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Day.14 肝逸脱酵素上昇の診療メモ【総合診療トピックゼミ

<初動は……>

 無症状の場合かつ、ASTとALTの上昇が正常値の2倍未満に収まるのであれば、まずは経過をフォローする方針でOK。30%程度は再検すると正常化していると報告されています。

<肝逸脱酵素が上昇する原因とその検索>

1)アルコール
☞γGTPの上昇を伴って、AST有意に上昇する。問診で確認。

2)非アルコール性脂肪性肝疾患
☞エコーで肝腎コントラストを見に行くのが、低侵襲でよいだろう。

3)ウイルス性
☞特に、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス。
次席でEBウイルス、サイトメガロウイルスなど。
採血項目に含めるだけでなく、輸血歴や性交渉歴、刺青について確認する。

4)薬剤性
☞よく使用する薬剤では、アセトアミノフェンによる肝障害が有名。

5)自己免疫性
①自己免疫性肝炎:AIH
☞抗核抗体、抗平滑筋抗体が陽性なら支持される。
②原発性胆汁性胆管炎:PBC
☞抗ミトコンドリア抗体が陽性なら支持される。

<肝炎ウイルスの検査について>

◇B型(★が診断に使用される)

★HBs抗原:感染状態(急性感染後、陰性化する)
HBs抗体:既感染またはワクチン接種後
IgG-HBc抗体:感染状態(一度感染すると、陽性が持続する)
★IgM-HBc抗体:HBs抗原/抗体がいずれも陰性となるwindow期に唯一陽性
HBe抗原/抗体:肝炎の病勢/活動性評価に使用される

◇C型

HCV抗体:陽性化するまで2か月かかる、既感染でも陽性になる
HCV-RNA:感染後数日で陽性となる

<Column>

 よく言われる話ですが、ASTとALTは肝機能の指標ではなく肝細胞破壊の指標です。肝機能を見たいのであれば、肝臓が合成しているアルブミンや、合成物の機能を反映するPT-INRを見るようにお願いします。
 肝機能の分類であるChild-Pugh分類を見ても、ASTやALTは項目に含まれていないでしょう?

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