世界51カ国訪れたみっちー。「旅とは、今の自分を表現する手段」
こんにちは!KAMIKITA HOUSE住民のきどみ(@kdmin)です。
KAMIKITA HOUSEに暮らす個性豊かなメンバーの魅力を伝える住人インタビュー。第7回は、TABIPPO社員のみっちーさん(34)にお話を伺いました。ぜひ最後までお楽しみください!
みっちー(34)
恩田倫孝。TABIPPOの社員で主にイベントを企画・運営。新潟県出身。旅、本、パーティが好き。最近はウェルビーイングやサステナブルに興味がある。
刺激を求めて旅を続けた社会人初期
ーー旅が好きで、51カ国も渡航経験があると伺いました。中でもお気に入りの国はどこですか?
ミャンマーです。大学2年生の夏休みに、バックパッカーとして訪れました。ミャンマー人のシャイな人柄や、牛や馬と共存している暮らしがとてもお気に入りなんです。自分とミャンマー人の顔が似ているとよく言われたので、親近感もあると思います(笑)
学生時代は、長期休みになるとよく旅行に行ってました。16カ国くらい訪れたんじゃないかな。
ーー大学卒業後、忙しい会社員生活の中でも、旅行は行きましたか?
社会人2年目のゴールデンウィークに、ボーナスを全額使って9日間グリーンランドへ行きました。当時、仕事に慣れて日々の生活に満足してなかった自分は、刺激を求めて砂漠か氷河に行こうと決めたんです。そこで選んだ場所がグリーンランド。手配している旅行会社が無いのに加えて航空券が往復34万円もしたので、行くまでが大変でした。やっとの思いで現地に着いても、9割くらい氷で観光できる場所がなく、ホテルの窓から氷河を見て過ごしていた記憶があります(笑)ただ、グリーンランドの景色は絶景で、これまで見てきた中で一番綺麗と言っても過言ではないです。この他にも、社会人になってからバーニングマンに参加したのが印象的です。
ーーバーニングマンとは?
バーニングマンとは、アメリカのネバダ州リノ市付近の砂漠で、毎年夏に開催される、アートと音楽のフェスです。約70,000人が参加します。このフェスでは『No Spectator』(傍観者であるな)というコンセプトのもと、受動的でなく、主体的に料理や音楽など、自分が好きなこと・やりたいことを表現してそれぞれ楽しんでいます。また、ここではモノの売買がないのも魅力ですね。みんな、自分が与えたいから、見返りを求めず相手にギブしています。
ーーみっちーさんは何かギブしましたか?
社会人2年目の夏休みで初めて参加した時、コーラしか持って行かなかったので、ほとんどもらってばっかりでした。それが悔しくて、翌年もう一度参加したんです。
ーーえ、2回も参加したんですか?
はい。2回目は前回のバーニングマンで仲良くなった知り合いと「たこ焼き」の店を出しました。会社にいると組織の中で抑圧されているように感じますが、ここでの時間は真逆でした。みんな、“やりたいことやろうぜ”の精神で楽しんでいる。そこが、気に入りました。実は、2回目の時は世界一周の記念すべき1カ国目として訪れたんです。
ーー世界一周?!仕事はどうしたんですか?
社会人3年目のタイミングで会社を辞めました。
ーー入って間もない会社を辞めるとは、相当な覚悟が必要だったと思います。きっかけは何でしたか?
社会人になってから、自分はしみなお(TABIPPOの社長)や後のTABIPPO創業メンバー含め男13人でシェアハウスに住んでいました。仕事に慣れた3年目、仲間同士で今後どうやって生きていくか夜な夜な会議が開かれる中で、“今挑戦しても、死なないじゃん”という結論に至り、TABIPPO創業が決まりました。自分はそのムーブメントに乗って、仕事を辞めて半年間世界一周することにしたんです。
TABIPPOを辞めたいと思ったことは一度もない
ーー世界一周から帰国後は、再び働き始めたんですか?
帰国した時点でTABIPPO創業から半年経っていたので、「仲間に入れてくれ」と懇願しました。正直、立ち上げてから間もなかったので、自分みたいな新人を入れる余裕なんて無い状態でしたが、イベントをたくさん開催することを約束して、半ば無理矢理入れてもらいました(笑)当時は、経費申請や勤怠、インターン生の教育など、全部自分たちでやらなきゃいけなかったので、楽しいというよりカオスな状態でした。
ーー今や旅といえば「TABIPPO」と言っても過言ではないくらい知名度がありますが、初期の頃は大変だったんですね。
SNSで絶景の写真を投稿してバズらせたり、メディアに力を入れたり、旅系のイベントを企画・運営するなど、旅にまつわる様々な事業を展開して、徐々に認知度が高まっていったように感じます。メンバー1人ひとり強みが違ったので、そこを活かせたのもよかったですね。例えば、自分の場合はイベントを企画して毎週末開催してました。みんな根元に旅という手段で世の中をよくしようという思いがあったので、手掛けている事業が違っても成り立っていたのだと思います。
ーー前職の安定した会社員生活と比べると、TABIPPOでの働き方は毎日忙しくて大変だったと思います。
TABIPPOの初期の方は、週7日働いていた上に、無理を言って仲間に入れてもらったのでお給料は安く、毎日ぱつぱつな生活を送っていました(笑)それでも、辞めようと思ったことはこれまで一度もありません。前職は自分が1日何もしなくても会社は回りましたが、TABIPPOは自分が止まると会社も止まってしまいます。こうしてメンバー1人が与える影響が大きいのも、自分にとってはいい環境だったんだと思います。自分の得意なこと、好きなことを掛け合わせて仕事にできたのもよかったですね。
ーーみっちーさんは、今『POOLO(ポーロ)』を手掛けていると聞きました。
『POOLO』は、観光系やウェルビーイングなど様々な分野をテーマに、講師から教わりつつ、生徒たちも主体的にアウトプットしていく、“大人の学校”です。バーニングマンの『NO SPECTETER』(傍観者であるな)という考え方を取り入れました。もともとイベントなどの「コミュニティや場づくり」と「学び」が好きだったので、その集大成として運営しています。最初は手探りの状態で初めましたが、反省点を改善してどんどん良いコミュニティへ成長していると思います。次で3期生を迎えるので、楽しみです。
共生が上手くできると、人生はもっと楽しくなると思う
ーーカミキタハウスに来る前も、シェアハウスをしていたんですね。
10年間くらい、三軒茶屋や恵比寿、浅草などでシェアハウスをしています。色んなバックグラウンドを持つ人たちと共同生活をする中で感じたのは、“普通”は存在しないということ。自分の常識は、新潟県で育った“恩田倫孝”の常識であって、他の人の前では通じません。「歯磨き粉事件」がきっかけで、気付きました。
ーー歯磨き粉事件?
