ヨーロッパでフルリモートになるために〜マルタ就職2年目での転職した時の話
【ヨーロッパフルリモートへの道】
マルタに来て、もうすぐ2年。
ついにこれまでのキャリアと連動させた転職に成功。
当然、この間には何度も不採用になり、挫折→分析→改善の日々でした(発信していないだけ) 今回は、ありがたいことに2社オファーをもらい、条件を交渉したり比較しながら進められたから満足した結果に。
今回の転職活動で感じた海外就職、海外転職のやり方とかも含めて、これまでの人生、
・なぜ国内大手でサラリーマンから日本国内でフリーランスにしたのか
・海外ノマドを志した時の国選び
・なぜ海外ノマドではなく、海外就職の選択をしたのか
・海外ノマド、海外生活のコストを含めたリアル
・なぜノマドではなく、転職したのか なんて当たりをシェアしていこうと思っている(自己満)
【なぜ安定サラリーマンから国内でフリーランスに】
正社員からフリーランスになるにあたって、安定している環境を上回るほど抱いていた「理想」はこんな感じ。
・時間に囚われない働き方がしたい
・頑張りがすぐに給料に反映されて欲しい
・場所を選ばずに、自由に移動しながら生活したい
この時は、今から約6年前。 俗に言うYouTuberが出てきたりしてる時期でSNSとかでも、時間や場所に囚われずに生活してる人たちの様子が垣間見えるようになり、強く憧れるようになる。
そして4年勤めたJR東海を退社。
感覚としては、 「まだ20代だし、JRの時と同じ熱量で働けばやっていける気がする」 「0→1が評価される世界線に行きたい」 っていう、何の根拠もない若さ故の「自信」とも言える「過信」と共に旅立つのである。
この時はまだ、この後待っている「現実」を知らない。
【フリーランスのリアル】
フリーランスと聞くと、 「時間も場所も自由で良いな〜」 「なんか稼げてそう」 「確定申告、よく分からないから、なんかもうわかんない」 とか、ざっと最初に抱かれるイメージってこんな感じだったりすると思うけど、そもそもこんなイメージに辿り着くのが大変。
厳密に副業っていう感じでフリーランスの契約したのは、JRを辞めてから行ってたイギリスワーホリ中で、その2年間から日本での2年間、そしてマルタに来てからの1年半という感じで、トータルすると5年半。 最初はライターから始めて、SNS運用、SNS広告、動画編集、YouTubeチャンネル運用、ディレクションという感じでやれる事の幅を徐々に広げながら自分自身の単価も上げていくという流れで今に至ってはいる。
この辺の何が大変なのか的な話はフリーランス2年目の段階で書いたNoteがあるので、それを読んでみてください https://note.com/unionclip/n/n0a259c9bb328?sub_rt=share_sb
スキルの習得方法や仕事の取り方は人によって方法も異なると思うけど、個人的なおすすめは、案件を進めながら独学で学んでいくのが良いと思ってる。
経験がなくても案件を進めた方がいいのは「仕事」を進めれば「仕事」に必要なスキルが優先的に身に付くから 独学でいいと思うのは、もう今の時代、調べれば何でも情報は出てくるし、そもそも「仕事」を進めていく中で、足りない知識やスキルが分かってくる。すぐに調べてそれを実践してみるという意味で言うと、スピード感も含めて1人で解決できるし、スクールとかで学ぶことは、必ずそこに行かないと学べないものでもないからである。
「仕事」をするにも、ひたすらクラウドソーシングに登録して、毎日応募できる案件にひたすら応募するだけじゃなく、自分の好きな業界の企業をリストアップして、メールや問い合わせフォームから営業メールを送りまくる。 当然、経験がないから打率は低いけど、とにかく打席に立つしかないのがリアルでもあるし、求人とか需要ってタイミングだから、「スキルを準備してからにしよう」ってすると、タイミングを失うことがあるからでもある。
フリーランスは、待ってても仕事は来ないし、仕事が来ないと収入は全くなくなる。 スクールとかサロンの存在も否定はするつもりはなく、正社員を辞めずに知識を得たいのであれば良いと思うし、お金を払うことによって自分で調べる手間を省くという効率にお金を払うのは全然ありだとも思う。
学ぶことは自分でも学べるとしても「仲間」を作ったり、「人脈」を作るという点でもこれらの存在は、あった方がいい場合もある。
そうして、ようやくいくつかの案件に辿り着き、自分の単価を上げていくことでようやくフリーランスとして人生を歩むことができるようになる。冒頭のイメージに辿り着くにはこれらの壁をどうにか打破しなきゃいけない。
