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BL界の一大ジャンル「893」其の八 谷崎泉先生「ダークホースの罠」「その愛に終わりはあるか」

ダークホースの罠」は、谷崎泉先生の発行点数100冊記念本だったようですね。私は電書を買いましたが、どおりでお値段平均値以上だったはずです。

くせ者揃いのスラップスティックBLノベル」という触れ込みらしいですか、スラップスティックって、そもそもどういう意味かとググりましたら「どたばた喜劇」と訳してもいいそうな。なるほど。

何気に吸血鬼モノです。と言うより、吸血鬼が出張ってくる刑事モノかな。捜査一課の強面主任刑事の胡桃英人(くるみひでと)が拾ったヴァンパイアのカミルを、激務の傍ら甥の朝生(ときお)と共に世話して、カミルのパートナーのヴァンパイア「ベネディクト」を探すという大筋。胡桃さん、大忙しです。まさにドタバタしてました。
しかし、人外寿命問題をスルーするハッピーエンドなのは、「ファーストエッグ」と同じですね。

その愛に終わりはあるか」はスピンオフですが、胡桃が攻の鷲沢と並ぶくらい存在感があるので続編扱いでいいかな。一応、私のテーマがヤクザということで、攻が鷲沢哲(わしざわさとし)という組長です。数多いる谷崎先生の強引攻のうちの1人。ヤクザと言っても舎弟の1人も出て来ないし、違法から合法まで荒稼ぎしてるようですが、具体的なシノギの話などは無し。谷崎先生の他のヤクザさんも似たようなものですが。1番ヤクザヤクザしてるのが「真音」の富樫かなぁ?ヤクザ界そのものを書いてる作品は無いような気がします。

南野尚三(なんのなおみ)は胡桃の上司ですが、迫力ゼロの事なかれ主義中間管理職。鷲沢とは親の再婚で高校時代を一緒に過ごし、次に再開した時には刑事とヤクザで、まぁ、詳しく書かれてないですが、初手準強姦から始まり、鷲沢が執着し続けて、約20年経過、お互い45歳。鷲沢は南野とカリブでリタイアライフを過ごすのを夢見てます。南野は激務の上にパワハラ上司に神経を削られ、鷲沢を相手にする余裕がありません。2人の関係は執着と馴れ合い。「ナアレフの恋人」の再現ですね。最後には、やはりかけがえのない相手だと気付くところも同じ。谷崎先生のお気に入りなテーマなんだと思います。

とにかく捜査に忙殺されながら、スキマ時間に愛を育む、温度差カップルたちの前途を祈って乾杯!

Kindle Unlimitedに、番外編があります。


こちらも一応。


おしまい