三軒茶屋で男5人で暮らしてた時、「歯磨き粉をどこに置くか」で揉めたんです(笑)自分は洗面所で歯磨きを行うから、歯磨き粉も洗面台に置くのが「普通」でした。だけど5人中3人は風呂場で歯を磨くから風呂場に置くのが「普通」だったんです。
こうやって価値観がぶつかるたび、“絶対的な正しさ”は存在しないから、一緒に暮らしていく中でお互いの許容範囲を探っていくのが大事なんだって思うようになりました。シェアハウスを通して成長したな、と度々思います。
ーーシェアハウス歴が長いみっちーさんから、他人と一緒に暮らす上でのアドバイスがあれば、お願いします。
それぞれ、気を遣わない関係になれたらいいと思います。自分らしく過ごせなかったら居心地悪いし、ストレスも溜まるばかり。ちょっとずつでいいから、自分をさらけ出して、お互いの強みや弱みを認め合えたらいいですね。「共生」が身につけられたら、人生がもっと楽しくなるので。
ーーカミキタハウスは将来こんなシェアハウスになったらいいな、など理想はありますか?
アメリカのミネルバ大学が理想です。そこは、半年に一回キャンパスが移動する全寮制の大学で、アメリカから始まって韓国やイギリスなど全7都市を回るんです。『ユニネスト』はイギリスの会社なので、この仕組みを適用できそうだなって思うんですよね。例えば、日本で半年間暮らした後そのままイギリスの寮に移動する、とか(笑)国に対しての理解や学びが深まると思います。
旅とは、現在の自分を映すもの
ーー旅の話に戻ります。みっちーさんにとって旅とは?
旅とは、「今」の自分を表す手段の一つです。学生の時はバックパッカー。社会人初期の頃は刺激のある旅。そして今は、ウェルビーイングやサステナブルがテーマの旅が好きです。年代が上がるにつれて趣味趣向が変わるように、旅の目的も変わってきました。なので、旅に求めるものは、その時の自分に足りないものなんじゃないかな。
あと、旅をする上で忘れたくないのは、旅はあくまでも非日常の空間であるということ。日常を良くするための手段が非日常だと思うので、旅で経験したことや学んだことは「楽しかった」で終わりにせず、日常に転用していきたいと思っています。
ーーそんなみっちーさんが今までで一番印象に残っている旅は何ですか?
スペイン語の留学として1ヶ月半滞在した、グアテマラでの経験です。自分はおじいちゃん、おばあちゃん含む3世代の家に住んでいました。そこで印象的だったのは、家族の仲のよさです。おじいちゃんとおばあちゃんが毎週末手を繋いで教会に行く姿や家族みんなで団欒する姿を見て、自分も帰国したら親孝行をしようと決心しました。ですが実際は、今でも行動できてないんです。他の旅で得た学びは、日常に転用できていると思いますが、親孝行だけはまだ実行できてない。だからこそ、自分の中で印象に残っているんだと思います。
グアテマラでの経験は、いつか回収したい“伏線”ですね(笑)
【取材後記】
「毎日楽しそうにしてる人」。これまでのみっちーさんへの印象です。もちろん、その通りでした。ただ、今回取材を通して知れたのは、“楽しい”状態に行き着くまで相当な決断をしてきたということ。いい高校、いい大学、いい会社といったエリートコースを外れ、世界一周を決行。そして帰国後は新卒の平均以下の給料で週7日間労働。もし自分がみっちーさんだったら、自分の選択を恨んでいたと思います。それでも「一度も後悔したことがない」と言い切っていたみっちーさんはとてもかっこよかったし、自分の人生に誇りと責任を持っているように見えました。
「旅」「イベント」「バーニングマン」「シェアハウス」「ウェルビーイング」「POOLO」、、みっちーさんの話はどれも面白くて深くてアツかったです。
正直、こうして一つの記事にまとめるのが大変でした。残念ながら記事には書けなかったけど、個人的に衝撃を受けたのは、前職はスーツを着た商社マンだったということ。日頃短パンにビーサンで歩いているみっちーさんからは全く想像できないので、いつか見てみたいです(笑)
取材:きどみ、コージー
執筆、編集:きどみ
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