Day.26 非定型細菌の診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<非定型肺炎をカバーする抗菌薬>
非定型細菌最大の問題は、βラクタム系の抗菌薬(すなわち、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系)の抗菌薬が聞かないことです。従ってこれらに対処するには、以下のどれかを使用することになります。
〇マクロライド系
〇テトラサイクリン系
〇ニューキノロン系
<マクロライド系抗菌薬>
エリスロマイシンやクラリスロマイシンが該当する。
もともとはかなり広域カバーの抗菌薬だったが、乱用されて耐性菌が増えてしまい(なんなら、非定型細菌にも、マクロライド耐性のものが増えている)。
マイコプラズマに対しては第一選択。
<テトラサイクリン系抗菌薬>
グラム陽性菌に効くが、耐性菌が多い、グラム陰性菌に効くが、プロテウスはカバーしていないなど、広域抗菌薬としては案外使いにくい。
リケッチア(ツツガムシ病)に対しては第一選択。
注意点は
①小児(8歳以下)・妊婦には好ましくない。
②ペニシリン系と併用すると、効果が落ちる。
<ニューキノロン系抗菌薬>
ジプロフロキサシンやレボフロキサシンが該当する。
非定型細菌だけでなく、MSSAを含むグラム陽性菌、緑膿菌を含むグラム陰性菌、一部の嫌気性菌をカバーし、結核の治療にも用いられる事実上の超広域抗菌薬です。
注意点は
①小児・妊婦に禁忌
②NSAIDsとの併用禁忌
③そして、なるべく温存して、長く使いたい抗菌薬
<Column>
さて、どんなときに非定型細菌もカバーするかですが、例えば若年者が何のきっかけもなく、普通の細菌性肺炎になることは珍しいようです。従って、若年者の肺炎で問診で免疫抑制系の既往や内服がないことが確認できれば、非定型細菌もカバーしたほうがよい、というのが1つの考え方のようです。