ガソリンスタンドバイトから転職して"年収9倍"に!ほぼキャリアなしでも飛躍する方法とは?~株式会社Izul代表取締役・中田潤一 leさん~
株式会社Izul(イヅル)代表取締役・中田潤一さん。年間600人の相談を口コミのみで紹介するキャリア支援をされていて、お父様が元力士でリクルート時代にはちゃんこ鍋接待でMVP受賞。Twitterでは「中田潤一@キャリアとチャンコ」というアカウント名で通称チャンコさんとして知られる面白い方です。
今回は、中田さんのキャリア支援を受けて転職、ガソリンスタンドバイトから自分らしい最適キャリアを作ることができたというKさん(お本人のご希望によりイニシャルで失礼します)と一緒に「自分のキャリアに悩む方へのヒント」についてお話を伺ってきました!
この記事を読むとこんなことが分かります!
・どうやってガソリンスタンドバイトから年収9倍に?
・自分が本当に望むキャリアをつくるために必要なこと
・目標を具現化するために必要な「重たい決断」って何?
・「信用」を手に入れた先に「お金」は入ってくる?
どれも気になることばかり……早速チェックしていきましょう!!
はるな
本日はよろしくお願いいたします! Kさんは中田さんのキャリア支援で現職に転職をされたのですよね?
Kさん
はい。もともとキャリアについて、きちんと考えないふわふわした生き方をしていて。特に仕事での目標はなくてガソリンスタンドで働きながら「ラクロス」に夢中になる毎日を送っていました。
はるな
スポーツのラクロスですか? 本格的にされていたのですか?
Kさん
そうですね。大学時代から本格的にラクロスを頑張っていたけれど、仕事での目標はそこまでない……という感じです。自分はラクロスのフィールドでは頑張っていたけれど、同級生は大学卒業後にゴールドサックスマンに入社して、仲間内からもエリートの連中も出てきて。集まってもキャリアの話には入れない……という格差がついてきましたね。
中田さん
その時に「このままでいいのかな」って僕に相談をしてくれたんですよね。Kくんの場合は、ラクロスしか頑張ってこなかったのですが(笑)いい意味で「大学時代にラクロスを本気で頑張っていた」という信用資産が存在していて。それをフル活用して完全に“ポテンシャル”で評価してくれる職場への就職を考えていきました。
はるな
具体的にどうやって支援をされたのですか?
中田さん
Kくんは「就職に困っています」ではなくて「やりたいことが分からない」でも「このままじゃダメだ」という悩みでした。結論を言うと大手広告会社への就職を進めました。まずはやりたい事を仕事にするではなく、本当にやりたい事が見つかった時にチャレンジできるキャリアにする「できる事を増やす」を意識していました。
はるな
大手広告会社の方は、それぞれ独立されてご自身で起業される方も多いですよね。基本ベースや道を作りやすいからなのですね。
中田さん
Kくんは本当にラクロスだけ頑張っていたから(笑)自分のスキルを伸ばして“使えるカード”を増やすことが必要だったので。環境に感化されて得られるものがあるからビジネススクールだと思って働きながら学べるよって言いました。(使えるカードについては以下のツイート参照☟)
はるな
とはいえ、大手広告会社は入社が難しいイメージですが……。(ガソリンスタンドの職歴だけで中途で転職できるものなの?!)
中田さん
色々種類があって「契約社員」ならポテンシャルの高さで採用してくれる可能性があるので、Kくんに合っているなと。
Kさん
ポテンシャルの高さだけは負けない自信があったので、まずは契約社員としてスキルを伸ばして基盤を作ることにしました!
面接では「前職では何をしていましたか?」「文字通りガソリンスタンドで油売っていました」みたいな返しをしながら(笑)。そこで「少しでも建設的にやっていましたか?」と問われて「追加で売り込みもしていました」と答えたら、それを実際にやってみましょうというロープレをする流れになって面接官が「レギュラー満タンで」みたいな……。
一同
wwwww(爆笑)
中田さん
Kくんは大学時代にガッツリとラクロスをやっていたという「頑張ったことがある信用資産」があるから入社できたと思う。これが「何も頑張ったことないですう~」ってタイプだとポテンシャルの高さがあっても内定はもらえないですよね。
はるな
結果、契約社員として入社したのですね!
