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Day.6 高血圧症の診療メモ【総合診療トピックゼミ】


<血圧のコントロール目標>

血圧のコントロール目標は、患者さんの状態によって2つあります。

◇診察室で130/80未満、家庭で125/75未満を目指すケース
〇75歳未満の成人
〇血管狭窄・閉塞のない脳血管障害患者
〇冠動脈疾患患者
〇尿タンパク陽性の慢性腎不全患者
〇導尿病患者
〇抗血栓薬内服中の患者

◇診察室で140/90未満、家庭で135/85未満を目指すケース
〇血管狭窄・閉塞のある脳血管障害患者
〇尿タンパク陰性の慢性腎不全患者

<まず二次性高血圧に思いを馳せる>

下記の疾患が高血圧の裏に隠れていることがありますので、最初に検討。
〇原発性アルドステロン症
→採血をして、アルドステロンとレニンの比を確認。
〇褐色細胞腫
〇甲状腺機能亢進症
〇閉塞性睡眠時無呼吸症候群
など

<次に、生活指導を徹底する>

二次性高血圧症ではなさそうなら、生活指導から介入します。
〇減塩
〇運動
〇節酒
〇禁煙

<そして、薬剤を導入する>

◇アムロジピン 1回2.5~10mg 1日1回
作用:カルシウムブロッカー
特徴:シンプルに血圧が下がる。使いやすい印象。
正直、慣れないうちは色気を出さずアムロジピンでよいように思います。

◇エナラプリル 1回5~10mg 1日1回
作用:ACE阻害薬
特徴:慢性心不全に有利。空咳あり。
(ファンタスティック4のエンレストに切り替え可)

◇アジルバ 1回20~40mg 1日1回
作用:ARB
特徴:慢性心不全に有利。空咳なし。
(ファンタスティック4のエンレストに切り替え可)

◇カルベジロール 1回10~20mg 1日1回
作用:βブロッカー
特徴:慢性心不全に有利。ファンタスティック4の1つ。

◇スピロノラクトン 1日50~100mgを分割投与
作用:MRA(アルドステロンブロッカー)
特徴:慢性心不全に有利。ファンタスティック4の1つ。高カリウム注意。

<Column>

さて、何度か出てきたファンタスティック4について。アメリカってオシャレですよね。元ネタは、アメリカン・コミックスに登場するヒーローチームだそうです。何に対するヒーローかと言えば、慢性心不全で、予後を改善するとされている4剤をまとめて、このように呼ばれています。
その4剤は、βブロッカー、MRA(アルドステロンブロッカー)、ARNI(エンレストことです)、SGLT2阻害薬にあたります。
いろんなことが分かっていいような、悪いような。血圧が高い人には、慢性心不全がある患者さんが少なくありません。だから、単に血圧を下げるだけでなく、ファンタスティック4の中から降圧薬を選択するという、2重の効果を狙った処方が増えています。となると、使いやすい一方で、心不全の予後改善効果が示されていないアムロジピンの今後の立ち位置やいかに……。

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