コーヒー22万杯を配達した自走デリバリーロボット「Starship」を使ってみた
実際に稼働している数少ない自走宅配ロボットの一つ「Starship(スターシップ)」。大学のキャンパスを中心に米国各地とヨーロッパの一部地域で約1000台が稼働しており、2014年の会社設立以来サービスを拡大しています。
Starship社によると、430km以上を走行、人気商品に限って言えば、ミルク42万ボトル、コーヒー22万杯、ピザ10万6千枚を配達済みとのこと。今回は米国に住む筆者が、実際にStarshipを利用してみた体験記をお届けします。
株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。このマガジンでは、海外の情報を中心に様々な社会課題の解決のために開発されたロボットを紹介しています。
Starshipを使ってみた:オーダー編
Starshipでは、専用のスマホアプリを使ってコーヒーやデリバリーフードを頼むと、指定地まで宅配してくれます。障害物を自分で判別して避けることに加え、安全を確認しながら道路を渡ることもできます。また以前、筆者が溝にはまっているStarshipを助けた際には「Thank you! Have a nice day」とお礼を言ってくれました。そんなユニークな機能も搭載しています。
スマートフォンアプリをダウンロードしてみると、まずスターバックスやパンダエクスプレス(アメリカ風中華料理チェーン店)など定番のお店が数点並んでいました。配達範囲は半径6km圏内ということもあり、選択肢は7つと多くはありませんでしたが、普段の軽食やランチには困らない印象です。
飲食店を選ぶと、飲み物や食べ物と並んで、「Robot Music」という項目が... …。何かはわかりませんが、無料とのことなので「Monster Mash」という曲(?)を選択。あとはその日の昼食を選んで、注文するだけです。ロボットによる配送は$1.99 (200円ほど)。支払いはクレジットカードでした。ここまでは、一般的なオンライン注文とさほど違いのない印象です。
▲アプリの注文画面 Robot Musicを選ぶこともできます
予測待ち時間は45~69分。注文地からお店まで徒歩20分ほどの距離なので、往復距離+調理の待ち時間のことを考えれば、悪くないといったくらいでしょうか...…。待っている間も仕事ができるのは助かります。
Starshipを使ってみた:到着編
注文からおよそ50分後、ロボットが指定地近くまで来たので、外へ。スマートフォンには「到着しました」と通知が来ましたが、見当たりません。しかし、あたりを見渡してみると、数メートル先にStarshipを発見しました!
アプリを後ほど確認したら、こちらが指定地をミスしていたのでした。 なので、Starshipロボットはちゃんと指定地に届けてくれたことになります。
▲ロボットの到着通知がきました
ロボットのすぐそばまで行くと、アプリでロボットの蓋の鍵を解除することができます。そして開けると、中に注文したランチが入っていました!
▲スマホアプリをスワイプすると、ロボットの蓋を開けることができました
そして、流れ出す軽快な音楽。これが注文時にカードにいれた「Robot Music」のようです。なんだかロボットが可愛らしく見えてきました。
その後はスマホアプリ上でピックアップ完了のボタンをタップし、ロボットを見送りました。車も通行する道を渡ろうとしていたので、あんな小さなロボットが一台で大丈夫かしら...…と謎の愛着が湧いてしまいました。
▲道路を渡ろうとするStarship (Starship Technologies公式サイトより)
▲注文したランチ。配達クオリティにも問題ありませんでした!
Starshipを使ってみた:感想編
実際にStarshipを使ってみると、思った以上に便利なサービスで驚きました! 宅配してもらうことで移動時間を節約できることはもちろんですが、以下の点でロボットならではの可能性を感じました。
1. 省スペース
車社会のアメリカでは、Uber Eatsのような人による配達サービスも基本車になります。そこで問題になるのが、運転や駐車のスペースです。特に住宅地となると入り組んでいて分かりにくい場所も多いので、配達の方が迷子になって道を塞いでしまたり、駐車する場所がなかったり。Starshipであれば、車ほど場所を取ることはありません。歩道スペースがあれば十分です。
2. 環境への優しさ
アメリカでは車の排気ガスも社会問題となっています。その点、Starshipは電気で稼働しており、ガスを排出することはありません。Starship Technology社は車の宅配の代わりにロボットを利用してもらうことで、100万回配達達成時点でおよそ403トンの排気ガスを削減したと述べています。石油資源への依存が問題になっている日本でも、活用の道がありそうです。
3. 配達クオリティの保証
人による配達の場合、どうしてもサービスの質にばらつきが出てしまいます。実際にUber Eatsアプリのレビュー欄を見ると、「配達員の質の差が激しい」などの問題を多く見かけます。その点、ロボットであればソフトウェアで動作するので、仮にうまく配達できなかった場合でも、過去のデータを使いながら改善していくことができます。少なくともロボットがやる気をなくしてしまうとか、突然辞めてしまうということはありません。
加えて今回実感したのは、利用してみるとロボットが可愛らしく見えてくるという点です。少しくらい離れたところに到着しても(今回は指定するこちらのミスですが)、「あんな小さなロボットが頑張ってる...…!」と思えました。利用する企業側にとっては、サービスの質の保証やクレーム対策というメリットがありそうだと感じました。
今回は、最新のロボティクスやテクノロジーを肌で感じることができた面白い体験でした。様々な家電やIoT機器が私たちの生活を今支えているように、ロボットが必要不可欠になっている日も遠くないのかもしれません。Starshipは、配達圏内にいてアプリさえダウンロードしていれば、誰でも使うことができます。アメリカを訪れた際はぜひ試してみてくださいね!
株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。当社では、新規ロボット・ITシステムソフトウェアの開発や最新ロボットの導入支援を行っております! ご関心がございましたら、こちらのページからお気軽にご相談ください。
出典:
Starship Technologies:“World record: Starship hits 2 million autonomous deliveries”
Starship Technologies:“Starship Completes One Million Autonomous Deliveries”
App Store:Starship - Food Delivery
App Store:Uber Eats (ウーバーイーツ)出前/デリバリー注文
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