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【Hubble】事業部門に寄り添った契約書管理サービスの提供で煩雑な契約業務を一掃!

▼はじめに

株式会社Hubbleは、法務と事業部門の協業性を高める契約業務・管理クラウドサービスを提供する企業です。2024年12月に総額7億円のシリーズBラウンド資金調達ファーストクローズを実施し、事業成長の加速を目指しています。
本記事では、同社の事業概要やその評価について解説していきます。



▼Hubbleの概要

株式会社Hubbleは「手触りのある課題をテクノロジーによって解決し、働く人の個性や創造力が発揮される未来の創出」というパーパスを掲げ2人のCo-funderにより2016年に創業した企業です。
法務と事業部門の協業性を高める契約業務・管理クラウドサービス「Hubble(ハブル)」、契約書を入れるだけでAIが網羅的な契約データベースを構築する契約書管理クラウドサービス「Hubble mini(ハブル ミニ)」など、契約書の作成・審査依頼から管理までの各プロセスを効率化するサービスを提供しています。

創業者名: CEO早川 晋平、CTO藤井 克也
本拠地住所: 東京都渋谷区恵比寿西2丁目7-3いちご恵比寿西ビル5階
社員数: 42名 ※2024年5月時点
創業年月日: 2016年4月
最新の資金調達日: 2024年12月
最新の資金調達のシリーズ: シリーズB
会社URL: 株式会社Hubble

https://hubble-docs.com/about

■創業メンバー
Hubble社が展開しているリーガルテックと言われる事業領域では創業者が弁護士など法曹関係者であることが多いのですが、同社の創業メンバーは法曹業界出身ではありません
CEOの早川氏は大学卒業後会計事務所に就職、CTOの藤井氏は研究職に従事したのちITコンサルタント会社を創業、上場企業やスタートアップへの技術アドバイスなどを行っていた中、早川氏と出会い共同事業がスタート。
「ITを活かして、困っている人を助けたい」という志から事業アイデアを検討していく中、当時同社の顧問弁護士であった酒井氏との出会いをきっかけに法務業界への可能性を感じたとのこと。

引用:https://hubble-docs.com/features  左から藤井氏、早川氏、酒井氏

契約書が基本的にWordでやり取りするものであるということに対して、エンジニアは皆、不可解だと感じていると思います(笑)<中略>そこで、プロトタイプとして契約書に特化したオンライン編集ツールを作成しました。
当時、Hubbleの顧問弁護士だった酒井にオフィスに来てもらい、この編集ツールの可能性を聞いたところ、はっきりと「絶対に使わない。」と言われました(笑)<中略>
エンジニアの業務では、ソースコードの管理は基本的にGithubというサービスを使うため、普段ダウンロードは行いません。この思想をWordでの契約書作成に応用すれば、便利にファイル管理ができるようになるのではないか?と考え、再度プロトタイプ作成に没頭しました。

https://note.hubble-docs.com/n/n84b6ca164f8b

エンジニアにとってのGithubのような管理を契約書に応用できないか?
このインサイトがHubbleというサービス名に込められているのかもしれません。

■資金調達の状況
2024年12月にJICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社をリード投資家とし、DNX Ventures、Archetype Venturesを引受先とした第三者割当増資により、総額7億円のシリーズBラウンド資金調達ファーストクローズを実施しています。

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000236.000027155.html

資金の使用使途をまとめると以下のとおりです

  • 生成AI等の新技術への投資

  • リーガル領域に留まらない新たなプロダクト開発推進

  • 採用の強化

リーガルテック事業領域に縛られることなく、働く人の個性や創造力が発揮される未来を創出していくテックカンパニーを目指していることがうかがえます


▼リーガルテック市場について

Hubble社の事業を深堀りする前に、日本におけるリーガルテック市場について解説していきます。
テクノロジーの進化やリモートワーク推進といった流れの中、リーガルテックサービスが日本市場においても多数生まれています。
XENOBRAIN社によると国内リーガルテック市場規模は現在518億円、今後5年間で32%強成長すると予測されています。

リーガルテックが対象とする顧客は企業で契約締結を行う法務部門となりますが、顧客の課題は多岐にわたっており、数多くのプレーヤーが存在しています。

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000456.000044347.html

▼Hubbleの事業概要、特長

Hubble社では現在3つのサービス(Hubble、Hubble mini、oneNDA)を展開していますが、契約書管理クラウドサービスHubbleの事業概要、特長を解説します

前述のとおり、企業での契約締結プロセスにおいて顧客の課題は多岐にわたっていますが、Hubbleは契約の発生から解約・終了までのプロセスを効率的に管理するサービス(CLM)です

筆者作

Hubbleの特長として、法務担当者から事業部門まで誰もが使いこなせるサービスを目指していることがあげられます。
様々なコミュニケーションツールとの連携を可能とすることで、これまで使ってきたツールを変更することなく、事業部門と法務担当者のコミュニケーションを円滑にすることで契約業務の工数削減、スムーズなプロセス管理という価値を提供しています。