そして、正社員とフリーランスの決定的な違いと「現実」
・住宅ローンなどが組みにくい
・クレジットカード作りにくい
・保険と年金の種類が減り、全て自己管理
・収入が安定しにくい
・夏季、冬季ボーナスとかない
・突然に仕事がなくなる可能性あり
・人生の未来設計に現実味を持たせるのが難しい
もちろん、旅しながら仕事ができたり、満員電車に乗らなくてよかったり、毎朝スタバで仕事ができたり、会社員では申請できない補助金などがあったりと、正社員の時ではできない生活ができるのも事実ですが、その「逆」に「できなくなる」事もしっかりとあるということは認識しなければいけないかもしれません。
そして何より、会社員の時に出来ていたことができなくなると、人生設計を進めるのが意外と難しくもなる。
僕の場合は、もう会社を辞めてたし、もう進むしかないというナチュナル退路断ちをしていたので、逆に火がついた感もありますが、この辺りの一長一短はしっかりと判断してから動くのが良いと思っています。
【海外ノマドを志した時の国選び】
そもそも場所に囚われずに働きたいと思ったのは、国内だけではなく海外も転々としたいって思いがあるから。
海外に行きたいのは、旅行が大好きで特にヨーロッパの空気感とか景色とかを見てるのが好きという理由で、日本に嫌気が差してという訳ではない。
・円安がすごいから、日本を脱出した方がいいのではないか
・少子化がやばいから脱出した方がいいのか
・日本の働き方や社風は世界に比べてやばい
とか、色々な理由もあって海外を意識することもあるかもしれませんが、海外生活をしている僕の目線では、「日本はそんなに終わっていません」、日本国内で生活するのであれば、「円安」だったとしてもそこまで為替は意識しなくてもいいし 少子化がやばいのは、日本だけじゃなく世界の多くの国で抱える問題だし 海外の働き方は、「はい、事業縮小します。今日でクビ。荷物まとめて」なんていうくらいドライな世界の側面もあるし よく、海外在住者が日本の事をボロカス言ってたりしますが、僕は正直耳を傾ける必要はない派。
このような発言やそれらの人たちは、日本人であって、強いパスポートと信用があるから自由に海外で生活できてるだけで、そもそも日本にいないのにどういう「責任」のもと発言してるのかも分からないし、問題提起するのに解決しようとはしない、行動しないと言うのを自ら宣言してるようなものっていう認識なので。
と、ここまでを踏まえて、ある程度日本国内のクライアントが増えてきて、海外生活したいなと思いながら日本に留まっていた時、本格的に「国選び」を始めます。
まず、当時の自分の現状として ・案件は日本のクラウドソーシングサイト(日本円) ・直接営業して得た長期契約は全て日本企業(日本円) 収入は日本円、クライアントは日本企業、クライアントは国内での取引を希望している。
こうなると、クライアントに為替を両替させることはできず、海外生活する場合は、自分の日本円を現地の通貨に両替して使うという状態に。 お金の面から考えると意識するのが
「為替」や「円安」
収入を増やすよりも支出を減らす方が貯金を増やす一般的な手法である事を考えると、現地の「通貨」や「物価」に対して対等、もしくはポジティブな状態でなければ、現地での生活は苦しくなる。 「円安」「円安」と言われるが、そもそも日本の給与水準は海外各国の物価に合わせて作られていないから、「円高」「円安」に限らず「日本円」で生活するのこと自体がコスパが悪くなることもあるということです。
これらのことを考えて物価比較サイトの「Expatistan」とかで調べてみると、「日本円」で生活するのであれば、必然的に「アジア(シンガポール以外)」「東ヨーロッパ」「中南米」「アフリカ」あたりから選ぶのが現実的になり、それ以外の地域を選ぶと、日本で同じ生活をするのに対して100~150%の収入を得ないと生活を維持できないことも分かる。
次に考えなければいけないのが、海外に住むのに必要な「ビザ」問題。
海外に住むにあたって、長期で滞在するのであれば滞在する国で有効なビザを取得する必要がある、もしビザを取得しないのであれば、観光ビザの滞在期限までその国に滞在し、期限が切れる前に他の国へ移動し、観光ビザで滞在するというのを繰り返すことになる。
もしビザを取得するとすると、独り身の人間が取得できるビザとして
・就労ビザ
・フリーランスビザ
・起業家ビザ
・ノマドビザ
・ワーホリビザ あたりが候補になってくる。
