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ものづくりに対するラディカルな問いが絶えず発光している。(作家さんを口説いた理由vol.1)

2024年4月20日(土)〜5月6日(月)、
ツインギャラリー蔵は、リニュアールOPENを記念して企画展を開催いたします。

タイトルとステイトメントは、また追って。

まだイントロダクション的な香りを漂わせていたいので、
出展していただく作家さんを口説いた理由をたらたら書きます。

7月くらいからタイトルとステイトメントを考えていて、煮詰まっていて、口説いた理由を書く事がその打開にならんかなーという至極内向きな理由で書いています。

当たり前だけど、世の中には言語化能力に優れた人がごまんといて、そういう人の言葉の連なり、ワードセンスにうっとりする度、毎回自分ダメだなーって思って、もう書かない!(描かない)って選択肢を取っていたけど、なんかそういう

口語で書いてるので、脳内再生の声。
準備してね。

植田さんの作品は、今年の1月にRohanさんで開催されていた4人展へ行った時に初めて見ました。

電球色に包まれた室内の壁際が妙に白ーく光っていて、そこに墨だまりみたいな形のまんまるっこくて、先端がちょこんと突起した何かが横一列に並んでいて、「何でそこだけ白く光ってるんだろう」って気になって近づいてみると、壁だと思っていたそこは、窓際で(カギヤビルの外側から見ればそりゃそうなんですが)、台が透明になっていて、眼下に交差点を行き交う車や人が見えていて、その上に植田さんの作品が浮いているように配置されていて…。こうやって思い出しながら書いている今も不思議な印象が記憶に残っています。妙に白く光っていたのは、自然光がそこだけ差し込んでいたからで、その外光によって作品が下から光源を浴びている。今になって思えば、〈なんだろ、あれ。気になって近づく〉みたいな動線が、意識的か無意識的か聞かなきゃわからないけども(でも聞くのは野暮な気がするので聞かない)、確保されてたんだと思います。

近づいてみると、突起した部分には穴が空いている。でも、とても細い穴で、ここには一体何が挿せるんだろう。すごく限定される、なぜ?と、
表面にはみちみちと何かで押し潰して出来た〈流れ〉のような模様が球体をぐるりと埋め尽くしている(埋め尽くしていないものあったけど、何かが発生あるいは収束するような感じ)、なんだこれ?と。
〈なぜ?〉と〈なんだこれ?〉が、頭の中をかけ巡り、それがすごくワクワクする。言葉を話す以前の喃語で叫ぶような感覚。興奮とか、すげーとか、色々言葉がポコポコ出てきても、それが全部無効化される?いや、吸い込まれる?感じ。
何だか分からないものに立ち会ったとき、自分の知っている範囲のものや言葉に置き換えることで、消化しようと試みるんだけど、そういう振る舞い自体がなんだか浅はかに思えてしまう。

でも、だからって考えないわけにはいかない。何故ならあれこれ考えること自体すごく楽しいから。美味しそうな餌の前でよだれダラダラ流しっぱなしより、そのヨダレが何で出るのか、他にも出る餌があるのか、出ない餌はあるの?それは何?とか、ヨダレが出続けていたとしても、それを考えるのって人間っぽくて良い。

(あえて雑に言いますが)植田さんの作品がすごいことは、すでに様々な媒体やギャラリーが言葉を紡いでいるし、見るため、触るため、手に入れるための現場も、何ならWSもやられているので、実感を得やすい環境です。いちフォロワーというか、ファンとして、一人の作家の作品が、様々な語り口で語られているのを見聞きするだけでも十分楽しいし、刺激的。言葉のシャワーをいっぱい浴びて、気持ちが良い。

だけど、みんなが良いと言うから良い作品だと思っているわけではないんだよな、とも。

植田さんの作品を初めて見た時の、あのワクワク感と、疑問が持続している。
いや、〈なぜ?〉も〈なんだこれ?〉も、作品側から問われていて、それに応答する言葉を探している。

表現すること…ものづくり、場づくり、踊りでも、唄でも、〈それがどこからやってきたものなのか?〉を考えることは、他の様々な生活の場面、触れるニュース、出来事について考える時の姿勢にも置き換え可能で、端的にいえば〈点ではなく線でみる〉ってことで。

でも、そもそも何故それを考えるのか?の、動機づけがないと、考え続けることは難しい。一過性の情動で〈応答〉を試みても、それが持続しないと考えたことにならない。
脊髄反射で〈良い〉と思って、じゃあそれが何で良いのか?あるいは、それを別の何かと比較、あるいは美術なり、工芸なり、何なりの文脈から考察していくことは、大切だし、楽しいけれど、それだけだと〈良い〉と思った作品を、ただ並べて、都度都度、そういった考察ゲームに興じるだけ。線的見方がゲーム化してしまう。
で、そのゲームに興じるがあまり、対象がいつしか置き換え可能なものになり得る。

でも、多分植田さん…というか、良い作品はそういうものをなぎ倒す力がある。と、思う。
なぎ倒すとは?
〈問い〉に対して〈応答〉するための動機づけ自体が作品から発せられているのでは?

