210911 岡山×栃木戦雑感

みなさん、こんにちは。

11日に行われた栃木戦は、残念ながら0-1での敗戦となってしまいました。
第30節の当日となってしまいましたが、前節について振り返ります。
今回も試合を見直して気づいたことを書いてみました。

■有馬監督のコメントへの違和感
「この人、何を言ってるんだろう。」
それが試合後の有馬監督のインタビューを聞いた時の率直な感想でした。
有馬監督の最初のコメントの後、インタビュアーとして定評のある加戸英佳さんが、珍しく戸惑った様子で次の質問に移っていたのが印象的で。
加戸さんの戸惑いとうにがしらの違和感が一致していたかは定かではありませんが…
戸惑いのもとは、おそらくは次のコメントだったのではないでしょうか。

「勇気を持たないといけない。」

今、ここで精神論なのかー
うにがしらは、特にこの言葉に違和感を覚えたのでした。

■敗れはしたが、悪い展開ではなかったと思う
DAZNのスタッツを振り返ると、ボール支配率は65%、シュートは7本と少なかったものの5本が枠内。
栃木はシュート8本で枠内2本だったので、全体的には優勢に進められていた試合でしょう。
この試合で見られたことで、特に良かったことは「相手PA内に侵入してボールを送り込むシーンがいつもより多く作れた」ことだったと思います。
10分ごろの変化をつけたFKから上門選手が収めかけたシーンをはじめ
・34分ごろの木村選手のクロスに合わせたヘディング
・38分ごろの安部選手のフィードから喜山選手がPAに侵入
・前半ロスタイムの白井選手のPAへの侵入
・70分ごろの宮崎選手のスローインから5人つないで上門選手がPAでボールを受ける
といったシーンを作れていました。
高い集中力を保って、フィジカルの強い栃木の選手を相手に、自陣のPA内では放り込まれるクロスを跳ね返し続け、一方で攻撃では相手の危険な場所に入り込んでいく。
それができかけていた展開が多かったと思います。

また、例えば木村選手はドリブルでうまくボールをキープしていましたし、河野選手も積極的なドリブルで相手陣内に切り込むプレーが見られるなど、個々人の積極性も見られました。

■やはり「あと一本」が欲しい
ただし試合全体の印象としては、ボール支配率の数字ほど、栃木に脅威を与えられていなかったとも思います。
その理由の一つは、本当に相手にとって危険な、相手が集中力が必要な場面でボールを収めきれなかったことでしょう。
先に上げたシーンを例にとれば、10分ごろの上門選手はシーンは、タッチよくシュートに行ければという場面でしたし、70分ごろに上門選手のPA侵入は、そのあとの白井選手、喜山選手が合わせられればといった展開でした。
試合を見直してみると、「そこで一本つながれば」、「そこで収めきれれば」相手の脅威になったーそんなシーンが、うにがしら目線では12回ほど。
この試合は、各種のインタビューなどから、ファジの選手は大胆にプレーしようとしていた様子がうかがえたのですが、結果的に「勝負をかけようとした場面でタッチや立ち位置ががずれる」という形になっていたと思います。
チーム状況としては、堅実な守備組織を築きつつ、さあ攻撃を組み立てよう…という段階だと思いますが、やはり一朝一夕の話ではないということ
なのでしょう。

■そしてゴールをこじ開けたのは「1回の変化」だった
今シーズンの栃木は、フィジカルの強い選手を活かし、ゴール前での競り合いで活路を見出すスタイル。
この試合でも、それは変わらず、サイドからのクロス、CKからのセットプレーでファジにプレッシャーを与え続けることに加え、スキルのあるサイドプレイヤーがサイドでパスを細かくつないでゴール前に侵入しようとしていました。
枠内シュート数の数からしても、そこまでピンチもなく、全体的に攻撃を跳ね返すことができていました、が…この試合ではそれが結果的に悪い方向に作用したかもしれません。

ゴールシーンは、右サイドの栃木のスローインからで、ゴール方向ではなく後方に向けてスタート。そこから左サイドに大きく展開されてしまい、森選手からの斜め後ろからのクロスを柳選手に合わせられてしまいました。
ゴール前での肉弾戦と、ロングスローを含めたサイドからの放り込みへの対処が上手く行っており、結果として「ゴール前を固めなければ」というのがチーム全体の共通認識になったのでしょう。違う角度で強みを発揮できるパターンを、ここぞで展開されてしまいました。

