呪いの紙

引っ越しが決まって
身の回りを整理していると

昔付き合って別れた
彼女から貰った手紙が出てきた。

告白されて付き合ったけれど
喧嘩すると

「私死ぬから」とか
「生まれなければよかった」
なんて言って

話し合いにもならない

最後は同情で付き合っていると
感じ

なんとか
別れた。

「もう私なんて」

なんてセリフも
何回も出たけど

自殺したり
何か起きた噂は
聞かなかった。

バリバリ、

破いた瞬間

紙が悲鳴をあげる

「キャー」

紙が悲鳴を....

なんだこれ
耳鳴りのように
破った２枚の紙から
ずっと
耳鳴りのように
悲鳴が鳴く。

部屋から出ると
悲鳴は聴こえないから

紙から出ているのだろう。

恐い。新聞と一緒に捨てた。

引っ越すし
これで終わり。

なんだか
最後の最後まで
怖かったな。

新しい彼女も出来ました。
結婚することになり
周りから盛大にお祝いされた。

結婚届けを区役所に出しに行った。

これから
夫婦なんだな。

「控え欲しいから
コピーして下さい」

妻が言った。

手数料を払って
結婚届けのコピーを貰った。

なんだか
役場も騒がしいなぁ。

俺達を祝福しているようだ。

電車の中でも
歓声が聴こえる。

家に帰ってからも。

コピーを貰った紙から
聴こえる。

まさか。

区役所のコピー用紙は
再生紙だった。