考え続けるための動機づけ。
私は、植田さんの作品から考え続けるための動機づけを与えてもらった気がしています。
ものづくりに対するラディカルな問いが絶えず発光している。
その問いを掴みたくて、植田さんの作品を都度都度の参照点に据えている。
何をしても、していいなくても、頭のどこかに、その問いがたゆたっている。

今後、ギャラリーを動かしていく時の、(ひとまずの)参照点として。〈つくること〉の根源を探すため、植田さんに出展をお願いしたのかなーと、声掛け時点では言語化出来なかった部分に長ーい注釈を入れてみて、企画展に出してもらえることになって改めて良かったなーと思うと共に、作家さんに私が返すことが出来るものは何だろう。と考えている最中です。
貨幣でも、貨幣価値以外でも。

おしまい。

ちなみに、〈それがどこからやってきたものなのか?〉については、郡司ペギオ幸夫著、《創造性はどこからやってくるか ――天然表現の世界 (ちくま新書》を読んで、そのまま影響を受けています。目次から既に面白いので気になる方はぜひ。

以下のURLから試し読みできます。
https://www.webchikuma.jp/articles/-/3177

・・・

植田 佳奈  Kana Ueda
@uedakana_

・・・
1992年神奈川県生まれ
2015年武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科陶磁専攻卒業
小さな電気窯で用途のない焼き物を制作している。
作為の中に無作為を含ませた制作方法を用いて、人工と自然の間を探る。
失敗とも思えるような偶然入ったヒビや割れなどを技法として取り入れたり、数日間かけて土の表面に点を打ち続けることによって自然物のような肌理を作り出している。
土や釉薬での実験を繰り返して、陶芸での新たな質感表現も試みている。

【個展】
2015 「植田佳奈陶展」神奈川ギャラリー元町
2016 「感度」 神奈川 飯島商店
2018 「新しい肌理」 神奈川 飯島商店
2020 「CARVE OUT 」東京 green thanks supply
2021 「depends on your hand」 東京 CIBONE CASE
        「pebbles」大阪 shop ULU
        「Drifting Objects」東京 doinel
        「さわれる景色」神奈川 熊澤酒造 Okeba gallery&shop
        「Ore」東京 green thanks supply
2022 「utopia」 大阪 shop ULU
          「Found Shapes」 東京 doinel
   「excavation sign」東京 green thanks supply
2023   「植田佳奈 個展」静岡 Rohan
           「植田佳奈 作品展」東京 doinel
   「Sense of touch」東京 SIRI SIRI Shop
           「Metaphysical landscape/形而上学的風景」東京 nostos books
             「植田佳奈 個展」Dtree gallery
その他多数

【グループ展】
2017 「桃居の夏休み」 東京 桃居
2019 「桃居の夏休み」 東京 桃居
        「となりのノワール」東京 大阪 shed、shop ULU
2020 「pop up shop  ULU “シロモノ”」 大阪 阪急うめだ本店 暮しのアトリエ
         「星が鳴るころに」 大阪 shop ULU
2021  「DAMDAM Atelier Vol.3」東京 GALLERY5610
2022 「イージーバターエントランスカーテンホール」東京 house t
        「utopia:gathering / ユートピアギャザリング」   大阪 shop ULU
        「Blue 花とうつわ、空間を彩るブルー展」 茨城 ろばの家
       「人工 | 自然  都市生活と自然を繋ぐうつくしいもの」東京 living motif
       「Exhibition 質感に触れる presented by Mr. CHEESECAKE」東京 SPACE R
       「ISETAN ARTS & CRAFTS」東京 伊勢丹新宿店本館6階
2023  「4人展」 静岡 Rohan
           「手仕事のさきへ9」京都 日東堂
   「小品展」 栃木 もえぎ城坂内店
   「頁の海に潜る」広島 LOG   東京 GALLERY MERROW
その他多数

【受賞歴】
2015年  「第55回日本クラフト展」奨励賞
2017年  「TALENTE2017」入賞

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ツインギャラリー蔵 / リニューアルOPEN展示
植田 佳奈 夏目 とも子 嘉 春佳

-日程-
2024年4月20日(土)〜5月6日(月)

-時間-
11:00~17:00

-closed-
火・水 / 4/23、24、30、5/1

-会場-
ツインギャラリー蔵
静岡県浜松市西区入野町1104

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植田佳奈
@uedakana_

夏目とも子
@tomoko_natsume

嘉春佳
@radiotaiso_1

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●関連イベント●
壁プロジェクト - 夏目とも子
4/20(土)〜5/6(月)
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表面の白い層を削ると、幾重にも塗られた色層が現れる。
彫る手の力加減によって深さが変わり、思いもしない色が生まれ、来場者一人一人の線が静かに繋がり、それは半永久的に目に見えない形でギャラリーを内側から包み続ける。

レセプションパーティー
4/20(土) 15:00〜予定

作家さんとお茶飲み会
在廊日(決まり次第)

さしすせそ文庫
参加作家さんによる選書
(本・絵本・漫画・雑誌・映画・音楽)
・・・
作品について深く知ってもらうため=知識の補強ではなく、目の前にある作品が、どこからどうやって来たのか考えるための取り組み。

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