フリーランスとして海外に住みたいのであれば、フリーランス、ノマド、起業家、ワーホリビザを取るのが基本。 これらのビザは国によって呼び方とか条件が違うが、基本的にはビザの取得条件を満たしてビザの申請料金を支払えば取得できる。 そう、お気づきだろうが、そもそも初期費用が結構かかることになる。
ビザの申請料金だけでも数万円から数十万円、マルタの場合だと、ビザの申請条件としてもフリーランスとしての収入証明が年収計算で約700万円の収入をすでにフリーランスとして得ている必要があるのです。
月収に換算すると、約55万円ほど。フリーランスで毎月55万円の売り上げを立てるとなると、まあ1日中仕事を続けても難しい。
そうなるとビザ問題で現実的に可能なのは、ビザの取得要件に必要な収入額が低い国でビザを取得するか、観光ビザで滞在できる範囲で転々とするかという流れになる。 と、ここまでの「お金」と「ビザ」の話を組み合わせると、証明する収入額が低い(€2,500以下)、もしくはビザ無しで長期滞在が可能な国、なおかつ日頃の生活コストが低いとなると、ヨーロッパであれば「ジョージア」、あとは東南アジアの国々を選択するのが、ノマドとしてのファーストステップのように見えてくる。
そう、自由自在に動き回りたかったのに、動き回るためにはフリーランスとして自分の単価を高めてからでなければ難しいのだ。
【なぜ海外ノマドではなく海外就職なのか】
と、ここまでのポストをご覧いただけば、なぜ僕が日本の仕事をしながらフリーランスとしての海外ノマドではなく、海外就職を意識したのかが分かるかと思います。
僕が至った結論として、真の意味で海外ノマドになるためには、円安なんて気にならないほどの仕事量をこなすか、自分の単価を上げきるか、現地の通貨で生活して移動するだけの報酬を得るかという選択肢になる。
ヨーロッパでは多くの国でビザ要件にあるように、最低でも月に2000ユーロ以上、日本円であれば30万円以上の報酬を毎月安定して得ていないと国を選ばずには生活できない。
日本のクライアントだけでそれだけの報酬を安定して稼げるのか、人脈もないなかで外貨報酬を継続化できるのか。転々とするだけの移動費を稼ぐこともできるのか。ビザ代を自分で捻出できるのか。 当然、自分自身の最終目的地によって、どのような選択をするのかは変わってくるが、僕の場合は、 「ヨーロッパやアメリカなどの先進国も含めてノマドをしたい」というのが最終目的地なので、ユーロやドルを収入の基盤としたいというのが取るべき行動指針になりました。
そうなってくると、日本のクライアントを増やし、日本企業との仕事を続けるよりも、海外企業とのコネクションを増やし、継続化を図るのが順序になり、そのための入り口としてフリーランスではなく正社員として海外企業に入社するというのが、効率的なのではないかと考えるようになった。
正社員の良さと悪さは、日本とさほど変わらないが、「海外企業に就職」する事のメリットはこんな感じになります。
・ビザは会社が申請
・安定した外貨報酬
・基本給以外にもボーナスなどのインセンティブがある
・保険がある
・有給休暇の取得は100%
・渡航費を負担してくれる場合がある
・人脈ができる
・各種ツールの契約は会社名義
また、企業や職種によってはハイブリッドやリモートで仕事をする事ができる場合もあり、そのような場合は上記に加えて
・パソコン、スマホ、モニター支給
・デスク、チェアーなどの購入補助
・世界中どこから働いてもいい
などの福利厚生も充実してくる。
このような事を踏まえると、特定の業界で「日本人」としてのキャリアを作り、転職を繰り返す中で自分の単価と労働環境を整えながら、海外企業の正社員としてリモートワーク、もしくは正社員からの業務委託契約に切り替えるという方法が、最も「効率よく」「早く」そして「生活のクオリティ」を維持しながら国を選ばずに旅をしながら海外ノマドになれるものだと、僕は結論づけました。
もちろん、これはあくまで僕個人としての結論であり、ニューヨークだろうがロンドンだろうが関係なくフリーランスとして海外ノマドできている人もいると思うし、自分もいつかはそうなりたい。
ということで、海外ノマドではなく、海外就職を目指して様々なリサーチをする中で、「ヨーロッパにいたいけど英語以外は話せない」という状況の僕は、海外就職の場合、「イギリス」「アイルランド」「マルタ」が英語圏として浮上、「イギリスは絶望的に就労ビザの取得が難しい」、「アイルランドはイギリスよりも寒い」 などと考えていたタイミングで、韓国人の友人がマルタで就労ビザを出してもらったという話を聞き、話を聞いていくところ「英語力がそこまで高くなくても応募できる」というヨーロッパ移住する最初のステップとしては最高な場所を見つけ、即応募、現在の僕の日々に至る。
