血で血を洗うプレゼン大会!『令和プレゼンデスマッチ大会』イベントレポート(前編)
神宮前WeWorkにて開催された『令和プレゼンデスマッチ大会〜来世に期待するな!まだ間に合う現世サバイブ術〜』。
満員御礼の会場で熱いプレゼン大会が繰り広げられた、その模様をレポートしていきます。
■令和プレゼンデスマッチ大会とは?
この令和プレゼンデスマッチ大会は、転職エージェントの株式会社ユニポテンシャルが初の主催を務めるイベント。
人生山あり谷あり崖ありの波乱万丈な人生を、七転八倒しながら生き抜いてきた“レイワサバイバー”6名が登壇し、令和をサバイブするための方法をプレゼンしていきます。
全プレゼン終了後、審査員と来場した一般のお客様に「どのプレゼンが一番役に立ったか」をジャッジしてもらい、チャンピオンが決定。
チャンピオンには賞金10万円が贈呈され、最下位だった“レイワサバイバー”には、恥ずかしいツイートをその場で投稿しなくてはならないという罰ゲームが待ち構えています。
なお、今回の令和プレゼンデスマッチ大会の来場者は、bosyuにて80名を募り、予約が殺到。18:30にオープンした会場に続々と集まり、プレゼンが始まる19:00ごろには立ち見含め、約100名の来場者で満員御礼となりました。
会場にはヒャクマンボルト、RAZONA、COCKTAIL MAKE、おくりバント、Hottolinkといった協賛企業による無料飲食ブースが設けられ、吉野家・松屋・すき屋の牛丼、ケンタッキーのフライドチキン、崎陽軒のしょうが焼き弁当や横濱ピラフなどが並びました。
■何も知らない司会者と一筋縄ではいかない審査員たち
19:00になると株式会社Hottolinkの飯高悠太さんが来場者の前に登場。
「このイベント、モデレーターをやってくれと言われて会場に来てみたら、台本をさっき渡されてなぜか司会をやらされています。しかも、気付けばマジシャンのような衣装を着せられていました」と戸惑いながらも、華麗な進行で会場の空気を和らげます。
そして、“一筋縄縄ではいかない”3名の審査員が紹介されました。
左から“ゆるふわ社畜”こと須田仁之さん、“赤門を通り抜けたマッチョ”こと安江亮太さん、“世の中の9割が憎悪の対象”ことシロキヨさん。そして、シロキヨさんの謎の付き人に、会場から急遽選ばれた審査員。
普段Twitterで憎悪に満ちたツイートをしているシロキヨさんからは
「性格が悪いってだけで呼ばれました。日頃から、今日来場しているWEBの方やメディア関係者へのヘイト発言を繰り返しているので、皆さんからは敵と認識されるかもしれません。よろしくお願いします」とのコメント。
まさに、一筋縄ではいかない雰囲気を漂わせながら、いよいよプレゼンが始まります。
■ユニポテンシャル・蛎田さんのプレゼン「ヒモ生活で身につけた心の平穏を保つ方法」
最初に登壇したのは今回のイベントの主催者である株式会社ユニポテンシャル代表の蛎田(かきだ)一博さん。
「この会場の中に、実の弟に食わせてもらったり、弟にロレックスの時計をもらったりしたことのある方ってどのぐらいいますか?」という衝撃的な問いかけから始まった蛎田さんのプレゼン。もちろん会場で手を挙げる人は一人もいません。
「そんなヒモの人生を送っているのは僕だけですよね。今日はこれまで弟に食わせてもらった中で見つけた"ヒモ術"を発表しようと思います。実はこのヒモ術、何より自分の精神を安定させることが重要なんです。というのも、ヒモは決して相手を不快にしちゃいけません。僕は割とイライラしがちな性格なんですが、弟にはイライラをしているのを見せちゃいけない。イライラしないためにはできるだけ負わなくていいストレスを回避しなければなりません。だから皆さん、まずはドラム式洗濯機を買ってください。そうすれば家事の負担は軽減され、心の平穏は保たれます」
まず蛎田さんは、日頃生活に起こる小さなイライラを一つ解消できる方法を提案。
「更に心を安定させるためには、誰にも負けない軸を作るということも大切です。ヒモとはいえ“ここだけは人に負けない”という部分がほしいんですよ。だから僕は『朝定エージェント』と名乗り、毎朝いろんな場所の朝定食やモーニングを食べ続けています。世の中に毎日朝定を食べている朝定に詳しい社長っていないじゃないですか。唯一無二の存在になれる。あの孫正義さんでも朝定についてだけは、僕の方が上なんですよ。笑われるような、しょうもないことでもいいんです。ここだけは誰にも負けないという軸を持ってください」