Kさん
そうですね。最初の1年はガソリンスタンドからの入社でしたので、わからない事が多く、正直キツイ時期もありました。しかし馴れてくると、僕が入社した部署はキツくないところで。
サークルのノリで和気あいあいと仕事しても、それなりに結果がさせるようなところでして……。ゆるく楽しく仕事して、土日はラクロスができて……キラキラした生き方ができて、こういうのっていいなと思っていたのですが。ある時に『違和感』を覚えるようになってきたのです。
はるな
楽しく仕事できているのに、違和感ですか? どんなことがきっかけだったのですか?
Kさん
誤解を招きたくないので、あくまでも僕個人が感じたことなのですが……会社の看板と名刺を使って、クライアントさんをワイワイ囲い込んで、僕的にはチャラい感じで仕事していて「このままじゃ、だっせえ奴になっちゃうな」って感じたんです。
中田さん
新しい上司が来て、考え方が変わったって言っていたよね。
Kさん
その前の上司は絵に描いたキラキラ系。派手なチャラいタイプの働き方をされる部分があったのですが、新しい上司は見た目がものすごく地味で。ガチガチの体育会系。飲みに連れて行ってもらったときに「仕事ちゃんとやろうぜ」という話を延々としてくれて。そういう話をしているうちに価値観が変わってきました。
「チャラいとか、ありえん」「泥臭さこそがカッコいい」という真逆の働き方をされる方で。まずは「営業先に行くときはネクタイしようぜ」って言ってくれて(ノーネクタイ、ジャケット×パンツ、金髪もOKの部署だった)
会社の看板で営業取れることもあるけれど、それに甘えない人だった。当時は新規事業をやっていて、お前みたいに若いやつがノーネクタイで言っても話なんて認めてもらえないだろうという「地味だけど地に足をつけた生き方」をしていて、カッコいいなって思ったんです。
中田さん
Kくんはそこで、その価値観が芽生えたというよりも、もともとある価値観が刺激されたタイプ。ラクロスを本気でしていて体育会系だから、その上司の生き方に「自分が求めているのはコレだ!」ってなって、それまでのキラキラした仕事の仕方に「違和感」を覚えたわけですよね。
Kさん
サークルのノリでワイワイとチャラい仕事の仕方をしていたけれど、本来、僕は「無骨のわき役」が好きなタイプなんですよね。主人公よりもわき役として、地に足をつけて泥を塗りたいって思った。
そこでまた、中田さんに相談をしました。現職で地に足をつけて仕事をするか、もしくはもう辞めるしかないかなって……。
はるな
その違和感から「辞める」になるのですか?!
Kさん
現職では、もう泥を塗れないから、もっと地に足をつけられる職場に行くしかないなって。
中田さん
その話を聞いて「Kくんにはその生き方が合っている」と思ったけれど「その会社だからこそできる経験をまだしていない」と判断して「すぐに辞めないで、もう少し続けながら考えよう」と1年かけて相談を受けるようにしましたね。
はるな
それは、次の転職の際に継続力がないと不利になるからですか?
中田さん
転職うんぬんよりも、その会社だからこそできる経験が今後の人生に生かされると思った。僕が見た限り、Kくんは次にやりたいことがあるわけではなく「ただリセットボタンを押したかっただけ」だなと。それは危険すぎますよね。できる事を増やす就職をして、選択肢が増えたのも本人も感じているからこそ、こういう話出てきたんですよね。
はるな
リセットボタンですか。なかったことにする?
中田さん
そうそう。でもなかったことになんてならないんですよね。過去の経験から培われたものは消せない。分かりやすく言うと、何も頑張ったことがない社会人の方が、急に次の職場で頑張れるか?……正直、無理です。辞めるのは簡単だけど、その前にラクロスをやりきる力を仕事でやりきる力に変換してあげたかった。
Kさん
中田さんと話し合いながら、結局、約3年でスキルと経験を作ってから次に行こうという考えになりました。
はるな
その後、泥臭さを求めて転職した際に、やはり大手広告会社で得たカードというか信用資産は使えたわけですか?
Kさん
はい。中田さんの読み通り、経験で基盤を作れたので大手外資系医療機器メーカーの日本法人と、某大手不動産関連企業等の4社から内定をもらうことができました。
はるな
凄い! 選択肢のレベルが一気に高くなりましたね!