【なぜノマドではなく転職したのか】
マルタでの生活を始めて1年半、業界での経験値もある程度貯まり、仕事をしながら空き時間に進めていた日本のクライアントとの仕事での経験値も貯まってきたこのタイミングで、次のステップについて考え始めた。
そもそもの最終目的地は欧米を拠点にした海外ノマドなので、そのための選択肢として
・転職して正社員のフルリモート
・海外企業との業務委託契約で海外生活
・日本のクライアントとの条件を見直す
・案件を増やす
この辺りの選択肢が考えられるが、外貨である程度まとまったお給料をもらっていた生活をしていると、外貨収入の割合を減らすという選択肢は、自分の行動範囲を狭めることに直結するということで現実的ではなくなってしまう。
そうなると、日本のクライアントとの条件を見直したり、新たな案件を取りに行くのではなく、海外企業とのネットワークとそこでの仕事で得た「外貨」を運用しながら人生を歩んでいくという覚悟をここで決めることになる。
こうして自分の「ノマド」としての形を案件型から正社員リモート型に定め、デジタルマーケティングに職種を定めて転職活動を開始した。 海外での就職活動の仕方や転職活動のやり方については、興味がある人がいればどこかのタイミングで書いていこうかと思いますが、ここではテクニカルな部分については省略。
転職活動の結果、2社からオファーをもらうことができた。業界はどちらも同じだが違いは働き方と年俸。
①
・職種はコンテンツエディター
・マルタの就労ビザが支給
・フルリモート(最低6ヶ月(年)はマルタに滞在)
・手取りが下がるが基本給は上がる
・ベンチャー企業
②
・職種はデジタルマーケター
・マルタの就労ビザが支給
・ハイブリッド (週3出社、週2リモート、年に1ヶ月はフルリモート)
・手取りも基本給も上がる
・大手企業
この二つのオファーを比較すると、仕事内容としては大きく変化はない、裁量自体は②の方がありそうで会社としての安定感もこちらの方がありそう、ライフワークバランスは①が念願のフルリモートで、マルタのビザが出るのでヨーロッパノマドが実現できる。
ヨーロッパでのノマドが最終目的地であったことを考えれば①の選択肢が必然のような気もするが給与の隔たりがネックに。 ①と②の年収の差は日本円で約160万円ほど 160万円はさすがに大きい笑 そして結局、オファーを受けたのは②のオファー。
これだけを聞くとお金でしか判断していないように思えるが、これには海外就職・転職ならではのいくつかの理由がある。
まず一つ目は、以前のポストでも書いたが自由に国を選ばずにノマドをするには収入証明、生活費の点からもお金がある程度必要であるということ。 二つ目は、海外企業において自分の単価を上げるには「転職」が主な手法になるということ。
日本の企業では、勤続年数・年齢に応じて給与が上がっていくというスタイルが一般的かと思うが海外では同じポジションでも能力や経験に応じて異なるというのが一般的。
海外の企業の場合は、同じポジションに居続けてもお給料が上がることはなく、社内転職、社外転職をする際の給与交渉で自分の年収を上げる。 そして、この給与交渉の際にベースとなるのは前職での年収となることから、自分の単価を早くから上げておくと次の転職の際にさらに給与を上げることができる、なので給与交渉では上げきれるだけ上げるのがセオリーになる。
この金額の差が10万円くらいだったら①を選んでいただろうが、100万円以上も違うとなると、次の転職でも埋め合わせられるかどうかとなる、今①を選ぶと②の給与水準になるのが5年後とか先になる可能性がある。
これらのことから今回の転職では、フルリモートではなく単価を上げる方が得なオファーであったことから②を選択した。 今回のオファーでは、元々の提示額からどちらも40万円以上条件を上げることにも成功。オファーでの給与交渉の仕方とか面接時の提示についての話も、興味のある人がいればいつか書こうと思う。
そんなこんなで、今回はフルリモートのノマドではなく転職をして海外生活を続けていくことに。
でも今までよりはハイブリッドでの働き方になったので週末ノマドという形で色々な国で生活できたらなと思っていますので、海外ノマドの先輩の皆さん、ぜひどこかでご一緒の際はよろしくお願いします