と、自分の自信に繋がる軸を持つことの重要性を語ります。
「最後に。できるだけストレスを抱えないようにして、誰にも負けないものを持ったとしても人間はそんなに強い生き物じゃないんで、辛いこともあるじゃないですか。そんなときに昔の人は海に行って、心を落ち着けろとか言うんですけど、海は広すぎるんですよ。ほとんど海じゃないですか世界って。だからイオンモール幕張新都心に行ってください。イオンモール幕張新都心ってちょうどいい広さなんです。まあ、バチカン市国と同じぐらいの広さなのでほぼ国なんですけど、いかに自分が小さいか思い知れます。少々嫌なことがあってもやりきれると思います」
心の平穏を保ちながら令和を生き抜くために蛎田さんが提唱したのは
・ドラム式洗濯機を購入してストレスを回避する
・これだけは誰にも負けない自分だけの軸を持つ
・イオンモール幕張新都心に行って自分の小ささを認識する
ということ。
ヒモの処世術と共に、自分の人生に誇りを持つ方法を説いた蛎田さんに、会場からは温かい拍手が送られました。これに対して審査員評は以下の通り。
シロキヨさん「前菜として考えたときに少しガッカリ感がありますね。言いたかったのって心を平穏に保つ方法なんですが、そもそもヒモ生活をやめれば心は平穏になるのではないでしょうか?以上です」
安江さん「2つ目の朝定は、誰にも負けないというところで経営のニッチトップ戦略にも通ずるものがありますよね。ちょっとふざけてるように聞こえるんですが、意外とまっとうなプレゼンだったのかなと思います」
■FREE WEB HOPE・相原さんによる「明日ホームレスになったときに役立つ、ガチのサバイブ術」
続いて登壇したのは、株式会社FREE WEB HOPEの相原祐樹さん。
「本日は令和をサバイブするための方法ってことで、本物のサバイブ術を持ってきました。僕は家が死ぬほど貧乏で、家庭環境が複雑だったんですね。それで小学校のとき、いきなりポイされてホームレスになったんです。今じゃ考えられないかもしれないですけどマジですよ。とは言え今の時代だっていつどうなるかなんて誰にもわからない。そこで僕からは、明日ホームレスになっても生き延びる方法を皆さんへお伝えしていきます」
壮絶な少年期を過ごした相原さんは、思考法などの精神へのアプローチでなく、物理的に生き残る術をプレゼンする模様。
「ホームレスになったら衣食住の環境を確保してください。まず、衣服を獲得するために、公民館がやってるバザーを練り歩くんです。ウィンドウショッピングをしていると、服を売ってるおばちゃんに『これほしいのかい?』と貰えるときがあるので、そこで清潔な服がゲットできます。ちなみに小学校5年生のときの僕の最先端の洋服はバザーで貰ったPIKOのTシャツでした」
相原さんは当時の思い出をユーモラスに語ります。
「食にありつく方法は3つあります。一つ目はスーパー・コンビニ・ファミレスのゴミ箱を漁る方法です。ですがほとんど鍵がついているので、足を使って攻略してください。ホームレスと言えども情報収集が非常に大切なんです。2つ目は公民館や市役所の掲示板をチェックして、お祭りの情報を仕入れること。お祭りは廃棄の宝庫です。3つ目はシンプルに海に行って、アサリやシジミを食べてください。よくわからない貝を食べるとお腹を壊すのでおすすめしません」
最後に居住空間について言及する相原さん。ホームレス初心者が陥りやすいミスを指摘します。
「住が一番難易度が高い。雨がしのげて人が来ない場所ってなかなか無いんですよね。皆さんがよく想像する橋の下や公園はおすすめしません。風が結構吹いて寒いですし、意外と人が来ます。公園もすでにホームレスのコミュニティができあがっているので、ソリの合わないホームレスに会うと生活は向上しません。僕がおすすめするのは廃車です。車の中では雨風がしのげて安全性が高いんですよ」
会場からは「へえ〜」という声があがり、関心の高さが伺えます。
「この経験を通じて伝えたいことは、どんなときでも前向きに生きましょうということ。飯さえ食えれば人間は生きることができます。そして生きている限り、必ずチャンスが回ってきます。大丈夫、人生はチャンスだらけです。そう信じて生きることが人生において一番大事なんだと思っています。以上です」