Kさん
そうですね……でも実は、そんなカッコいい話ではなくて。僕は最終的に大手広告会社に残ろうとしたんですよ(笑)。
そこが中田さんへの感謝度合いが一番高いところなのですが、最終的に色々と面接を受けて選択肢も増えて「後は大手広告会社に残るか、転職するなら4社のうちどこに行くか」という状態で。4社とも条件は良くて、考えているときに中田さんに相談をして「僕はもっと良い案件が出るまでとりあえず残ります」って話をしたんですよね。
はるな
そのとき、中田さんは何て言ったのですか?
Kさん
そのときに中田さんに言われた言葉が、僕の人生の中で重要でクリティカルなものとして今でも残っていて。
『転職しないのもありだよ。でもひとつ覚えておいて欲しいのは“決定と決断は違うからね”と“Kくんは人生の中でまだ一度も決断をしていない人間だ”ということはよく覚えておいて』
と言われたんですよね。は?それはどういう意味ですか?って聞いたら
『結局、Kくんは、何かを決めることはできても“何かを捨てること”はできないんだよ』
と中田さんに言われたんです。残る理由として「ラクロスをまだ続けたいし、転職はもう少し先延ばしにしよう」みたいな甘い考えもあったんですよね。だから、ラクロスをもう1年くらいやってから転職でもいいのかなっていう話をしたんですよね。
中田さん
懐かしいね(笑)。別に転職しても転職しなくてもどっちでもよかったんです。だけど、Kくんの中で残るなら残る決断をしてほしかった。
このまま、自分の中で決断しないでなんとなく残った時に、残ったがゆえに発生するリスクを自己責任にできなくなる。転職するにしても決断がない場合でも同様です。おいしい状態を全部得ようとすると、結局は全部取れないケースが多くて……だから自分の理想の姿を作るために未来に持っていくもの捨てていくものを決めて欲しかったんです。
Kさん
捨てることを一度もしてないし、今回それができるチャンスがあったけれど、それをしなかったという認識をして生きた方がいい。決断ができるかできないかは、人間として大きな差だからという話をしてくれて。
今26歳でしょ? 1回も何も捨ててなくて決断したことがないって痛いね。くらいのことは言われました。
はるな
結構、言いますね!(凄いなw)
Kさん
ラクロスって言っているけれど、それってKくんに何かもたらすの? 結局は小学生が買ってもらったおもちゃを手放せないのと一緒じゃないの? 頑張ってもプロ選手になれないし、それを捨てられないのは痛いよねという話で結構へこみましたね……。
その話をされた後に「ダサいな俺」っていう想いがずっと残って。中田さんがハッキリ言ってくれたおかげで「決断」をしようと思えた。
はるな
そういうことを言うのは、相手のことを想う姿勢と信頼関係がないと難しいですよね。中田さん凄いです……!
中田さん
そんな事ないです。ラクロスそのものを否定している訳ではないんです。でも、Kくんにとって、ラクロスは唯一の成功体験になってしまっていて、それにすがってしまっていると感じたんです。すがったまま未来に持っていくのはその後の成功体験を少なくしてしまうの感じていました。
はるな
そこまで考えて転職する方は少ないと思います。4社から内定をもらってどちらに進んだのですか?
中田さん
4社の内定のうち、転職するなら僕は外資系医療機器メーカーに行くのがいいかなって思っていたんですよね。そこまでハードじゃなくてバランスもいいしステップアップもできる。でもまさかのかなりキツイことで有名な「某大手不動産」という一番ヤバイ谷に入っていこうとしたのは、Kくんの凄いところだと思う(笑)。
Kさん
医療機器メーカーは将来性もあって伸びている会社ですが、不動産の方が、幅広く経済を知れる気がして自分には合っているなと。あとは、あえて自分にとって一番重いものを選びに行ったのもあります。
はるな
え?! あえて重い方を選んだのですか?
