「人と同じことをするのは怖い」。奮闘の先で出会った筋トレで、人生を変えたKinTech株式会社CEOひびき
みなさんこんにちは!KAMIKITA HOUSE住人のきどみです。
好評連載中のKAMIKITA HOUSE住人インタビューシリーズ。
21回目のゲストは、KAMIKITA HOUSEのOBであるKinTech(キンテック)株式会社の代表取締役・ひびきさん。KinTech株式会社立ち上げまでの奮闘や、幼少期のこと、今後の夢について伺いました。
ひびき
石川県金沢市出身。2017年にビジネスマッチングアプリarasujiを運営するArasuji株式会社を創業。2019年5月に筋肉事業を展開するKinTech株式会社に改め代表取締役社長に就任。趣味はシーシャ、サウナ、散歩。
「強くならなきゃ」と始めた筋トレが、いつの間にかビジネスに
ーーKinTech株式会社では、どんなサービスを展開していますか?
「日本の筋肉をアップデートする」というミッションを掲げて、筋肉にまつわるサービスを展開しています。具体的には、飲食事業(鶏あえずタンパク)、不動産事業(ジム不動産)、渋谷にあるセミパーソナルジム運営の3つです。
ーー筋肉を中心とした事業を手掛けようと思ったきっかけはありますか?
KinTech株式会社を立ち上げる前の2017年に、ビジネスマッチングアプリarasujiを運営するArasuji株式会社を先輩と創業しました。しかしその事業は上手く行かず…。精神的にものすごく病みました。
しばらく落ち込んでいたんですけど、ある時「このままじゃダメだ。人間的に強くならなきゃ」と思い、ジムに通うようになったんです。
ジムで筋トレを続けるうちに、ジムに通う習慣が身につき、体が鍛えられました。その結果生活習慣が変わり、見た目に自信を持てるようになったので人生が少しずつ変わったんです。自分を変えた筋トレをもっと広めたい、と思ったのがきっかけのひとつです。
ーー今のひびきさんからは、病んでいた時期があったなんて想像できません。
当時は相当病んで、ハバネロくんばっかり食べていましたね。ずっと引きこもっていましたが、1週間分のハバネロくんを補充するためコンビニには通っていました(笑)。
ビジネスマッチングアプリの事業はやめても、他にデザインの仕事を継続して受注できていたので収入には困りませんでした。ですがその仕事は自分がやりたい仕事ではなかったので、「これがやりたかったんだっけ」とずっと悩んでいましたね。そんな時にジムに通い始め、筋トレに出会いました。
▲筋トレ開始後、半年で「ぽっちゃり」から「ちょいマッチョ」になったひびき
ーー自分が変わったきっかけの筋肉でビジネスを始めようと。
最初は、今のように本格的に事業を展開するとは思っていませんでした。
ジムに通ってどれだけ痩せたかの情報と、友人限定でパーソナルトレーニングを行うよ、と(下記の)noteに記載したところ思いのほか反響があり、10人から声をかけてもらったんです。その時から、パーソナルトレーニングはビジネスとしてやっていけるのでは?と感じ始めました。
ーー社名の『KinTech』は、何を意味していますか?
Kinは筋肉、Techはテクノロジーで、筋肉×テクノロジーを意味します。
ジムに通うようになって感じたのが、筋肉業界のIT化の遅れです。お客さんのカルテなどを全て紙で管理していたのが気になりました。
これまでITの領域で様々なサービスを展開してきたので、自分がこの業界に貢献できることは色々あるのではないかと思い、KinTech株式会社を立ち上げました。筋肉領域にテクノロジーを導入していくことで、日本の筋肉のアップデートを目指しています。
ーーひびきさんにとって、筋トレとは何でしょう?
日本国民全員に始めてもらいたい習慣だと思っています。
ジムに行くまでは正直面倒くさいです。「キツそうだな」と感じる人もいるでしょう。ですが、筋トレをして後悔したことは一度もありません。気分がリフレッシュできるので、何かで悩んでいる時にもおすすめです。これまで何人かに正しい筋トレの方法を教えましたが、みんな満足していました。結果が出るまでには時間がかかりますが、乗り越えた先には理想の体があります。
▲筋トレ中に、鏡で筋肉をチェックするひびき
自分の発想に「やろうよ」と乗ってくれるのが喜びに
ーーひびきさんはArasuji株式会社やKinTech株式会社など、さまざまなビジネスを立ち上げています。そもそも、自分でビジネスを立ち上げようと思った原体験はありますか?
大学時代にインターンとして働いていたランサーズ株式会社(クラウドソーシングのサービスLancersの運営を行う企業)での経験が大きいです。今は上場して人数も増えて大きな会社になりましたが、当時はまだ50人くらいの規模で、自分はウェブディレクターの仕事をしていました。
働いていて驚いたのが、社員の熱量の大きさです。みんな、働かされているのではなく、Lancersをもっといいサービスにするんだと熱意を持って主体的に働いていました。
その姿を見ていて、自分もLancersのようにユーザーから感謝されたり、熱狂して使ってもらえるようなサービスを生み出したいと思ったんです。
ーーその時からなんですね。
Arasuji株式会社を立ち上げる前にも、会社員として働きながらよく面白いアイディアを考えていました。何か発想をすると、「やろうよ」と集まってくれる人たちがいたので楽しかったです。作ったら使ってくれるユーザーがいるというのもいいですね。
▲キャンプ中でも、朝から新サービスのデザインを作るひびき(左)
教師になるのをやめて、より広い世界で戦おうと決心した大学時代
ーー大学生の頃にもビジネスを立ち上げた経験はありますか?
