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ミニマムな手洗器レプトシリーズ
サンワカンパニーの「レプトシリーズ」と呼ばれるトイレ用の手洗い器は、業界内で最小のミニマリズムとして13年以上にわたり成功を収めています。この記事では、開発者である私がレプトシリーズがどのようにして生まれ、成功を収めたのか、その魅力に迫ります。
2008年、日本の住宅事情が変化し、トイレ空間が狭くなる一方、住設機器メーカーからは「タンクレストイレ」というトイレ空間の新たな拡充策が提案されました。しかし、この新しいアプローチには手洗い器の設置が必要で、狭いトイレ空間に新たな課題が生じました。一般的なトイレのスペースは畳1枚分であり、手洗い器を設置することで、有効スペースがさらに狭くなる可能性がありました。
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この問題に対処すべく、「レプトシリーズ」を開発しました。当時、この手洗い器は奥行き17センチという極めて薄型でした。一見すると手が洗えないかも?という、挑戦的な設計でしたが、日本の住宅事情や消費者のニーズに見事に合致し大ヒット商品となりました。この超薄型のデザインがスペース効率と美的要素の調和を実現し、トイレ空間の革命をもたらしました。
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「レプトシリーズ」は日本だけでなく、世界中で評価されています。特に、「レプトカウンター」「レプトインウォール」などのバリエーションは、ifデザイン賞を受賞し、日本のみならず世界の実用的なデザイン製品として高い評価を受けています。このシリーズは、サンワカンパニーのミニマリズムデザインの先駆けであり、美しさと実用性の調和を追求するデザインの力を示す素晴らしい事例となりました。