Kさん
その会社はかなりキツイことで有名で、当時は自殺者も多いという話で。でも決断できない自分にはこれくらい重たい方がいいと思った。それくらいじゃないと、今までの生き方を巻き返せないなって。
はるな
それはまさに本当の意味での「決断」ですよね。(どんだけストイック……)
Kさん
変な話、ツライ環境で自分を伸ばしてもらおうという。簡単に言うと「逃げ道」をなくしたわけです。頑張ればできる、ではなくて「頑張らないとヤバイ」という状況で泥臭く生きたかった。
中田さん
正直、僕も「やりすぎだな」と思いましたよ。別に僕は「転職しろ」と言ったわけではなく「自分で決断しろ」という話しかしてなくて。現職に残るのも自分でそれを決断すればアリです。残るにしても「なんとなくいい案件があればいいや」じゃダメだよって。
Kさん
じゃあ残ります、って言ったときに中田さんは「なぜ?」「理由は?」って聞いてくれて「ラクロスが」とか「土日休みが」っていう僕の本音が出たときに、さっきの話に戻りますが『じゃあお前は、何も捨てられないやつなんだな』って(笑)
はるな
いい意味でもの凄く厳しい(笑)。結果、大好きなラクロスは捨ててしまったということですよね。それは重たい決断ですね。中田さんがおっしゃる“決定と決断は違う”についてもう少し詳しくお話を聞きたいです。
中田さん
決断するうえでは「圧倒的な危機感」が必要だと思うのです。重い決断ができないと、人は目標を具現化できないものです。何かを達成したいときに、今までやってきたその決断に関係ないものは捨てないとできない可能性があります。
前にもお話したことがありますが、圧倒的な危機感を持って、何かを捨てずに重たい決断をして目標を達成するほど器用な人は少ないです。僕は凡人なので、わかるのですが天才・秀才と違うから難しいんです。
(前回の中田さんインタビュー『目標を夢にしないで"確実に具現化"するために必要なこと』とは?)
複数のタスクをこなしながら両方ともイノベーションを起こすくらいの成果を残せる……正直、そんなに器用な人間は滅多にいません。だから捨てる勇気と重たい決断ができるかできないかは、人間として大きな差だと思います。
はるな
決断をせずに成果を出そうとしても、実際「できない人」が多いですか?
中田さん
できないですね。転職者何百人って見ていますが、本当に思います。重たい決断ナシで目標を達成することは、できないです。
はるな
Kさんはそれができた、凄いですよね!
Kさん
そうですね……。恋愛もスポーツも仕事も、って冷静に考えたときに今の会社(不動産関連)が一番続いているんですよね。それは「ラクロスを捨てる」という決断ができたからだと思う。
本当に色々ハードでヤバイ会社なので3年で辞めようと入社したのですが、限定の修行だと思っていたのですが給与面が良いのと、ある程度、結果が出せたことで30歳になっても「辞めたくない」と思うようになった。
はるな
重たい決断で転職をして、結果は良かったですか?
Kさん
めちゃくちゃ良かったですね。僕は周りにも転職はオススメしていますが、何が良いかというとやっぱり「決断」です。僕は転職によって、人生が好転したので。それは会社が良かったとかではなくて、その前にした「決断」というフェーズで全て完結したと思っています。収入もガソリンスタンド勤務から9倍以上増えました(笑)
はるな
9倍は凄い! 決断が完結、ですか?(どういうこと?)
Kさん
はい。重たい決断をした時点で逃げ道をなくして、その時点スタートですがある意味その道しかないから「完結」していたんです。あとはやるしかない。だから転職もそうだけど「自分で重たい決断する」をオススメしたいなと思います。
はるな
Kさんご自身はどう変わりましたか?
中田さん
粘り強さは絶対に出たよね! 転職した3ヵ月後にKくんに会ったときは、かなりグロッキーだった。以前のKくんなら、あの時に会社辞めていたよね。
はるな
そうか……決断をすると、やっぱり「逃げ道」がなくなるわけですね。決断をした時点である意味、完結しているという意味が理解できました。スタートだけど「もうその道しかない」という。一番大切なラクロスを捨ててでも、決断したわけですもんね。覚悟が違う!
今まで積み上げてきたものを捨てるって、その時間をナシにするというか「否定」することにもなるのかなと……失うものへの恐怖感みたいなものって結構あると思うのですが……。
中田さん
恐怖感はあると思います。でも積み上げたものが未来を狭めてしまう可能性ってあって。体育会の部活で頑張ってきた人の中には社会でイマイチ活躍できない人理由として、現役選手時代の輝かしい成功体験にすがってしまうというのがあって、社会で何をやっても頑張る気がしない。こういう経験は阻害してしまうので未来に持って行かない。そのために捨てる。
はるな
覚悟をして捨てる選択が、その後のキャリアにそこまで大きな影響を与えると思いませんでした。
自分が本当に望んでいるキャリアをつくるために必要なことは?
はるな
やっぱり誰かに相談しないと、自分が本当に望むキャリアをつくるのは難しいですか?