実は、大学に通うまではずっと教師になるのが夢でした。なので、インターンとして企業で働く前の自分はビジネスを立ち上げるなんて考えていませんでしたね。
ーー最初は教師を目指していたんですね!
幼稚園をはじめ、小学校や中学校で、たくさんの素敵な先生に出会ってきました。先生ってすごいな、かっこいいなと中学生の頃から漠然と思い始め、気が付けば自分の夢になりました。結局、教師にはならなかったのですが。
ーー何がきっかけで教師になるのをやめたのでしょうか。
学生時代にインターンとしてベンチャー企業でフルタイムで働き、社会の広さを知った経験が大きいですね。
実は、大学時代は受験に失敗して夜間の学校に通っていました。当時の第一志望校は早稲田大学だったので、仮面浪人してでも早稲田大学に入ろうと必死だった記憶があります。
ある日授業を覗くと、教授の講義をロクに聞かずスマホの操作やおしゃべりをしている生徒ばかり。その光景に失望し、「必死に勉強してここに入学するのではなく、別の方法でここの生徒たちに勝ちたい」と思うようになりました(笑)。
「昼に大学に通っている大学生ができないことをやろう」と考た結果、フルタイムで企業で働くことを思いつきます。最初は、契約社員で人材系のサービスを展開している会社に入社。テレアポを1日に160件行うなどガツガツ働いていました。その結果、インターン生の中で1位を獲得したこともあります。
さまざまな企業で働いていると、どんどん世界が広がっていきました。一方で教員になると、学校という限られた世界で生きていくことになります。教育実習を経て、自分には教員の世界は合わないのではないかと感じたため、教師になるのをやめました。
▲近くで夏祭りが行われている中、残業することになり
悔しむ教育実習生のひびき
次の夢は、目の前の人に感謝されるようなあたたかい場づくり
ーーいくつもビジネスを展開しているひびきさんは、発想力に長けていると感じます。幼少期は、どんな子どもでしたか?
好奇心旺盛な子どもだった記憶があります。原理や仕組みを知るのが好きだったので、「これはどういう意味だろう」と積極的に調べていました。
それと、昔から人と同じことを嫌がる子どもでしたね。同じことをしても、同じ景色しか見えないから楽しくないじゃんって。人と違うことをすると、自分にしか見えない景色が見えるようになります。小学生の時に流行ったカードゲームは、なぜか「みんなに染まってはいけない」と感じて手を出しませんでした(笑)
ーー「人と同じことを嫌がる」性格になったきっかけはありますか?
母の教育方針の影響だと思います。幼い頃からやりたいと感じたことは何でも挑戦させてくれる環境でした。ただ、その際に「なぜやりたいのか」毎回理由を聞かれた記憶があります。
幼稚園の頃、みんなゲームボーイで遊んでいて、羨ましくなって母に「買って」と頼んだ時がありました。その理由を「みんながやっているから」と伝えると、却下されてしまいます。なぜ自分はゲームボーイが欲しいのかをずっと考え、「ゲームでみんなに勝って日本一になりたいから」と伝えると、「一生懸命やりなさい」と買ってくれました(笑)。
この頃から「みんながやっているから」ではなく「なぜ自分がやりたいのか」を考えなきゃダメなんだ、と感じ始め、物事を論理的に考えるようになったんだと思います。
▲中学の卒業式にて。お母さんと仲良く並ぶひびき
ーー今後の夢や目標はありますか?
最近感じているのが、場づくりが好きだということです。これまではIT業界でインターネットのサービスを通して色んな人に感動を与えたり、インパクトを残したいという想いで事業を展開してきました。
ただ、最近はインターネット上のアプリのレビューよりも、ご飯を作って目の前で「美味しい」と言ってもらえる方が手触り感があって嬉しく感じます。
Facebookのように30億人もユーザーがいるプラットフォームもいいですが、今は20人くらいのファンから愛される、居心地がいい場所を作るのが目標です。アイディアもあるので、とてもワクワクしています。
【取材後記】
無職でカミキタハウスにやってきた自分に一番最初に仕事を任せてくれたのはひびきさんだった。「とりあえず、やってみよっか」と、不動産事業を手伝うことになる。これまで自分は経営者の隣で仕事をする経験なんてなかったから、並んでコワーキングスペースで作業する時間は刺激的だった。「これは〇〇だから、こう思う」と真面目な経営の話をしてくれる時もあれば、「卓球やろう」と一緒に遊んでくれた時もある。「〇〇だと思うんだけど、きどみんはどう思う?」とペーペーな自分に相談してくれた時は、心底嬉しかった。一緒に仕事をしていくうちに、経営者としてはもちろん、ひびきさんの人柄にも惹かれていったのだった。
取材をするにあたって一番聞きたかったのは、なぜアイディアがポンポン浮かんでくるのか。一緒に働いていた時に悩みを相談すると「これはどう?」と即座にいくつか提案してくれたのが印象的で、ずっと気になっていた。インタビュー中に「幼い頃から好奇心旺盛で、周りと同じことをするのが嫌だった」と言っていたので、納得した。昔から調べて、考えて、実行していく習慣があったのだろう。今もその習慣は消えず、楽しみながら新しいサービスを考えているのだった。いつか自分もひびきさんと一緒にサービスを提供してみたい、という密かな夢をここに書いてみる。
取材:きどみ、コージー
執筆、編集:きどみ
写真:本人提供
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