引用:https://hubble-docs.com/features

Hubbleは、事業部門に寄り添い、彼らが契約内容を正確に理解し、適切に管理できる環境を提供します。複雑で煩雑な契約業務を一掃し、事業部門が自律的に契約業務を回せる未来を実現する。それがHubbleの目指す世界です。

https://note.com/peishin/n/na804f081ef60

競合となるサービスの多くが法務部門の業務課題解決に焦点を当てているのに対し、関係者間のコミュニケーション課題解決に注力している特徴があります。
前述のとおりHubble社の創業者が法律の専門家ではないことが、法務部門の課題解決だけではなく事業部門に寄り添うという、プロダクト世界観に繋がっているのかもしれません。

▼事業評価

PEST分析
リーガルテック市場のPESTで分析すると、新たな法規制の推進や効率化、デジタル化ニーズ、AIやクラウド技術の進化など、いずれの観点からも市場成長のポテンシャルが考えられます。

一方で、国や地域ごとのデータ保護規制が異なること、AIによる法律判断やアドバイスが弁護士法に抵触する可能性が議論されていること、様々なプレイヤーが参入することによる競争の激化、などの課題も存在します。

筆者作成

■競合分析
国内で類似のサービスを展開しているサービスと比較をしていきます。
Hubbleと同様のサービスを展開しているサービスは現在数多く存在しています。いずれのサービスも企業の契約締結プロセスの課題を解決するためのソリューション:ワークフロー、履歴管理、保管、AI契約レビュー、自動台帳作成機能などを提供していますが、どこに力を入れているかがサービスによって異なるようです。

HubbleやContractSCLMはCLM、LegalforceやOLGAはAI契約レビュー、OPTiMは台帳作成など書類管理と、各々特定のプロセスの課題解決からスタートし、事業の成長にあわせて機能を拡大しているようです。

筆者作成

Hubbleの特長は連携できるコミュニケーションツールが豊富にあることにあります。独自のフォームの他、Gmail、Slack、Teamsなど、企業で既に多く使われているコミュニケーションツールをそのまま利用できることが明記されており、関係者間のコミュニケーション課題解決に注力するというビジョンが機能にも反映されています。
Legalforce、OLGAなどがAI契約レビュー機能に力をいれているのに対してHubbleは独自のサービスとしてはAI契約レビュー機能を自社で開発しておらず、他社と連携することで実現しています。

Hubbleは直近での調達の使用用途として生成AI等の新技術への投資をあげており、今後AI契約レビュー機能についても積極的に提供していく可能性もある一方で、リーガル領域に留まらない新たなプロダクト開発推進の可能性にもふれており、今後の展開が注目されます。

■事業評価
5つの評価軸で事業を評価します

筆者作成
  • 現在の市場規模:4点(500億~1000億円):推定518億円

  • 今後3~5年の市場成長の見立て:3点(CAGR25%以上39%以下):推定32%

  • 変化する外部環境との親和性(テクノロジー以外):4点(外部環境変化と親和性高い)
    業務効率化ニーズや働き方の変化、規制動向など法務領域の拡大と高い親和性を持つため、高評価

  • 支配的なプレーヤーの存在感の低さ:5点(支配プレーヤーなし)
    リーガルテック市場領域では、多数の企業が競争しており支配的プレーヤーは存在しない

  • 現状の顧客が活用している代替案の未充足度:4点(代替案が未充足)
    既存のツールでは満たされないニーズが多く、未充足度は高い

総合評価は80点(100点換算)となりました


▼今後の課題

今後の課題として以下の点が考えられます

  • 市場の教育と啓蒙: 法務分野は伝統的な業務プロセスが根強く、新しいクラウドサービスの導入には市場の教育と啓蒙が必要です。中小企業まで利用が広がるかどうかは現時点では不透明です。

  • 競合他社との差別化: リーガルテック市場は競争が激化しており、マルチプロダクト化やプロダクト間連携が進む可能性があります。独自の価値提案と技術革新を通じて差別化を図る必要があります。

  • 組織のスケーリング: 急速な成長に伴い、組織の拡大とともに企業文化の維持や人材育成が求められます。技術の進展も早いため、エンジニアの確保も課題と考えられます。


▼まとめ

Hubble社は成長するリーガルテック市場、特にCLM領域で身近な人の手触りのある課題(=共感できる課題)を、テクノロジーによって解決するというパーパスに基づいて、事業部門に寄り添うプロダクト開発を行っています。
導入後も顧客課題に寄り添ったサポートを行い、継続率99%と高い継続率を維持しているとのこと。
シリーズB調達を行い、今後はリーガルテックの枠に留まらないプロダクトの進化も期待されます。今後の戦略、動きに注目していきたいと思います。

ライター:中村 美由紀


▼主な引用サイト



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