中田さん
そうですね、これは難しい問題ですが。基本は第三者を入れた方がいいですね。ただ、この第三者の選び方はものすごく難しいです。
Kさん
僕、実はあえて中田さんに頼まないで、隠密に転職活動をしたことがあったんですよ。中田さんみたいにガチッと内面に踏み込んでくれるキャリア相談ではなくて。簡単な御用聞きみたいに単純に選択肢があるかどうか、情報だけ欲しいので、あえて別のエージェントを使ってみたのですが。
あなた結局、何がしたいのですか? とグイグイ来る感じの中田さんと違い、別なエージェントはそういうことはしなかった。ただただ選択肢をバンバン出してくれて、ラクな状態で「何がしたい」とかには触れられない。ヒアリングみたいなものが一切なかったんですよね。
はるな
普通はそういうイメージですよね。経歴に合う選択肢を出されて「どうしますか? 行きますか?」みたいな。
Kさん
はい。それって余計なことしなくてラクだなと思ったのですが……。
中田さん
へえ……。(苦笑い)
はるな
他のエージェントとの違いは、内面に踏み込むかどうかですか?
Kさん
中田さんが大多数と比べると圧倒的に違うのは「転職をするか」ではなく「あなたのキャリアはどういうものが良いのでしょうか?」と一緒に人生設計と向き合う姿勢ですよね。一時的な転職ではなくて、ずっとフォローしてキャリアを作るサポートをしてくれる。
中田さん
ありがとうございま~す!(笑)
Kさん
他のエージェントも使ったことがある人は、中田さんのやり方に対して「こういうキャリア支援は初めてです」と言っていますよね。
はるな
内面のヒアリングまでする転職支援は、ものすごく珍しいと思います。
中田さん
理由は「お金にならない」からなんですよね。なぜなら、転職エージェントは入社した時にお金が生まれます。たくさん人を転職させた方が会社としては儲かりますから、たくさんの人をさばく考えが強い会社が多いんだと思います。
はるな
どうしてIzulさんは、そこに踏み切るのですか?(実際に、儲かっているのも不思議ですww)
中田さん
短期的視点の”目の前の売り上げ”だけ上げようというやり方が、私自身あまり好きではないからです。それよりも「この人に相談すれば大丈夫」という信用を手に入れる事がビジネス的にも強いと思っているからです。
自社の求人での転職につながらなくても、別の会社の収益になっても良いと思っています。でもそこで信用を手にいれられると、その後、その人の周りに転職したい人があらわれたときに「中田さんに相談するといいよ」となるわけです。ありがたいことに。
僕は年間600人全員が紹介で来るっていうのは、このやり方をやり続けているからなんですよね。
はるな
口コミだけで年間600人ですよね?! 凄すぎます。
中田さん
そうですよね。みんなそう言ってくれるのですが、ただただ「相手のキャリア」を本気で思って相談に乗っているだけです。ちなみに結構、相手に必要なことはハッキリと言うので紹介されるときは「中田さん怖いけれど、頑張ってね」と言われます(笑)。
Kさん
震えて来る人もいますよね(笑)
はるな
怖いですね……(笑)。本人が見たくないことも、結構言われる感じですか?
中田さん
はい。きちんと言いますね。なぜならキャリア相談は「自己認識」が一番大切なので。
Kさん
僕は中田さんに相談をしてから「ふわふわ感」がなくなりましたよね。
中田さん
ない、全然ない。ブレなくなった。以前のふわふわ感は、やばかったよ(笑)。Kくんの場合は「決断」が大きかった。
決断することによって思考がシャープになるんですよね。自分の中で道が無数にあると思い込んでいるところを、決断することによって1本の道しか歩めない状態にした。そうすると、他の部分の浮ついたエネルギーが全部、1本に集中しますよね。そうやって逃げ道をどんどん奪っていくというやり方でした。
Kさん
なぜ、ふわふわするかっていうと。結局色々なものが浮ついていたんですよね。どこに行っても誰かが助けてくれるとか逃げ道を作ってしまう。決断をして逃げ道を失くすと、いい意味で「環境や物事に期待をしなくなる」わけです。
中田さん
期待をしなくなるってすごく大事。将来の自分に期待するっていうのは大事ですが、周りに期待しすぎは良くない。それを辞めると「自分のことは自分で決めよう」と自ら力を養っていけるわけです。
はるな
逃げずに自分から力を養っていくって、すごく大事ですよね。最近痛感しています。
中田さん
僕自身、ものすごく孤独だと思っているタイプの人間なので。自力で生きていかないといけないという危機感はつねに持っていないといけないと思っていますね。
Kくんもそうなんだけど、ちょっと見た目がカッコいいじゃないですか、うん。ルックスもあると思っていて「ズルい」んですよ。
はるな
ズルいですか(笑)
中田さん
ズルいズルい。この状態(神原さんを指さして)を渡されて、このスペックでずっと生きているわけだから、正直、何かやるときにたいてい誰かが助けてくれるわけですよ。
Kさん
それ、中田さんずっと言ってますよね(笑)。
中田さん
僕は、全然助けてくれない、みんな……(笑)。
はるな
それ、単なる思い込みじゃないですか?
