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たっす、29歳で世界一周へ。「やりたいことは、今からでも遅くない」

こんにちは!KAMIKITA HOUSE住人のコージー(@koji__O)です。

入居者の魅力に迫る住人インタビュー。第26回は、IT企業に勤めるたっすさんに学生時代の旅の経験や世界一周への思いを聞きました。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!

たっす
大阪府大阪市出身。現在は都内のITベンチャーで営業を担当。コンビ「チケットボンバーズ」でラジオ配信を3年間毎日続けており、趣味の域を完全に超えている。趣味はサウナ、キャンプ、筋トレ。今年は2年ぶりにトライアスロンのレースに出場予定。

世界一周をあきらめて、就職

ーー来年、世界一周に行くとうかがいました。学生時代から旅が好きだったのでしょうか?

旅に魅了された最初のきっかけは、大学2年の夏休みに行ったカナダ留学でした。祖母が「もっと広い世界を見てこい」と1ヶ月の留学費用を出してくれたんです。それまでは特に留学に行きたいと思っていたわけではなく、お金出してくれるなら行ってみるか、みたいな軽いノリ。ただ、実際に行ってみると、衝撃を受けました。

留学先はカナダのトロント。電車ひとつとっても日本との違いを感じました。隣の車両に移るだけで景色が全然違うので、楽しめるんです。食べ物の味変みたいに。海外は何もかも新鮮だったので、小さな変化も楽しめました。様々な人種の方がいるのも印象的でしたね。

ーーカナダ留学で衝撃を受けて、その後は?

カナダ留学の1年後、3年の夏にアメリカ一周の旅に出ました。カナダは大学の仲間と一緒だったので、今度は一人旅をしたいなと。「世界といえばアメリカっしょ!」という理由で、アメリカをバスで一周しようと決めました。左上のシアトルからグルっとバスで下に行って、右下のヒューストン行って、右上に戻ってきて、最後シアトルまで戻ってくるという旅でした。

ーー理由が意外と浅い(笑)。アメリカ一周の旅はどうでしたか?

最高でした。特に印象に残る思い出は、2006年に公開された映画『ハイスクール・ミュージカル』の舞台に行ったこと。これまでの人生で、一番テンションが上がったんじゃないかというくらい強烈な出来事でした。

『ハイスクール・ミュージカル』は、高校1年の音楽の授業でたまたま観たことをきっかけにハマりました。ストーリーも主演ザック・エフロンの演技も秀逸で、なんといっても元気が出る映画。大学時代に映画館で3年アルバイトした僕が選ぶナンバーワンの映画です。

それで、せっかくアメリカ一周するなら『ハイスクール・ミュージカル』の撮影地のソルトレイクシティに行こうと思いたったんです。とはいえ、撮影地は普通の高校。英語がしゃべれないなか、とりあえず学校に侵入して、怒られながらも“ I love High School Musical !! ” と必死に熱意を伝えたら、鍵を開けてくれて、映画で使用された舞台を見せてもらいました。

行き当たりばったりの旅でしたが「行動したら何とかなる」ということを学んだ貴重な経験になりました。アメリカ一周する前は、英語が喋れない不安がありましたが、旅での様々な経験を通して、意外とどうにでもなる、と思いましたね。

ーーすごい経験でしたね。

アメリカをぐるっと一周して「世界ってこんなに広いんや」と心の底から感じました。それまで自分は大阪にしか住んでこなかったけど、世界には色んな景色があって、色んな人がいる。だったら次は世界一周したい、と思うようになりました。

ーー学生時代、世界一周の旅は行ったんですか?

いえ、就職活動期間に「休学して世界一周する」って言ったら親にめっちゃ怒られたんです。当時、僕の覚悟が甘かったというのもあり、親を説得できずに半年間引きこもるみたいな時期があって。世界一周への思いはあったのですが、親に迷惑をかけているので、いったん社会人になって、自立してから考えよう、と。それで世界一周をあきらめ、就職しました。

2社目で挫折。カミキタハウス入居が転機に

ーー就職してから、世界一周への思いに変化はありましたか?