ホームレスを経験した以外にもひき逃げ被害、会社資金を持ち逃げされた等、数々の修羅場をくぐり抜けて来たと話す相原さん。そんな相原さんは現在、マーケティング会社の代表として、約30名の従業員を率いています。「今があるのは自分の可能性と仲間を諦めずに信じ続け、チャンスを掴み取ってきたからだ」と締めくくりました。
壮絶な経験に裏打ちされたプレゼンに審査員の反応は以下の通り。
須田さん「廃車生活の話では会場の皆さんも『なるほどな〜』とコメントしていて、関心が高いことが伺えたので現段階では一位です。かっきー(蛎田さん)よりも良かった!」
会場審査員「どっかで笑いとかツッコむタイミングがあるんじゃないかなと思っていたんですが、思ったよりガチの話で、ウィキペディア読んでいるみたいになっちゃったのが惜しいですね。でも災害対策みたいに、一つのノウハウとして共有していただけたのはありがたいなと思いました」
■現役女子大生くつざわさんによる「バズと炎上を経験した上で思う令和とは」
続いて登壇したのが、現役女子大生のくつざわさん。
まず会場に流れたのは3分ほどのシリアスなムードの動画。令和初のバズ仕掛け人としてもてはやされるも、その直後に炎上を経験したくつざわさん。動画では、そこで味わった苦悩や葛藤が映し出されました。
「ご覧いただいたのは、ここ半年の出来事をもとに制作したノンフィクションの動画です。ヤフコメキッズに袋叩きにされたり、とあるクリエイターをすごいと発言したら毎日死体の画像が送られたり、うつ病と公言したら『ファッションうつキモい』と叩かれるなど、濃い経験をしてきました」
この半年の間で起きた体験から、どんな思考に辿り着いたかを語ります。
「その経験から令和と平成の違いを考えてみたんですが『なんも変わんねえよ、はしゃぐな』と思います。つまり、令和を生き抜く最適解なんてないんですよ。令和どうこうじゃなくて、その人の経験や人生のみに適応される生き抜き方があるということを今日はお伝えしたいです」
令和をサバイブする術に汎用性がないことを表明したくつざわさん。自身が導き出した令和の生き方をこう説きました。
「私の人生を生き抜くための最適解は『めちゃくちゃ同情させろ』ということ。最初の動画で『くつざわ可愛そうだな』とか『しんどいんだろうな』とか思った方がいらっしゃると思います。私は他者からの同情は利益を一番いい形で生み出すと考えているので、SNSでサンドバックとして叩かれながらも、同情されて生きていこうと思います。ただ、これは誰にでも適応されるわけではなく、私が半年間叩かれ続けた中で見つけ出した答えです」
そして最後に、人生を生き抜くためのキーとも言える考え方をプレゼンしました。
「令和どうこうではなく、これまで上手くいった根本に何があったんだろうと考えてください。他人が書いた自己啓発本では自分の人生は上手くいきません。それぞれが、それぞれの方法で戦う手段があるはずです。それをこの令和の時代に見つけていくことが重要なのではないかと思っています。ありがとうございました」
須田さん「その人の人生には適応しないとか、他人の書いた自己啓発本では幸せになれないとかすげえいいこと言ってました」
安江さん「非常にロックを感じるプレゼンで良かったです。一方で、おじさんからの意見で言うと『同情しろ、仲間を作れ』というのに、トゲトゲした表現が多かったかな、と。くつざわさんは10万人以上フォロワーがいるから人によっては強者に見えるんですよ。強者が弱者を代表して意見を示すと、どうしてもアンチが生まれてしまう。そこを考えた上で、もう一歩いったらすごく良かったと思います」
審査員のコメントに対し「あれ?もしかして私怒られてますか?」と苦笑いするくつざわさん。審査員それぞれが厳しくも示唆に富むコメントを展開しました。
■独自の令和戦略が展開された前編。後編は更に熱戦へ!
前編はここで終了。人生に迷ったらイオンモール海浜幕張に行くというライフハックや、ホームレスとして衣食住を手に入れる方法、そして、令和に浮かれず地に足をつけろというそもそも論まで、令和をテーマにさまざまな意見が繰り広げられました。後編も個性豊かな登壇者達による令和サバイブ術がぶつかり合い、よりヒートアップしてきます。お楽しみに!
撮影:中村宗徳
ライター:インディ