時給は1000円? セキュリティロボット「K5」の導入で、犯罪報告数が46%減少
警備・セキュリティはロボットが活躍を期待されている分野のひとつです。例えば、夜間など人が不足しがちな時間でも警備を任せることができます。また、ロボットが警備した際の映像は全て記録として残しておくことができます。さらに近年では、顔認証を用いた要注意人物の検出や、温度検知を用いた異常高温の検出・火事防止なども期待されています。
一方で、それなら監視カメラで十分なのではないか? コストはその能力に見合うのか? など疑問も残ります。今回はセキュリティロボット「K5」の1年間の運用結果をもとに、その価値や強みを考えていけたらと思います。
株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。このマガジンでは、海外の情報を中心に様々な社会課題の解決のために開発されたロボットを紹介しています。
K5を導入した市が2年間の契約延長を決定
K5は米国カリフォルニア州に本社を置くKnightscope社の自走セキュリティロボットです。GPSや常に360°撮影可能な夜間対応カメラなどを搭載し、事前に設定されたルートを巡回します。K5で収集されるデータは走行時の撮影記録に加え、人の体温や車のライセンスプレート (不法駐車の監視) など様々です。これらのデータはアラートと共にリアルタイムで送信されます。
▲ソルトレーク公園で稼働するK5。Knightscope社プレスリリースより
米国カリフォルニア州ハニントンパーク市は、2019年より市内のソルトレーク公園でK5を運用。ソルトレーク公園の面積は東京ドームおよそ2個分の23エーカーにもなります。2021年8月にはその有用性を認め、2年間の契約延長を市議会が満場一致で決定しました。
Knightscope社公式サイトによると、K5導入前と導入後の1年間を比較すると、ソルトレーク公園で警察の呼び出しが10%減、犯罪報告数が46%減、違反チケットの発行が68%減、同時に逮捕数は27%増という結果を残しています。実際に行われる違反・犯罪の数を大きく減らしながら、同時に起こった犯罪への逮捕率を増やすことができたと推察されます。
▲Knightscope社公式サイトより ハニントンパーク市でのK5の実績
犯罪抑止力としてのセキュリティロボット
ハニントンパーク市でのK5の実績から見えてくることは、セキュリティロボットの犯罪抑止力の高さです。特に違反チケットの発行数が68%減、犯罪報告数は46%減と大きな成果をあげました。
もちろん、防犯カメラでも同じように監視できます。しかし、特に夜間などでは、違反をする側が防犯カメラを意識することは少ないかもしれません。その点、ロボットは巡回していれば一目でわかります。また話題性もあるので、ニュースなどで取り上げられれば「このエリアはセキュリティロボットがいる」と人々に認識してもらえる可能性も高いのではないでしょうか。
違反チケットは駐車禁止エリアに駐車していたなど、軽微なものに発行されることが多いものです。「少しくらいいかも」という気の緩みに対して、「でもロボットに見られて面倒なことになるかもしれない」と思い直させるのに特に効果的なのかもしれません。
もちろん、起こった犯罪や違反を取り締まることも重要です。しかし、そもそも起こらないに越したことはありません。ちなみにKnightscope社によると、時給換算すれば5~9ドル(500~1000円程度)で同社のセキュリティロボットが利用可能とのこと。思ったよりもお手軽で驚きました。
もしかしたら巡回警備はロボットに任せ、ロボットの運用や有事の際の対処は人が行う、という未来も遠くないのかもしれません。
株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。当社では、新規ロボット・ITシステムソフトウェアの開発や最新ロボットの導入支援を行っております! ご関心がございましたら、こちらのページからお気軽にご相談ください。
出典:
Knightscope社:Fighting Crime with Knightscope, K5, Knightscope Credited for Reducing Crime, MaaS SUBSCRIPTION PRICE
City of Huntington Park:Salt Lake Park
Businesswire:Huntington Park Police Extends Knightscope Contract 2 Years