旅したいという思いは持っていましたが、3年目くらいまではあきらめてる気持ちの方が強かったですね。プライベートと仕事は完全に別物だったので、有給とって海外旅行とかは行ってましたけど。

ーー気持ちを切り替えて、仕事に熱中していたのでしょうか?

実は転職した2社目で、挫折を経験しました。3年半勤めた1社目では新規開拓の飛び込み営業である程度実績を残せていて、コミュニケーション能力には自信がありました。でも2社目で、その自信が完全にへし折られたんです。

不動産会社の人事だったんですが、一緒に仕事をする4人チームの中でなぜか「こいつは圧倒的に仕事ができない。コミュニケーション能力が低い」と思われてしまって。言葉遣いや表情について指摘されまくる毎日でした。

自分としては普通にしているつもりでも「ヘラヘラすんじゃねえ」とか「そのリアクションなめてんの」とか言われるうちに、どんどんプレッシャーがかかってきて話せなくなってしまって。メンタルがボロボロになって、完全に負のスパイラルでしたね。自分を壊す前に、と思い、転職後11ヶ月で逃げるようにやめました。

ーー今のたっすさんからは信じられないですね。やめた後はどうしたのでしょうか?

2020年9月末に2社目を退職した後、大阪の実家に戻り、半分ニート、半分Webライターみたいな生活をしてました。「コミュニケーションが下手」と言われたので、コミュニケーションがいらない仕事をしようと思い、安直にWebライターがいいのかなと。クラウドワークスで依頼を受けてひたすら記事を書いていました。
そんな生活を半年ほど送っていたら「俺何してんやろ」という思いが強まっていったんです。やっぱり人と話すのは好きだったので、コミュニケーションを取れないストレスが溜まっていってましたね。

ーーカミキタハウスに入居したのは、そのあたりの時期ですよね。

そうなんです。まさにカミキタハウス入居が自分にとって大きな転機となりました。カミキタハウスに来て、フリーランスや経営者の人と人生で初めて話す機会があり、自分の生きてきた世界がいかに小さかったかを思い知りました。

なかでも特に大きな影響を受けたのはさら、ひびきさん、ワタルの3人です。料理人のさらはフランスに修行に行く予定が、コロナで行けなくなりカミキタハウスに来ていて。大変なはずなのにすごく楽観的に話していたし、今はもうヨーロッパに行っているし。やりたいことを実現する行動力、夢を堂々と語って突き進む姿がかっこいいと感じました。

ひびきさんは、もうガチガチの経営者です。太ってる自分を変えようと筋トレを始めたら人生が変わり、筋トレを事業にしたという。生きてる世界が違う感じですが、僕にも他の住人にも対等に話をしてくれて。色んな人の人生相談に乗っていて、素晴らしい人格者だと思いました。

元消防士のワタルは「別の生き方をしたい」と動画編集を学んだり、ボディビルやトライアスロンに挑戦したり、やりたいと思ったことへの推進力がえげつないです。今は日本の百名山に登るという新たな挑戦をしています。同い年なこともあり、一番身近な存在ですごく尊敬していますし、僕のロールモデルだと思っています。

会社をやめて「これからどう生きていこう?旅しながら働きたいな」と思っているところに、自分の理想をすでに実現している人たちが目の前に現れたという感じでした。実際には「旅しながら働く」というわけではないですが、自分で時間を作り、働きたいときに全力で働いて、楽しむときは全力で楽しむという生き方をしていることに驚きました。「こんな生き方できんねや」と。カミキタハウスでの出会いは、めっちゃでかかったですね。

20代のうちに、世界一周へ。あと1年で、手に職つける

ーーカミキタハウスでの転機を経て、改めて世界一周の旅に出る決意を固めたんですね。どんな旅になるのか、世界一周の具体的な計画を教えてください。

まだどこへ行くかは決めていませんが、2023年の9月から約1年半の旅に出ます。2023年12月に30歳を迎えるので、20代のうちにやりたいことを実現したいという気持ちがあります。世界一周の後には、デンマークのフォルケホイスコーレという学校に留学する予定です。

ーーフォルケホイスコーレには、なぜ行きたいんですか?

