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夜のウユニ塩湖を表す三大形容詞「やばい」「きれい」「寒い」

星景写真家、そう名乗れるほどのものでもないが、星空は見るのも撮るのも好きだし、未だその興味が劣ることはない――。

ボリビアの絶景と呼ばれるウユニ塩湖に、毎年雨季のシーズンになると写真を撮りにくる稀有な男がいる。
その時期になると必ず現れる男は、現地では当然顔見知りも多い。
1年の内、90日しか滞在しないとは言え、「バイバイ」を言ってから次またやって来るまでの期間は、1年から滞在していた90日を差し引いた9ヶ月後――意外とあっという間だということを本人も含めみんな感じているはずだ。
いない期間も長いが、いる期間もまた長い。

『死ぬまでに行ってみたい絶景』として有名なウユニ塩湖。
それを毎年のように見ている男は、とても残念なことに10日もすれば飽きが来てしまう。
しかし正直これは毎年行っていないものでも、また極端な話、初めていくものでも、10日もいれば飽きてしまう場所なのは、意外と周知の事実ではなく、行ってみて初めて分かることだったりする。
ウユニ塩湖に行くためのベースとなる街...…と言うか村、Uyuni(ウユニ)はとても小さい。
中心部から2~3ブロックも離れると足元からアスファルトが消え、雨が降ろうものなら、走り幅跳びの陸上選手でも飛び越えること不可能な水溜まりが広がる。
水はけの悪さは日本で暮らすわたしたちの想像を大きく超える。
そんな狭い街...…いや、村には特別見るところもなく、歩いて見て回っても1日あれば知ることができる。よって旅人の誰もが口にするように男にもすぐに飽きが来てしまうのだ。

村、村と言っているが、男の中ではここを街と呼んでいた。「町」ではなく「街」の定義に基づくならUyuniを街と呼んでも構わないはずだった。
Uyuniは小さい街ながら週に2度、フェリアと呼ばれる「市」がメインストリートに立つ。
木曜日と日曜日、Uyuniの外から来た人も出店するこのイベントは、普段静かなこの街をまあまあにぎやかにする。ちなみに木曜日のほうがでかい。
観光客に「どっかお勧めってあるんですか?」と訊かれれば、男は必ずこのフェリアを勧めた。
ボリビアというところは多くの女性たちが(主におばちゃんではあるが)民族衣装を纏っている。
男がここへ初めてやってきた日もちょうどフェリアの日で、その民族衣装を纏ったおばちゃんたちの活気と華やかさを、未だ鮮明に覚えていた。
南米広しと言えど、そうそうどこでも見られるものでもないのだ。


そんなUyuniに通い続けて約8年。10日で飽きるのは本当だが撮影は別だ。
他のところでもよく書いているが、天気に大きく左右される分、もしそれに恵まれれば息を呑むような絶景にお目にかかれる。
日中のモクモク雲が広がれば最高だし、夕焼けが爆焼けするのも最高だ。
朝の幻想的な雰囲気もまた最高だし、天と地に星空が広がれば、それはもちろん最高だ。
そんな中で、もっとも好きなのが夜景だった。
撮影をしているときは時間を忘れる。
トイレに行きたかったことも忘れる。
ひっそりを静まる満天の星空の中でただひたすらシャッタスピードと画角を変えながらシャッターを切っていく。
恐ろしく夢中になれる。
不思議だ。
あれだけ、もう本当一生分は見ているだろうウユニ塩湖の星空のはずだが、まだお腹いっぱいにならないのだから。

「やばい」「きれい」「寒い」
ちなみにこれが夜のウユニ塩湖三大形容詞だ。
そんな中で、小道具を振り回しながら夜の撮影に臨む。
次のシーズンもこの満天の星空の中で作品を撮っていきたい。

応援ありがとうございます! なんだかいろんなことやていますけど、今後も写真家として活動し続けられるように頑張ります!!!