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旧赤星邸のこと。

小さい頃から日々前を通りすぎていた修道女会の建物が、アントニンレーモンド設計のものだと知ったのは、建築に関わるようになってからのこと。この建物が、元々は住宅だったということもその後に知りました。
『旧赤星鉄馬邸』は、昭和9年にアントニン・レーモンドの設計により建てられ、戦後GHQに撤収されたのち、昭和31年からカトリック・ナミュール・ノートルダム修道女会の修道施設として使われてきましたが、シスターのなり手が少なくなり2020年に閉鎖、翌年、武蔵野市に寄贈され、市の所有となったそうです。
私が10代20代、吉祥寺への通学通勤路で通っていた頃は、門が空いているところも、中から人がでてくるところも見たことがなかった記憶。昨年から『未来へつなぐ旧赤星邸と庭園プロジェクト』として、2年間社会実験を行うということで公開される運びになった模様、昨年は見そびれてしまい、ようやく今年、見学することができました。

道路からも印象的だった曲面の壁と大きな庇。
庇の穴にはガラスがはめ込まれてトップライトに。

中に入るとすぐ曲面の壁の内部に螺旋状の階段が。

まず驚いたのは、奥へ長く続く廊下と、邸宅の広さ。そしてお庭の広さ。門から入口をのぞいていた時には想像もしていなかった広大な敷地でした。
赤星邸のころは、庭にゴルフのグリーンとバンカーがあったそう。

2階から見渡す庭。
 1階の食堂

少しへの字に曲がった細長い平面プラン、居室はすべて庭に開いています。

当初の設計では、連なる個室間も建具で連続する形だったものが、修道会の頃に、小さな個室に区切られたようす。本棚の部分がドアだった。

そして、みどころのひとつである造作の家具や引戸。レーモンドの妻、ノエミ・レーモンドのデザインでオリジナルのままだそう。

窓と家具とラジエーターの絶妙なバランス。
夫人室の家具。お着物用の引き出し。
円弧状に開く引き出し。
子供室の家具
家具に共通する取手のデザイン。

家具は、アメリカから取り寄せたアカセコイヤの木を使っているそうで、丁番や、ドアノブなどもアメリカ製のもの。

オリジナルの金物
これもオリジナル、照明だそう。

そして、2階の赤星鉄馬氏だけのプライベートゾーン。家族も入れなかったとか。

書斎
本棚の壁は、玄関の庇のトップライトと同じデザイン。

GHQ時代、修道会時代と、90年の歳月を経て、どこがオリジナルかということを現在調査中とのこと。今後、改修工事を行い、令和10年に一般公開の予定だそうですが、サッシュや床や壁の仕上げ材など、できるだけオリジナルに戻すことを考えている、と、現地で詳しく説明してくださった市の職員の方のお話。
現在は、利活用の実験ということで期間限定のイベントとなっていて、建物内では、ワークショップや物販、庭園では飲食などの出店が行われていました。

蔵を利用した物販。
庭園ではお茶する人たちも。

今後、どう改修され、どう利活用されるのかというのも大変興味深いです。
10月30日(水曜)まで公開中です。
https://www.city.musashino.lg.jp/shiseijoho/shisaku_keikaku/sogoseisakubu_shisaku_keikaku/akaboshi_tei/1047849/index.html









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