に読まなくていいやと思ってましたが、そのうち読んでみますかね。天使(ガブ天が惣田=清水の背中に羽を生やした)見ちゃってビビってました。
シーモアにレビュー書こうとしたら、何度もエラーになって、ガブ天の呪いかと思いました。
では、皆さま、良いクリスマスを。


おしまい