BL界の一大ジャンル「893」を語る 其の四の続き 中原一也先生の単発ヤクザもの「俺を抱いてイケ」
センスのないタイトルだと言う人もいたけど、分かりやすくていいと思う。(^_^;)
私は実はまだ店頭でBL本を買ったことはない。ほとんど電子でときどき通販。タイトルや表紙が気にならないから、そう思うのかも。
内容はサラッとした中編で、初出は2009年。電子書籍化が2018年らしいですが、レーベルが違うようです。
「盃を交わした」ってあるけど、大人になりきれない若者の誓いのようなもので、正式なものではありません。
小さい組(組員32人は小さいのか?)の中堅、飯倉省吾、37歳✕家出した組の長男、真田智明、28歳。
療養中の組長が引退するので、跡目を決めなければならず、組に戻ってほしいと飯倉が会いに来ます。
真田は家を出て、パトロンの小枝子に出資してもらって、「コーヒー専門店・カスケード」を営んでいる。しかし、本人はヒモ状態で、実際に店を仕切っているのは、従業員の佐竹。ワルに絡まれてるところを助けて貰って、真田を慕いつつ、「爺や」のように小言を言う若者だ。
「色悪」の真田は女は五股だけど、板倉に抱かれたいという願望がある。
長男・智明と次男・明弘(組の若頭)の間で静かに飯倉を取り合っているけど、飯倉は、元から智明に傾倒してる。でも明弘は組長になりたい。
過去の回想で、将棋を打つ2人や、女に引っ掻かれた背中を板倉に舐めさせる真田がエモいです。
この作品の肝は、なんと言っても「襲い受」。真田が佐竹に手伝わせて、飯倉を睡眠薬で眠らせて拉致監禁して、乗っかっちゃう。激しく抱かれて、油断した隙にまんまと逃げられますけど。
跡目相続のゴタゴタと他の組との抗争、受が輪姦されたりしますが、悲壮感は薄め。
佐竹くんが巻き添えくってヤクザにボコボコにされて、1番の被害者は彼かもしれない。
最後は、飯倉は組から放逐されて、智明に譲り渡される。喫茶店の従業員として働かせるつもりだけど、無愛想と強面すぎて客が逃げそう。
ちなみに、今、Kindle Unlimitedです!