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Day.30 女性の腹痛の診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<女性の腹痛の鑑別>
<妊娠反応陽性の場合>
〇異所性妊娠
→FAST陽性で腹腔内出血を認める。骨盤内に異常腫瘤が見える。
〇切迫流産
→流産のリスクが高い状態……。
<妊娠反応検査陰性の場合>
〇月経困難症:月経中なら!
→月経に伴う腹痛・腰痛・頭痛・下痢・嘔気/嘔吐などの症状を総称して困難症と呼ぶ。腹痛は月経1~2日目にくることが多い。子宮筋腫なども原因となる。但し、原則として除外診断なのでご注意を。
〇骨盤内炎症性疾患:発熱を伴うなら!
→子宮頸部からクラミジア・淋菌・結核などが卵管を通って侵入するFitz-Hugh-Curtis症候群など。Hugh-Curtis症候群なら、肝叩打痛はほぼ100%に認める。造影CTで診断の上、アジスロマイシンとセフトリアキソンで対応。
〇卵巣出血:エコーで腹腔内出血あり!
→FAST陽性で腹腔内出血を認める。出血側の卵巣腫大もある。
基本的には自然に止血するため、経過観察でよいが、貧血が進行しているようであれば手術が考慮される。
〇卵巣(嚢腫)茎捻転:エコーで塊が見える!
→疼痛部位と腫瘤の位置が一致する(エコーで確認を)。5~6cm以上の卵巣嚢腫があると、リスクが上昇する。基本的には激痛なので、吐気/嘔吐も伴うことがある。急いで手術、捻転を解除する必要がある。
〇子宮溜膿症:高齢女性の発熱原因の1つ
→高齢者に多い。発熱を伴う腹痛で、帯下の増加を伴う。
<緊急手術となる/なりうる産婦人科疾患>
-産科-
◇異所性妊娠破裂
◇常位胎盤早期剥離
◇子宮破裂
-婦人科-
◇卵巣捻転
◇卵巣嚢胞出血
◇卵巣膿瘍破裂
<なので対応としては……>
対応としては、問診をとりつつ
①妊娠反応検査
②腹部エコー
③WBCやCRPを含む炎症反応の評価
がまず必要なことかと思います。
<Column>
産婦人科って、救急系医師が結構苦手としているところだと思います。なので、JCIMELSやPC3やALSOといった産科救急のトレーニングコースも受けたいんですけど、今ってやってるんですかね。コロナでこういったトレーニングコース、全体的に”一時停止”してるんですよね……。