母親との距離感
今でこそ毎日のように顔を合わせ、それなりに仲の良い母親だが、やっぱり子供の頃は距離があったように感じる。
いや、こちらが距離を置いてたのかもしれない。
なかなか思春期な中学生の時、母親とスーパーに買い物に行く事があった。
完全に荷物持ち、付き合い、暇だったから位で一緒に行ったんだと思う。
晩御飯の買い出しの夕方まえ、何を見るでもなく母ちゃんの後を付いて行き、母ちゃんは買う物を自分の持っているカゴに入れていく。
特別な会話はなく、母ちゃんは「あー、どうしよう」「んー、高い」なんて独り言を言っていた。
中学生が付き合いで買い物に来ていると、さすがに「かーちゃんこれ買って!」みたいな子供っぽいことを言うこともなく、ただ無言で無愛想に母ちゃんの後をカゴを持って付いて行った。
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あ、プチダノン♪とかを横目に見て、母ちゃんの後を付いて行こうとした時、母ちゃんが何かを手に取って見ていた。
それは先日このスーパーで買い、食卓に出して大不評だった「冷凍餃子」だった。
手に取って考え込んでいる素振りだったので、あー、先日の不評を忘れてまた買おうかと悩んでるのかと思った自分は、思いっきりガラを悪くし、ガッ!!と母ちゃんの肩を掴み、
「おばちゃん忘れたん?!それマズいで!!」
ドヤ顔で母ちゃんの顔を見たら、、、怯えていた、そりゃそうだ、
そこには知らないおばさんがいた
自分が少し目を離している間に、母ちゃんと距離が出来ているのに気づかず、背格好の似た知らない人に絡んでいた。
知らないおばさんの肩から静々と手を離し、おばさんは冷凍餃子から静々と手を離し、
「間違えました!人違いです!!」
と言うのが精一杯でその場を離れた。
足早に母ちゃんを見つけて、何事もなかったかのように買い物を続けたが、狭いスーパーで何度かあのおばさんと顔を合わせて気まずい思いをした。
おばさんのかごに、冷凍餃子は入っていなかった。
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