カミキタハウスに来る前、実家でWebライターをしていた頃、「幸せになるにはどうすればいいのか」をよく考えていたんです。色々調べてたら、日本が低い幸福度ランキングで北欧諸国は軒並み高いことが分かり、フォルケホイスコーレというものを知りました。

フォルケホイスコーレはデンマーク独自の教育機関で、17歳半以上であれば誰でも入学できます。単位や試験などは一切なく、対話、ディスカッションを重視した授業になっています。学ぶ分野は自分で決めることができ、全寮制で仲間とともに生活しながら自己理解を深められる、そんなイメージです。

正直まだ僕自身、分からない部分もあるのですが、実際に現地へ行ってみて、北欧諸国の幸福度が高い理由や日本と北欧の教育の違いを知りたいと思っています。

ーー来年の世界一周の出発まであと1年ほど。それまでにやりたいことはありますか?

世界一周では「旅しながら働く」ことに挑戦したいんです。そのために、あと1年で手に職をつけることが最大の目標です。

昨年6月に3社目のITベンチャーに入社し、営業や広告運用の業務をやらせてもらっています。今後は営業、広告運用のスキルを高めつつ、新たにWebデザインも学ぶ予定です。営業、広告運用、Webデザイン、この3つのスキルを掛け合わせて、場所にとらわれずに働く準備をしていきたいです。

ーー最後に改めて、世界一周の意気込みをお願いします。

僕は大学でやりたかった世界一周ができなくて、なんとなく社会人になりました。そういった経験をしているからこそ、なんとなくモヤモヤしながら働く人へ向けて「やりたいことは今からでも全然遅くないよ」というメッセージを伝えていきたいです。

学生時代は熱や覚悟が足りなくて、お金を貯めたり、親を説得したりできませんでした。一度はあきらめましたが、やっぱり世界一周したい気持ちは変わらなかった。いや、むしろ深まってきています。そして、旅しながら働くために、どのようにスキルをつけていくかも具体的に考えて行動しています。

学生時代にできなかった後悔は、自分の中で消えることはありませんでした。リベンジを果たしたいんです。「旅をしながら働く世界一周」が実現できれば、独立スキルを持った状態になるので、その後のキャリアにもつながると思っています。

帰国後のことは一切考えていません。また企業に属するかもしれないし、フリーで働くかもしれない。海外移住するかもしれません。大事なことは、自分が人生を選べる状態になること。まずは独立スキルをつけて、働きながら世界一周して、人生の選択肢を広げたいです。

これまでの28年間、いろんなことがありましたが、結果的に今すごく楽しいですし、世界一周も全力で楽しんでいきたいと思っています。みなさんも人生を楽しんでいきましょう!

【取材後記】
「たっすは面白い」。カミキタハウス住人や、たっすと僕がともに所属する旅人コミュニティ「POOLO」の仲間たちは、口々に言う。それを聞くたびにいつも不思議に思っていた。本当にそうだろうか。むしろ、たっすはつまらない、と僕は思う。去年5月に初めて出会って、ニックネーム「たっす」の由来を聞いた瞬間。一緒に行った熱海、伊豆の旅行。1人だけスーツで登場したカミキタハウスでのプレゼン。僕の知っているたっすは、いつだってスベっていた。

ただ、あまりにもみんなが褒めるので、たっすとの思い出を改めて振り返ってみた。たしかに、たまにはウケていた。場を盛り上げていた。打率は低いが、ヒットはそこそこ打っていた。

たっすは軽い人間だ。アメリカ一周ひとり旅をした理由は「世界といえばアメリカっしょ!」。浅い。浅すぎる。突然「明日、マカオタワーのバンジージャンプをしたい!」と思いつき、10万円かけてマカオ日帰りの旅に出たこともあったという。信じられない。深い理由がないと行動できない自分とは大違いだ。

ここには重要な人生訓がある。大切なのは「打率」よりも「打席数」。たっすは浅い理由で行動し、どんどん打席に立つ。だから三振も多いが、ヒットも生まれやすい。ごくたまにホームランも打つ。

来年からの世界一周。きっとまた、盛大にスベることもあるだろう。だがそんなのは想定内。何度三振に倒れても、どんどんバットを振っていく。そんなたっすの姿が楽しみだ。

取材、執筆、編集:コージー

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