中田さん
いや、もちろん助けてくれることはありますよ。だけど「総量」は絶対に少ないです! だからこそ自力でなんとかしようという危機感もあるし、助けてくれた人にものすごくありがたい気持ちがあります。みんな助けられることに慣れ過ぎていますよ。
Kさん
あ~そうですね。僕は正直、助けられることに慣れていますね(笑)。
中田さん
もうさ、完全に"助けられ王"だよね(笑)。
一同
wwwwww(爆笑)
Kさん
だから、それが普通になってしまい、ありがたいことって思えないんですよね。何なら「おせっかい」になったりします、正直。最近はそう思わないないようにしたいと考えるけど、なかなか抜けないです。
はるな
スペックの違いって怖いですね(良いのか悪いのか……笑)。
はるな
中田さんの会社には転職しない方も相談にいらっしゃるのですよね? そういう場合はどんなアドバイスをするのですか?
中田さん
うちの引き受けは転職だけを支援ではなくて「この人の未来を見てみたいな」と思うかどうかなんですよね。
引き受けて、今の会社に残った方が良い場合は「目標設定」を一緒にします。最近、某国産自動車メーカーの会社で働く方が相談者にいるのですが、自分で考えて、自分で決めて、自分で頑張った経験が全くない人だったので、今できる仕事を「一緒につくりに行っている」という感じですね。その人はやりたいことがしっかりあるタイプなので、普通は勤めている会社の上司とするようなミーティングを毎週、僕としています。
緊急度、優先度が高いものを4つのセグメントに分けて仕事の優先順位を決めて、仕事のやり方を細かくアドバイスしている状態ですね。
はるな
そんなことまでするキャリア支援って凄いですね……!
中田さん
ほぼボランティアですが、実際に彼からの紹介で3人くらい就職支援をしているので信用を得ることはできています。
僕はお金っていうのは「信用」が手に入った先に、自然と入ってくるものだと思っています。
はるな
信用でお金が入ってきますか……?
中田さん
入ります。それで入らない場合は、まだ信用が弱いです。信用も形が合って広く信用を取る形か、深く信用を取る形か。信用には、広さと深さと、長さの3つがあって、そのバランスに長けているビジネスは上手くいきますよね。目先の売り上げだけにとらわれずに、相手(お客様)としっかり向き合って信頼関係をつくることが大切ですよね。
はるな
強い信用の先にお金が入る。人間力が問われますね……肝に銘じます!
中田さん
話がずれてしまいましたが、転職しないキャリア相談の場合は「なぜ残るのか」「いつまで残るのか」「ずっと残るのか」をきちんとヒアリングして内省してもらいますね。得られるものがまだあれば、その会社の残るべき。それがないなら職場を変えるべきだし、もしくは副業を搭載するのもアリですね。僕自身も「まだ転職しない理由」をきちんと明確にしていました。(下記ツイート参照☟)
はるな
中田さんの会社は転職紹介で儲けるのではなく、本気で”その人の人生を考えて”キャリア相談をしている感じですよね。
中田さん
僕的には転職して終わりではなくて、一緒に物語をつくって、それを見せてもらっているという感覚なんです。自分が関心のある物語に関わって登場人物のひとりになれる。そういう意味で、この仕事はものすごく面白い。
ひとりひとりの物語に深く関わるために、うちは15人しか相談者を抱えない。大手エージェントは100人、200人ですよ? そんなの無理でしょ?
そりゃ1回の面談で終わるでしょ。うちは平均10回以上面談しますからね。
はるな
10回も面談、凄い! 相手としっかり向き合って、信用を築けているからこそのビジネスなんですね……。目先の利益だけにとらわれないという視点、とても勉強になります。
Kさん
僕も中田さんを信用していますからね。今後ともよろしくお願いいたします!
はるな
私は疑り深いので、まだ信用しかけている段階かもしれませんが(笑)。今後ともよろしくお願いいたします!