自分たちのスタイルを相手に刷り込ませて、1回の仕掛けで出し抜く。

田坂監督のインタビューは自信に満ちていて「会心の勝利」と。
当日は実に腹立たしかったですが、あらためて振り返ると、その通りの展開だったと思います。おめでとうございます。

ファジとしては、結果的に柔軟性やフレキシビリティといった点に課題があることを見せつけられる試合になりました。
見方によっては、よりスタイルの完成度が上回った栃木が試合を制した試合と言えるのかもしれません。

■あらためて有馬監督が言う「勇気」とは、そしてこのチームが大事にしたい順序とは?
この試合を見直してみると、「前線が裏に抜け出そうとしている時にパスが出せていない」シーンがところどころ見られます。
試合直後に違和感があった有馬監督の「勇気を持たないといけない」というコメントは、一つはこの点を指していたと思われます。
うにがしらは、前節の愛媛戦ではボールを運べており、今節ではPAに侵入することはできていたという評価をしたものの、攻撃のテンポの変化(これはおそらく相手を揺さぶることにつながる)は、そこまで感じませんでした。
有馬監督としては、ピッチに近い目線で見ると、この点がより問題に感じられたのかもしれません。
先制されたことで想定した展開にならなかったようですが、石毛選手投入の目的は、パスを出すことにあったとインタビューでも語られており、「勇気」が決して精神論だけではないことが理解できます。

ただ、そう理解した上でもモヤっとするのは、「だったら栃木戦については、ヨンジェ選手の投入が先だったんじゃないの?」という点でしょうか。
また、パスにバリエーションを求めるのであれば、ボランチに石毛選手か疋田選手を起用したほうが良いのではないか…そんな素人考えも浮かびます。(推しの疋田選手をもっと見たいという欲求が多分に入っていますけど。)
ファジラボのインタビューを見ると、紅白戦で得点しているブレネー選手も、守備や切り替えなどがが要求水準に達してからメンバーに入れる方針の様子で、選手の能力・特徴によってチームのスタイル(ゲームモデルというやつでしょうか)を完成させることは避けている印象を受けます。
毎年、選手の入れ替えがどうしても発生することを考えると、選手の能力に依存してしまうことは確かにリスクがあり、長期的には、今の方針のほうが実りが大きいのかもしれません。
ただ、大きな変化は起こりにくいこと、そして残留圏が遠くない位置であることを考えると、サポーターには辛抱が求めれらるのだろうというのが正直な感想です。

■石毛選手、ヨンジェ選手おかえりなさい
そんな中で、とうとう2人が戻ってきました。
石毛選手のプレーをじっくり見るのは初めてでしたが、相手に間合いを詰められてもボールを配給できるところが出色ですね。
セットプレーのキッカーとしても期待できるので、チームにバリエーションをもたらしてくれそうです。
そしてヨンジェ選手。やはり馬力があります。先制されて難しい展開でしたが、複数人の栃木の屈強なCBを相手に一歩も引かず。
デューク選手が割と周りを使うタイプなので、シンプルにゴールを狙うヨンジェ選手とのコンビも見られそうで、こちらも楽しみです。
あまり印象に残っていないのですが、2019年のヨンジェ選手はFootball-Labのデータで、ドリブルポイントが実はチーム2位です。
フィジカルの状況と相談にはなると思いますが、ゴールにシンプルにドリブルで向かうFWもチームに求められているプレイヤーでしょう。
ヨンジェ選手には、この役割も期待したいです。

■終わりに
次節の磐田戦は、首位相手なので難しい試合になると思いますが、デューク選手、ヨンジェ選手、石毛選手を戦力に加えての戦いになると思います。
この3人が加わることで、チーム力がどこまで上がるのか?そして絶好調の磐田相手に、堅守が本当の堅守であることを証明できるか?
上位に強い傾向のあるファジアーノですが、今まで積み上げてきたものが試される試合にもなりそうです。

本日も楽しみです。(台風は大丈夫かのぅ…。)

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